リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~   作:台風一過

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タイトルでなかなか良いものが思い浮かびません……



第6話 心変わり

 

 

「失礼しました。ハラオウン執務官」

 

ジルヴェスは敬礼しながら謝罪の言葉を述べる。

 

「敬礼なんて要らないよ。今の私はいち一般人なんだから。それに、私のこと知ってるってことは、局員なのかな?」

「ええ、陸士候補生ですが。でも、ハラオウン執務官クラスの方でしたら民間の人でも知ってるはずですよ?」

 

フェイトに言われて、敬礼は解いた。

 

「そうかな?」

 

有名だという自覚があまりないのか、フェイトは首を傾げている。

 

「でも、陸士候補生なら、将来の同僚かな。今日は本当にありがとうね。エリオを連れて来てくれて」

「同僚だなんてとんでもない。自分みたいな者がハラオウン執務官のように優秀な方と仕事はしませんよ。あと、自分は時間を持て余していたので問題ないです」

 

そう言って、ジルヴェスは苦笑した。

 

「(『同僚』の意味はさておいて自分があのエースたちと一緒に仕事をすることはあり得ない)」

 

そして、そんなことを考えてもいた。

 

「そう?じゃあ、私はこれで失礼するから、また今度、改めてお礼させてもらえるかな?」

「いえ、別に結構です」

「遠慮しなくていいよ。そうだな………陸士訓練校なら私も今度訪ねる予定だったからそのときにまた」

「は、はい………」

 

ジルヴェスは拒否しきれず押し切られる形となってしまった。

 

「エリオ、行くよ~」

「はい!ジルヴェスさん、ありがとうございました!」

「いや、いいよ。……では、失礼させていただきます」

 

エリオに手を振り、フェイトにお辞儀をして、ジルヴェスはその場を後にした。

 

◇◇◇

 

「(はぁ、結局最後まで一緒しちゃったわ。それにギンガさんにはアクセまで買ってもらっちゃったし……)」

 

そんなことを思いながら、挨拶を交わすティアナ。

 

「今日はありがとうございました。アクセまで買っていただいて…」

「ああ、別に気にしなくていいわよ。アクセだってそんなに高価じゃないし。それにいつもスバルがお世話になってるお礼みたいなものだから」

「そうそう、わたしはランスターさんにお世話になりっぱなしだしね、気にしない気にしない」

「……って、あんたが言うことじゃないでしょ」

「あはは」

 

ティアナのツッコミにスバルは笑っている。

 

「でも、本当に気にしなくていいからね」

 

再度確認するように言われたティアナはこれ以上、感謝やら気にした様子でいるのは、逆に迷惑だと気付いた。

 

「分かりました。では、そろそろ帰りますか?」

「そうね」

「お姉ちゃん、今日もレールウェイで帰るの?」

「そのつもりよ」

 

別れ際に色々と話す二人を見て、ティアナは少しばかり考えるものがあった。

 

「(家族、か………)」

 

そして、ティアナはどこか上の空で、スバルとギンガの会話を聞いていた。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「おぉ、帰ってきたか。久々の休日はどうだった?楽しんできたか?」

 

ジルヴェスが訓練校の部屋に帰ると、すぐさまイライアスに声をかけられた。

 

「お前の方はどうだ?って言っても親父さんのとこ行ってたんだったよな。じゃあ、いつも通りか」

「まぁ、そうだな。いやぁ、優秀なのも困りものだよな」

「そーですね」

 

イライアスの鼻につく物言いに、冗談と分かっているから、あえて白い目を向ける。

 

「ジルヴェスが冷たい……」

 

イライアスもそれにノる。

 

「気のせいじゃないのか?」

 

だが、ジルヴェスはもう飽きたのか適当に流した。

 

「そうか?まぁいい、それでお前の方はどうだったんだ?」

「俺か?俺は迷子の手助けをしたらその子の保護者があのエース、ハラオウン執務官だった。という驚きの一日を過ごした」

 

荷物を片付けながら、イライアスの質問に短く答えた。

 

「それは驚きだな。それでハラオウン執務官と何かあったのか?」

「いや、お前の考えてるようなことはないぞ」

「えっ!?あのエースは子どもを助けてもらったのに感謝もせずに帰っていったのか?」

 

イライアスはわざとらしく驚く。

 

「…………お前、バカにしてるんだろ。そうなんだろ?」

 

そんなイライアスにジルヴェスは呆れを隠せなかった。

 

「ははは、まぁそう怒るなって。で、結局何かあったのか?」

「特にないぞ。強いて言えば今度ここに来るのとお礼をさせてくれってことを言われただけだな。だから何もなかったようなものだろ」

「なんだ、何もなかったのか。つまらねぇな」

 

イライアスは、大して面白いことがなかったと分かると途端、興味を失う。

 

「あっ、そう言えば…」

「そう言えば、どうしたって?」

 

ジルヴェスの何かを思い出したような様子に、イライアスは再び興味を取り戻した。

 

「いや、大したことじゃないんだが、ハラオウン執務官、めっちゃ美人だったぞ」

「何だ、そんなことか。悪いがそんなことは常識だ。でもいいよな、そんな美人にお礼を、って……」

「別に俺はそんなのいらないんだけどな」

「お前は幸せものだな~。代わりに俺がお礼してもらいたいぜ」

「だから、お前絶対バカにしてるよな!?」

「決してそんなことはない」

「はぁ…………」

 

ジルヴェスは呆れてものも言えなかった。

 

◇◇◇

 

「(わかっていた。悲しい思いや悔しい思い、辛い思い出とか届かない憧れ、もう取り戻せない過去を胸に抱いて必死になってるのは自分だけじゃないことは。でもどうしてだろう、今日ギンガさんに会って色々話をしてすごく思うところがあった。馴れ合う気はなかったんだけどな……)」

 

ティアナは、自室に戻り、布団に入ったところでそんなことをふと考えていた。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「今日も楽しい訓練だな!楽しみだぜ!」

「そうだな。昨日休んだおかげで体が軽い。やっぱり疲れてたんだろうな。それしてもイライアス、お前は元気だよな…」

 

ジルヴェスは尊敬するような呆れたような、そんな視線をイライアスに送る。

 

「まぁな。これくらい元気じゃなけりゃ親父と付き合っていられないしな」

「ああ、あの人も元気だからな」

「そういうこと」

 

そんなことを話しているうちに訓練の時間がやってきた。

 

◇◇◇

 

「ふぁ………」

 

スバルが目を覚ますとあることに気付いた。

 

「(…………あれ?リボルバーナックルがピカピカになってる…?)」

 

そう心の中で呟き、周りを見ると、すでにティアナは起きていた。

 

「あ、ランスターさんおはよう」

「……ん、おはよう」

「あの、ランスターさん……」

「……なによ?あんたのリボルバーナックルのことなんてあたしは知らないわよ」

「……やっぱり。ランスターさんだったんだ」

 

◇◇◇

 

「────ランスターさんだったんだ」

 

あ、ミスった。バレた。

 

「…………普段だったらさ、あんたがどうしようとあたしの知ったこっちゃないけど、大切な人との思い出を傷つけたんだったらあたしだって謝らないとって思うわよ。………人間だもの。この前のアレ言い過ぎたわごめん…」

「……………?この前のアレ?ええっと…………ランスターさん何かしたっけ?」

 

ああなんかもうどうでもよくなったわ。ホント能天気なんだから!謝ったあたしがバカみたいじゃない。

 

◇◇◇

 

「………はぁ、もう来週は期末試験なんだからね。シャキッとしなさい。いつまでもバカやってないでよね」

「うんっ!」

「コンビでいる間はあたしの足引っ張るようなことしないでよね!そんなこと許さないから。わかったわねスバル!」

 

あっ、今「スバル」って言った!

 

「………うんっ!ティア!」

「えっ!?なんであんたがその呼び名を知ってるのよ!」

「だって、ギン姉に話したでしょ?友達とか、仲の良い子はそう呼んでたって。違った?」

「だから、あたしとあんたは友達でもないし仲も良くないっ!ギンガさんにも会ったから『ナカジマ』って呼びづらくなっただけよ!」

「でも、今はコンビだよ。だからさ、仲間としての呼び方で呼ばせて。ね?」

「………はぁ。もう勝手にしなさいよ!どうせいつものワガママで通すんでしょ?」

「そんなことないと思うんだけどな………」

 

でも良かった。これでティアと友達に近づいたってことだもん。






ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m
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