リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~   作:台風一過

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第62話 負けられない戦い

 

 

 

 

 

「さてと、午後までの時間を持て余してしまったわけだが、何をしていようか………」

 

ジルヴェスは考え、そして、することを決めた。

 

(おい、スバル)

(ふぇっ?び、びっくりしたぁ)

 

いきなり念話で話しかけられ驚き、ガタッと机に足をぶつけた。

 

「スバル、どうかしたの?」

 

その物音でティアナがスバルの方に視線を向ける。

 

「う、ううん、何でもない」

「そう?大きな音立てないでよね」

「ごめん」

 

けれど、とりあえずティアナを誤魔化せたようだった。

 

(ジルヴェス、何?)

 

表情に出したりしないようにスバルなりに気を付けて、ジルヴェスに言葉を返す。

 

(俺、暇だから仕事手伝うけど?)

(ホントに?でもティアが………)

 

今すぐにでも頷きたいところだったが、先ほどのティアナの言葉を思い出しスバルは言葉を濁す。

 

(そんなのバレなきゃ大丈夫だろ)

(そ、そうだよね!)

 

ただ、ジルヴェスの甘い言葉に簡単に飛び付いていた。

 

(んじゃ、俺の方に送って────)

「あんたたち、何をしているのかしら?」

 

しかし、データを送ろうとするところで早速バレてしまう。

 

「てぃ、ティア?何を、って別に私は何もしてないよ?」

 

それでもスバルは誤魔化そうとするのだが…………。

 

「へぇ、じゃあ、その画面は何なのかしら?」

 

ティアナはスバルのコンピューターの画面を指差し、問いただす。

 

「特に意味があるわけでは………」

「あっそ。で、ジルヴェス、今さっき手伝わないようにって言わなかった?」

 

誤魔化そうとするスバルを軽くあしらって、今度はジルヴェスに矛先を向けた。

 

「言ってたな。けど、暇なんだよ」

「だったら午後のために体力温存でもしてなさいって」

「そうなんだけどな、落ち着かないんだよ。それに体力温存とか意味ないし。魔力使わなきゃ関係ないからな。いいだろ、仕事くらい手伝ったってさ」

 

何がダメなんだよ、という顔で文句をたれる。

 

「だ、ダメなものはダメなのよ」

「……分かったよ。手伝わなきゃいいんだろ?」

「そ、そうよ」

 

結局ジルヴェスは手持ち無沙汰なままその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば、新型のヘリが導入されてるんだったよな。じっくり見たことないし、見に行くか」

 

しばらくボーっとしていたジルヴェスだったが、目的を決めるとすぐに動き出した。

 

「失礼しまーす」

「おっ、ジルヴェスか」

「ヴァイスさん、こんにちわ」

 

車輌倉庫へ行くとお目当ての知り合いがいた。

 

「そんで何しに来たんだ?まだ、仕事中のはずだろ?」

「それなら終わりました。で、暇だったので来てみました」

 

そう答えながらも視線は新型ヘリに釘付けである。

 

「そうか。ならゆっくりしてけよ」

「はい、そうします。それで、これが新型のヘリですか……」

「そう、JF704式だ。カッコいいよな?」

 

まるで自分のことのようにヴァイスはヘリを自慢する。

 

「はい。実はこれを見に来たんです」

「そうか、なかなか良い目してるじゃねぇか」

「あと、これってヴァイスさんのデバイスが組み込まれてますよね?」

「そうだ、俺の愛機『ストームレイダー』。他にも────」

 

ジルヴェスはその後、ヴァイスからヘリの装備などを聞いて過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろティアたちも仕事終わったかな」

 

ジルヴェスは再び仕事場に向かっている。

ジルヴェスが仕事場に着くとティアナとスバルの会話が聞こえてきた。

 

「ふぅ、やっと終わったぁ……」

「あんた仕事遅すぎ」

 

声音だけで呆れているのが、ジルヴェスには手に取るように分かった。

だからジルヴェスは、ティアナはなんだかんだ言って面倒見がいいよな、なんてことを思ったりしていた。

 

「ごめん……あと、手伝ってくれてありがと」

「別に。あんまり遅いと午後の訓練に響くからよ」

「なんだ、結局手伝ってるんじゃん」

 

ジルヴェスは二人の会話に割って入っていった。

 

「きゃっ、ジルヴェス?あんた、なんでいるのよ」

「なんでってそろそろティアたちも仕事終わる頃だと思って」

「そう」

「それにしてもさっきの『きゃっ』ってのは傑作だな」

 

そう言いながらジルヴェスは吹き出しそうになるのを堪えていた。

 

「他の人に言うのはやめなさいよ?」

「いいんじゃないか?かわいらしくて。なぁ、スバル」

「うんうん」

「かわっ、かわい……そ、そんなの関係ないのよ、いいから言うんじゃないわよ。後、スバルも変なこと言わないで」

 

ティアナは可愛いと言われて顔を真っ赤にする。

 

「分かったよ。で、仕事終わって暇なら俺の相手してくんない?」

「いやよ」

「なんで?」

「疲れるからに決まってるじゃない」

 

ジルヴェスのなのはに対して言った言葉と同じことを言う。疲れるの意味合いと程度には大分差があるようだったが。

 

「大丈夫だって」

「あんたみたいになのはさんの訓練を余裕でこなせないのよ」

「じゃあ、スバルやろうぜ」

 

ティアナのことは諦め、今度はスバルに話をする。

 

「ホント?やるやる!」

「じゃ、林の中のいつもの訓練場で」

「うん!先行って待ってて、着替えてくるから」

「おっけー」

 

スバルはすっかりやる気で、ティアナを放置して話を進めていく。

 

「………何よ。私が意固地みたいじゃない……」

 

簡単には素直になれないティアナはそう呟いていた。

そして結局はティアナも混ざり3人で自主練をしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、なんでティアとスバルはそんな疲れた顔してるの?」

 

午後練の集合に3人が行くと、すでになのはがいて、すっかり疲れているスバルとティアナを見て、ん?という顔をした。

 

「なのはさん…………これはジルヴェスが………」

「あいつに自主練付き合ってくれって言われて…」

 

当の2人は今にも倒れそうな勢いで何とかそう言った。

 

「そうなの?その割にはジルヴェスはピンピンしてるけど…」

 

その2人の様子とジルヴェスの様子のあまりの違いになのはは戸惑っていた。

 

「あいつがおかしいんです!」

「まぁ、ちょっとやり過ぎたとは思うけどあんなの序の口だって。そもそも、今からなのはさんと模擬戦するってのに疲れてられるかってんだよ」

 

ジルヴェスには疲れの色など少しも見られない。

 

「いやぁホント楽しみだな。じゃあ始めようか」

 

まだ、ティアナがぶつぶつ言っていたが軽く無視して、ジルヴェスはなのはと話し出した。

 

「そうですね。ルールはどうします?」

「じゃあ、クリーンヒットを1発当てたらで」

 

何とも分かりやすいルールになった。

 

「分かりました。他には何かあります?使用禁止魔法とか」

「いや、非殺傷設定ってこと以外はなしでいいよ」

「そうですか。じゃあやりましょう」

「そうだね。みんなしっかり見ておくようにね」

「「「「はいっ」」」」

 

なのはの言葉に他のフォワード4人は元気よく頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのはとジルヴェスはバリアジャケットを展開して空に上がる。

 

「ジルヴェスさん、空翔べるんだ…」

 

そのときエリオは純粋な憧れや羨望の籠った目でジルヴェスを見上げていた。

 

「あいつには何一つ敵わないってことね……」

 

それとは対照的にティアナは憧れと自嘲の入り雑じった目をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、行きますよ?」

「どんと来い、だよ」

 

ジルヴェスはなのはの答えを聞くと同時に、なのはの頭上に無数の氷柱(つらら)を発生させた。

 

「《落下氷槍(ファレンシュペーア)》!」

【…《protection》】

「ありがとう、レイジングハート」

 

頭上から降ってくる氷の槍を難なく防御し、それをしながらなのはは自分の周囲に無数の魔力弾を、お返しとばかりに発生させ、撃ち出した。

 

「AMF展開、と。一応、氷の壁も作っておくか」

 

なのはの射撃攻撃に対し、ジルヴェスはAMFで対抗し、すべての魔力弾を相殺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すごいなぁ。なのはさんは当然だけど、ジルヴェスの魔力量もすごい。しかもAMFだけでなのはさんの攻撃をしのいでるよ。AMFの相当ランクっていくらだっけ?」

「AAAランク。防御系フィールド魔法の中でも高位の魔法よ」

 

スバルの疑問にティアナが答える。

 

「そう言えば、ジルヴェスさんって魔力変換資質を持ってましたよね。あれって『凍結』ですかね」

 

今度はエリオが疑問を唱えた。

 

「そうね。でも、『凍結』のバリエーションじゃないかしら。『凍結』よりも『水気』っていう方がしっくりくるわね。あいつ、水とか氷とか霧とか、水関係のものをバンバン使うから。単に冷気を扱うのとは違う気がするのよね…」

「ティア、よく見てるね!」

「うっさい」

 

ティアナはスバルの茶化すような言葉に少し拗ねた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この、氷無駄になったな…………いいや、これも使おう」

 

そう言ってジルヴェスは氷の壁をなのはに向かって投げつけた。それをなのはは射撃で破壊しようとするが、魔力弾が氷に当たる直前に、その氷は液化し、そのまま、濃い霧を発生させた。ジルヴェスはそれに乗じて一気になのはへ接近し、そして

 

「《銀狼斬爪》!」

 

なのはにクリーンヒット

 

「あれ?」

 

させようとしたが、そこになのはの姿はなかった。

 

「しまったな……」

 

ジルヴェスがなのはの気配を探っていると右斜め後ろで何かが動く気配がしたが、すぐに気配が消えた。ジルヴェスはそれに気付いていないフリをしながらその正体を見極めようと神経を集中させた。

 

「…………ヤバい!」

 

そして、魔力が収束する気配を感じ取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なのはさん、一体どこに行ってしまったんでしょうか」

「上よ」

「上?」

 

ティアナの言葉に他の3人は一様に上を見上げた。

 

「ほら、あそこ。上空数十メートルってところかしら」

 

そしてティアナは指差しなのはの場所を教える。

 

「あ、ホントだ……あれ?」

「どうしたのよ」

 

ただ、なのはの姿を確認したスバルは違和感を抱いていた。

 

「いや、あれはまずいかなって」

「スバルさん、何がまずいんですか?」

「なのはさん、スターライトブレイカー撃とうとしてるから」

 

そして、その違和感の正体に気付き、口にする。

 

「え?それは本当ですか?」

「間違いないと思う…」

 

若干自信はなさそうだったがスバルは肯定の言葉を返す。

 

「なのはさんのことであんたが言うことは信用できるわね。じゃあ、ここにいたら危ないんじゃない?」

「そ、そうだね。少し離れてプロテクションを一応、張っとこう」

「はいっ」

 

4人はいそいそとその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの魔法の発動前に何か手を打たないとな」

 

ジルヴェスもなのはのやろうとしていることに気付き、そう呟くと手を空に掲げた。

 

「《サンダー───》」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジルヴェスが手を掲げると同時になのはがやっていた魔力の収束も終わった。

 

「《スターライト───》」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「《──フォール》!」

「《──ブレイカー》!」

 

なのはとジルヴェスは同時にそれぞれの魔法を放った。それを見たジルヴェスは即座に次の行動を起こした。

 

「《コードマニューバ》……」

 

ジルヴェスはなのはのスターライトブレイカーを避け、サンダーフォールの防御をしているなのはに追い討ちのごとく横から水の弾丸、数発を撃ち込んだ。

 

 

 







ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m
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