リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~   作:台風一過

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JS事件編 序
第66話 進展


 

 

 

「シャーリー、この前の任務のときの残骸資料の解析は終わってる?」

「ええ、一通りは、ですけど」

 

六課隊舎の一室でフェイトはシャーリーと共に画面を見詰めていた。

 

「見せてもらえるかな」

「もちろんです」

 

そして、シャーリーは端末をカタカタと操作して目の前にある画面に次々と画像を映し出していく。

 

「……………………あっ」

 

しばらく真剣にそれらの画像を確認していたフェイトであったが、とある画像が映されたところで声を上げた。

 

「どうかされましたか?」

「ちょっと、今の画像を拡大してもらってもいいかな」

「ええ、大丈夫ですよ」

 

シャーリーはフェイトの言葉にすぐさま動き、画像を拡大する。

 

「…………ジェイル・スカリエッティ……」

 

そして、その画像に残された機械片に刻まれた文字を読み上げ、どこか憎々しげな表情を浮かべながらフェイトは呟きを漏らす。

 

「フェイトさん、その人のこと知ってるんですか?」

「うん……随分前から私的(してき)に追ってるんだ」

 

シャーリーからの問いに答えつつ、端末を操作してとある資料をシャーリーに見せる。

 

「広域次元犯罪者…………ロストロギア以外にも色々と手を出してる」

 

またそうしながら言葉でもシャーリーに説明をする。

 

「でも、わざわざ自分に繋がるような証拠を残しますかね、普通…………」

 

するとシャーリーはポツリと疑問を示した。

 

「うん……仮にスカリエッティでなかったら明らかなミスリード狙い。スカリエッティ本人だったら、それは明らかな、挑発。出来るものなら阻止してみろ、っていう」

 

それに答えるフェイトの表情は芳しくはなかった。

 

「フェイトさん、大丈夫ですよ。この機動六課なら相手が誰だろうと事件を解決出来ますから」

 

そう言ってシャーリーはフェイトを落ち着かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はやて、今いいかな?」

 

シャーリーと共に資料の確認を済ませると、フェイトははやての元へ急いだ。

 

「ん?ええけど」

 

そんなに慌ててどないしたんやろう、と考えているのがよく分かるような不思議そうにする表情を浮かべながらはやては頷く。

 

「さっきシャーリーと一緒にこの前の任務の資料を確認して分かったことがあるの」

「分かったこと?」

「うん。恐らくこの一連のガジェットの事件の裏にはスカリエッティが潜んでる。他人のミスリードという線もあるけど、私はスカリエッティ本人の気がする」

 

フェイトははやての瞳をまっすぐに見詰め語る。

 

「スカリエッティ、言うたらフェイトちゃんが数年前から追ってる捜査対象やったな」

「うん」

「分かった。とりあえずはスカリエッティが容疑者筆頭ってことで捜査を進めていく。このことは残りの隊長陣とジルヴェスにだけ伝える」

「何でジルヴェスも?」

 

はやての言った言葉が不服というわけではなかったが、意外だったため、ついフェイトはそんなことを言っていた。

 

「あー、あいつは実は六課の隊員やないんや。同じ事件を追う協力者的な存在なんよ」

 

はやては説明しにくそうにしながらもなんとか言葉を紡いでいる。

 

「どういう意味か教えてくれる?」

 

そこまで言ったのならもう全部話してほしいというフェイトの気持ちが彼女の言葉からは滲み出ていた。

 

「大したことやないんやけど、ジルヴェスはあくまでも特捜隊の所属で、この六課にはただ帯同しとるだけなんや。せやからほんまやったらあいつはなのはちゃんの訓練も受けんでええし、六課の任務に出動する義務はない。まぁ、そうは言うてもあいつがそんなくだらんこと言うとは思わへんけどな。何が言いたいかって言うたら、ジルヴェスはうちらとはまた別の所属やから、あいつの行動はあいつが決める権利があるっちゅうことや。せやから今回のことも教えようと思っとる」

「…………そうなんだ」

 

フェイトははやての話を聞いて納得したようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

「任務や。今週末にロストロギア専門のオークションが開かれるんやけど、そこをガジェットが狙うかもしれんってことでそのオークションが開かれるホテル・アグスタの警備をすることになった。今から任務の説明をする――――」

 

そう言って、はやては召集をかけたフォワードメンバーに任務の概要の説明を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「任務か……楽しみだな」

 

はやてからの任務の説明を聞き終えてジルヴェスは呟いた。

 

「ジルヴェス、あんた何言ってんねん。もっと緊張感を持ってや」

 

しっかりしてな?とはやては釘を刺す。

 

「まぁまぁ、大丈夫ですよ。はやてさんだって心配してないでしょ?」

「……せやけど…」

「それにしてもそのオークションでは何が出品されるんですか?」

 

本当に緊張感の感じられないジルヴェスの様子にはやては呆れていた。

 

「それはうちも知らんねんけど、危険度は低いものだけらしいよ」

「じゃあ、大したものはないですよね。ホントに現れるんですか?」

「うちに聞かれても困るわ。上からの指示やもん」

 

要は使いっ走りや、とはやてはふて腐れてみる。

 

「大変ですね、階級があると」

「せや。絶対にいつかあんたにも同じ苦労させてやるんやからな」

「それはないですね。俺、興味ないんで」

「は、そんなん関係ないねん。うちがしっかり推薦したるから」

 

何故か喧嘩腰なはやて。

 

「…………うっ…」

 

そして、はやてなら本当にやりそうで、ジルヴェスは嫌な予感がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時は流れて、任務当日。

 

「じゃあ、みんな配置について」

「「「「はいっ」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ティア、頑張ろうね」

 

配置に就くと、スバルはティアナに声をかけた。

 

「当たり前でしょ。あたしはなのはさんたちみたいに強くもないし、ジルヴェスみたいに『才能』があるわけでもない。だから、こうして地道に結果を出さなきゃならないのよ」

「……………」

 

スバルはティアナのこの言葉に、どこか違和感を抱き、黙り込んだ。

 

「どうしたのよ」

「……え?いや、何でもないよ。そうだよね、地道にしっかりやらないとね」

「そうね」

 

笑顔を浮かべるスバルだったが、先ほどの嫌な予感を拭うことは出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フェイトちゃん、主催者の人に挨拶に行こう」

「うん、そうだね。その前に中へのデバイスの持ち込みは禁止だから誰かに預けないと……」

 

フェイトは手頃な人がいないか辺りを見渡した。

 

「だったらジルヴェスに頼もうよ」

 

なのははジルヴェスの名前を出す。

 

「そうだね。ジルヴェスは何故かすぐそこにいるしね。ジルヴェス~」

 

フェイトはなのはの言葉に頷くとジルヴェスに声をかけた。

 

「はい?」

 

呼ばれたジルヴェスは早速なのはたちの元に向かった。

 

「頼みたいことがあるんだけどいいかな」

「まぁ、別にいいですけど」

「あのさ、私たちのデバイスを預かっていて欲しいんだ」

「え、バルディッシュとレイジングハートをですか?」

 

そんなの恐縮です、とジルヴェスは驚いていた。

 

「うん、ダメかな」

「いえ、ダメというわけではないですけど、俺なんかが預かっていていいんですか?」

「うん、ジルヴェスが一番余裕あるし。それに万が一のとき、私たちのところに飛ばしてくれるでしょ?そんな『スキル』があるってはやてから聞いたよ?」

 

だからジルヴェスがいいの、と言って、バルディッシュを渡す。

 

「そういうことですか。分かりました。任せてください」

「よろしくね」

 

そう言いながらなのはもレイジングハートを渡す。

 

「それで、ジルヴェスはなんでそこに留まってたの?」

「いや、なんとなくなのはさんたちに何か頼まれる気がしていたので」

「そうなんだ…」

 

どうしてかは分からないが、なのはは驚いて言葉が出なかった。

 

「では、自分の持ち場に向かいます。また何かあったら言ってください。場合によってはそちらに行きますから」

「うん、よろしくね」

「じゃあ、頑張って。フェイトちゃん行こ」

 

二人はジルヴェスに手を振って会場へと入って行った。

 

「あの二人のデバイス任されちゃったよ……責任重大だな」

【No problem】

【Yes】

 

ジルヴェスの独り言にレイジングハートとバルディッシュが励ますように話しかけた。

 

「お!びっくりした。ありがとう。気が楽になったよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「中、結構広いね」

「うん」

 

ロビーに入り、ぐるりと中を見てフェイトとなのははそう呟いた。

 

「あれ、なのはとフェイト?どうしたのこんなところで」

「え、ユーノくん?」

 

そして、ロビーから移動しようとしたところでユーノが現れた。

 

「久しぶりだね、ユーノ。私たちはここの警備に来てるんだけど」

「そうなんだ。僕は出品されるロストロギアの鑑定とかの仕事で来てる。……警備ってことは、誰かが狙ってるのかな」

 

最後の方は周囲に聞かれないようにユーノは小声になって話をする。

 

「うん。だけど、あまり話せないんだ。ごめん」

「いや、分かってるから大丈夫。でも、何か手伝えることがあったら言ってほしいな」

 

また、普段の大きさに戻してそう言った。

 

「うん。分かった」

 

そう言って、ひとまずフェイトたちはホテル内の確認をすることにした。

正直、このときには本当に襲撃があるとは、なのはもフェイトも思っていなかった。

 

 

 







ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m
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