リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~   作:台風一過

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第67話 ガジェット襲来

 

 

 

 

オークションが始まる直前に事態は動き出した。

 

『ホテル付近でガジェットの反応を確認!Ⅰ型が10機編制で5群。Ⅱ型が20機。Ⅲ型が5機編制で3群です。また、少し離れた森の中にも反応があります!』

 

本部の索敵に掛かった結果が連絡される。

 

『では、私とヴィータで森のガジェットの制圧に向かいます』

『ホテルの方はフォワードのお前らに任せるぞ』

『了解しました』

 

シグナムとヴィータが素早く役割分担を済ませ回答する。

 

『では、俺がⅡ型の制圧をします』

『そうだな。翔べる人間がやるべきだろう。任せたぞ』

 

ジルヴェスもまた、自分のやるべきことを瞬時に判断していた。

 

『分かりました。シグナムさん。ティア、下の方は任せたぜ』

『分かってるわよ』

 

ジルヴェスの言葉にティアナは「当然でしょ」と続きそうな口調で頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ついに来たわね。とっとと片付けるわよ」

「うんっ」

 

そう言って、目の前に現れたガジェットに魔力弾を撃ち込むティアナ。その攻撃でⅠ型を5機破壊した。スバルはウィングロードで動き回りながらガジェットを牽制しつつ、攻撃をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジルヴェスは上空へすぐに上がりⅡ型を待つ。すると間もなくガジェットが現れた。通信での報告通り20機が隊をなして飛んでいた。

 

「さて、と………ちゃっちゃとすませて下に降りますか」

 

そうジルヴェスが言い、手を空に掲げながら魔方陣を展開すると、空が(かげ)り、そして今にも降りだしそうな、そんな空模様に急変した。

 

「《アクセルヘイル》!」

 

ジルヴェスが叫び、ガジェットに向かって手を降り下ろすと、分厚くはっていた雲から何かが降り出した。しかも、それは初めから高速で。その何かとは「雹」だった。氷の粒である雹が高速で降り、当然それは空を飛ぶガジェットに当たる。そしてそれを貫く───貫いた雹はそのまま地上には降らずに、ジルヴェスによって水蒸気の状態にまで戻されている───さらに、段々と降る雹のサイズが大きくなり、次々にガジェットは空中で爆発していった。

 

「はい、終わり、っと」

 

そしてあっという間に上空の制空権を獲得した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、エリオとキャロのちびっこコンビも頑張っている。

 

「うわぁ、たくさんいるね」

「大丈夫。こういうときのために訓練してきたんだから」

「うんっ」

 

エリオはソニックムーブでガジェットの合間を縫うように移動しながらストラーダでガジェットを斬りつけていく。キャロはフリードを完全に掌握し、使役してガジェットの制圧をする。この二人もあまり時間をかけずに、全機破壊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、降りるか。んー、エリオたちはそろそろ片付くな。問題はティアたちかな。ガジェットの数も多いし」

 

と、ジルヴェスがティアナのところへ向かおうとすると突然、通信が入った。

 

『やあ、初めまして』

「ん?どこかで見たことがある気が…………」

『分からないかい?残念だな、そこそこ顔が売れてると思っていたのに。まぁ、そんなことはどうでもいいんだ。僕のおもちゃで楽しんでいてくれているかな?』

 

ニコニコとした顔で、何かを期待するような目でジルヴェスを見てくる。

 

「……てことはお前がスカリエッティか」

 

そして、その言葉でジルヴェスは相手が何者か分かった。

 

『そうとも。で、君はファーシャンベルグの人間だろう?』

「何故それを?」

『誤魔化さないんだね。面白い。で、なんで知っているか、だけど、君の一族は有名だからね。当然だよ。まぁ、バカな管理局は隠せていると思ってるみたいだけどさ』

 

本当にバカだよね、と言って管理局を嘲笑しているように見える。

 

「それで、なんで俺に接触してきた?」

『なんでって分かっているくせに。当然、君をスカウトするためだよ。君は僕の理論によって生み出されたわけだからね、僕は君の親のようなものだろう?』

「なら、話すことはないな。俺は犯罪者と手を組む気はないし、そこに俺の出自は関係ない」

 

ジルヴェスは毅然とした態度で断った。

 

『残念だな。まぁ、気が変わったらいつでも言ってくれて構わないよ。大歓迎だからね。そうそう、君の隠したい「過去」についても僕は知ってるんだ』

 

もしかしたらついうっかり口を滑らせてしまうかもしれないな、と冗談か本気か分からない顔で言った。

 

「……………手を組むことはないな」

 

それでもジルヴェスが拒否し、通信を切ろうとするともう一言スカリエッティが言った。

 

『そうだ、最後に良いことを教えてあげるよ。僕は「ゆりかご」がほしいんだ』

「なっ、お前何をするつもりだ!?」

『おしゃべりはここまでだよ。じゃあね、()()()()の少年』

 

それで通信は切れた。

最後の言葉にジルヴェスはさらなる衝撃を受け、そして絶句していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「数が多すぎるよ!」

「あたしが全部ぶっ飛ばす!だから、少し引き付けといて」

「うん」

「カートリッジロード!」

 

そう言うとティアナは周囲に魔力弾を大量に発生させた。

 

「《クロスファイヤーオーバーブラスト》!」

 

魔力弾は一斉にガジェットに向かって飛んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティアナがクロスファイヤーを発動する様子を上から見ていたジルヴェスはあることに気付く。

 

「あのままだとスバルが危ない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「《────ブラスト》!」

 

ガジェットに向かって飛んでいく中、1発が逸れスバルの方へ飛んでいった。

 

「危ない!」

「え………」

 

スバルに当たる、というときにジルヴェスが割って入って、魔力弾を斬りおとした。

そして幸か不幸かそこへ、ヴィータが戻ってきた。

 

「おい!仲間に当ててどうすんだよ!残りは自分がやる!大人しくしてろ!」

 

そう言ってヴィータは残りのガジェットの掃討にかかった。

それを見ているティアナの表情はひどく焦っているようにジルヴェスには見えた。そして、同時にその焦りの理由も理解した。

 

「あ…………」

 

ティアナは呆然とした様子でそれを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ティアナ、さっきも言ったが何してんだ?」

 

ガジェットを掃討すると、ヴィータは怒気をはらませた声で言った。

 

「ヴィータちゃん、私が言うよ」

「あぁ」

 

だが、すぐになのはが落ち着くように言って、ヴィータと場所を入れ替えた。

 

「あのさ、そのときの状況ってあんな無理をしなくちゃいけないような場面だった?」

 

あくまで穏やかに、優しい声でなのはは訊く。

 

「いえ…」

「じゃあ、なんであんなことしたの?もしジルヴェスが割って入らなかったらスバルに当たってたんだよ?」

 

そうしているなのはがとても大人びて見えた。

 

「ですが………」

「私、がっかりだよ。ティアはちゃんと考えて動けると思ってたから」

「…………」

 

なのはの信頼を裏切ってしまったという事実が、ティアナの言葉を奪った。

 

「これからはあんな無茶はしないって約束できるね?」

「はい………」

「じゃあ、これでこの話はおしまい。みんな、任務お疲れさま」

 

なのははそう言って話を終わらせたのだが、ティアナは受け入れきれてはいなかった。少なくともジルヴェスの目にはそのように映った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ティア……大丈夫?」

 

落ち込むティアナを心配そうにスバルは見ている。

 

「ええ、大丈夫よ。今回は怒られたけど、ちゃんと結果を出せば分かってくれる。だから、今日から特訓よ」

「……うん!頑張ろう」

 

結果があれば、結果さえあればきっと自分を認めてもらえる、そんなティアナの思いにスバルは違和感を抱いたが、それに気付かなかったフリをして、ティアナに協力することにした。

 

「そうね。……見返してやらないと。ジルヴェス、手伝ってくれるかしら……」

「大丈夫じゃないかな」

 

二人はジルヴェスの元に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当のジルヴェスはというと廊下をウロウロしていた。

 

「スカリエッティから接触があったこと、伝えるべきか…………いや、でも余計な心配をはやてさんにかけるわけにも……」

 

スカリエッティからの接触を報告すべきかどうかで大いに悩んでいるのだった。

 

「お、ジルヴェスやん。おつかれ」

 

しばらくウロウロしていると、偶然にもそこをはやてが通りがかった。

 

「え?あ、はやてさんですか。おつかれさまです」

「こんなところでブツブツ、何しとるん?気持ち悪いで」

「すいません……」

 

いつもであればはやてに言い返してここで一幕あるところだが、今はジルヴェスは素直に頭を下げていた。

 

「なんや、拍子抜けやな、あんたが素直に謝るなんて。よっぽど悩んどるんか?」

 

だからはやては心底意外そうに目を見開いてそう言った。

 

「ええ、少し。はやてさんのことで」

「え………?」

「あ、いやそういう意味じゃないです。てか、あり得ないでしょ」

「……ショックや……」

「なんか言いました?」

 

はやてが何か小声で言った気がしてジルヴェスは聞き返す。

 

「なんも言っとらん。で、その悩みっちゅうのはなんや?」

 

だが、はやては答える気はないようで話題をジルヴェスのことに戻した。

 

「それは………ここだとあれなんではやてさんの部屋に行っていいですか?」

「……?まぁ、ええけど」

 

そこまでして隠すことが何か思い至らず、頭に疑問符を浮かべていた。







ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m
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