リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~   作:台風一過

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第69話 たどり着いた答え

 

 

 

 

 

「スバル、ちょっといいか?」

 

この日の訓練が終わると、ジルヴェスはスバルを呼び止めた。

 

「うん?」

「……………っ」

 

何の話だろうかと思いながら、ジルヴェスのもとに向かう。

それをティアナは見ていて、苦虫を潰したような表情をしながらその場から去った。

 

「あの、な。ティアのことなんだが……」

 

ジルヴェスは非常に言いにくそうにしながらそう切り出す。

 

「ティアがどうかしたの?」

「あれから何かあったかと思ってな」

 

そう言いながら、ジルヴェスは自分がティアナを叩いたことを考えていた。

 

「ううん。確かにショックは受けてたけど、今は大丈夫そう。むしろ、ジルヴェスに一泡吹かせてやるんだって意気込んでるよ」

「そうか。なら良かった。わざわざ呼び止めて悪かった」

「全然。私はティアともジルヴェスとも友達だから。協力するのは当たり前のことだよ」

 

眩しい笑顔でスバルはそう言った。

ジルヴェスはそれが本当に眩しく思えてスバルの顔を真っ直ぐには見られなかった。

 

「ありがとう」

「ううん。じゃあね」

 

スバルは挨拶を交わすと部屋へと戻って行った。

 

「ジルヴェス、もう大丈夫?」

「はい。すいません、待たせてしまって」

 

スバルが去ると、今度はなのはがジルヴェスに声をかけた。

 

「ううん。それじゃあ、早速始めよう」

「よろしくお願いします」

「とは言っても、昨日の時点で全部出来てたからなぁ」

 

もう教えられることないかも、と彼女は笑っている。

 

「その……技自体じゃなくて、射撃・砲撃魔導師の心得みたいな、それらの技の使い方みたいなものもなのはさんに教えてほしいんです。あとは、ティアにどんな風に教えていたのかも」

「分かった。まず、射撃・砲撃と一口に言っても誘導制御、直射、物質加速、集束と色々種類があるの。そもそも、射撃と砲撃では規模からして違うし。それで、一番手頃なのが誘導制御だと思う。威力は高くないけど、発射速度と攻撃の自由度(バリエーション)を考えると、一番扱いやすいから。だけど────」

 

なのはの講義はその後かなり長く続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間後

 

「じゃあ今からジルヴェスとティア・スバルで模擬戦をしてもらうね」

「はい、準備オーケーです」

「あたしたちも大丈夫です」

 

なのはの言葉に3人は力強く頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人はそれぞれ立ち位置につく。

 

「この1週間、ずっと考えてた。あんたの言ってたこと。だけど、私は『これだ』と自信を持って言える答えは見付けられなかった……でも、それでもあんたに勝つために1週間努力したから。だから、遠慮なんかしないでよね」

 

ティアナはジルヴェスの目を見据えてそう言った。

 

「当たり前だろ。それに俺、ティアに見せたいものがあるんだ」

「あっそ。だったらとっとと見せることね。じゃないと見せ損ねることになるわよ」

 

ティアナは不敵な笑みを浮かべていた。

そんな彼女を見て、先日の自分の理想にがんじ絡めになっていたときとは、何となくではあるが、少し違う雰囲気をジルヴェスは感じ取った。

 

「いんや、そんなことにはならないから大丈夫だ」

「ふん。じゃあいくわよ!」

「オーケー、《ウィングロード》!」

 

ティアナの合図でスバルがウィングロードを発動し、そして模擬戦は始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なのは、どうしてあの3人が模擬戦してるの?」

 

久しぶりに訓練の様子を見ようとやって来たフェイトは、模擬戦をする3人のそのただならぬ雰囲気を感じとってなのはに訊いた。

 

「フェイトちゃん。ジルヴェスに頼まれて………だってなんかすごく本気だったから……」

 

だから、仕方ないでしょ、と言い訳するようなことをなのはは言った。

 

「そうなんだ。きっとこれはジルヴェスにとってすごく大切なんだろうね」

「うん…………」

 

なのはは、フェイトの言葉に頷きながら、ジルヴェスがいなかったらおそらく、あそこにいるのは自分だったのだろうという不思議な感覚を覚えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいティア、1週間もあって特訓の成果はそんなものか?」

 

ジルヴェスは対峙しながらそう挑発的なことを言って余裕を見せている。

 

「うるさいわね!安心しなさい、こんなんじゃ終わらないから」

 

ジルヴェスはスバルが展開するウィングロードのあちこちに氷の壁を作り妨害しつつ、行き先を制限していた。とは言いつつ、スバルは殴って割り進んでいるが………

 

「あんまり遊んでらんないよな」

 

ジルヴェスはそう言って魔法の発動にかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これじゃ、埒があかないわ。スバル、あれ行くわよ」

「うん。任せて」

 

と、二人が打合せていると……

 

「─────《アクセルヘイル》!」

 

と、ジルヴェスの声がした。すると、上空から無数の氷の粒─雹─が降ってきた。

 

「このままだと当たっちゃうよ!」

「あんた、頭使いなさい。ウィングロードを上にも通して」

「あ、そうか!ちょっと待って」

 

そう言って、スバルはウィングロードを再展開した。そして、降ってくる雹から身を守りつつジルヴェスに近づく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらら、あんな手でくるとは思わなかったな…………んじゃ、真っ向勝負といきますか」

 

そう言うとジルヴェスはアクセルヘイルの発動をやめて動きを止めた。そこへスバルが突っ込んできた。

 

「でぇやぁぁっ」

 

リボルバーナックルでの打撃をプロテクションで受けるジルヴェス。しかし、衝撃を殺しきることはできずに少し吹き飛ばされた。

 

「重っ…………」

「やった…………あっ」

 

ジルヴェスを吹き飛ばして少し気が緩んだところを遅延発動したバインドに捕まるスバル。そしてジルヴェスは右手を突き出した。

 

「悪いなスバル………《ディバイン----》!」

「え、砲撃…………?」

 

ジルヴェスはスバルの攻撃で飛ばされながらも空中で魔法を発動していた。スバルはその発動の様子を見ながら、それが砲撃魔法であることに気付いて驚いていた。

 

「スバル、何やってんのよ!《パイロシューター》!」

 

しかし、ティアナはジルヴェスがスバルに対して魔法を発動し終える前に、ジルヴェスに向かって魔弾を放ち、彼の魔法を妨害した。

そして、スバルはバインドブレイクをして、ジルヴェスから距離をとった。

 

「……さすがだな、ティア……」

 

スバルを墜とす機会をティアナに潰されたジルヴェスだったが、笑みを浮かべてそう呟いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(スバル気を付けなさいよ)

(あはは、ごめん……)

 

ジルヴェスとある程度の距離を保ちながら、ティアナとスバルの二人は念話で話をしていた。

 

(まぁ、いいわ。私があいつをバインドで捕らえるから、あんたが止めを刺しなさい。今度は失敗は無しよ)

(分かった)

 

二人は頷き合い、それぞれ動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……二人が何かやってくるみたいだ……けどまぁ、俺のやることは変わらない、か」

 

ジルヴェスは何か一人納得していた。

 

「そろそろ終わらせないとな」

 

そして、彼も最後の攻防というように何かを仕掛けるようだった。

 

「----《パイロシューター》」

 

と、そこへティアナの放ったいくつもの魔弾が襲いかかった。

が、ジルヴェスはそれをラウンドシールドで防ぐ。

 

「かかった!《インビジブルバインド》」

 

ティアナはしてやったりと笑みを浮かべつつ、先ほどのパイロシューターの着弾と同時にジルヴェスに不可視のバインドを放った。

 

「…………しまった……」

 

ジルヴェスは拘束され、苦笑いを浮かべている。

 

「さすがティアだね!……《ディバインバスター》!」

 

そしてそこにスバルがやってきて必中の砲撃を放った。

 

「ぐっ………………」

 

その砲撃にジルヴェスは吹き飛んだ。

けれど、数瞬の後に多少よろめいてはいたものの立ち上がり、そしてデバイスを構えた。

 

「嘘…………」

「《氷龍咬砕》!」

 

ジルヴェスはノーガードでスバルの砲撃を食らったにもかかわらず、普通に立ち上がり、魔法をそのスバルに向けて放っていた。

スバルは先ほどの自身の攻撃は決定的だと思っていたから為す術もなく大ダメージを受けた。

 

「《凍てつく足枷(フリーレンフェッセルン)》」

 

そして、スバルを氷によってその場に張り付け、さらにその効果を彼女の手首にまで広げ、身動きを取れなくさせた。

 

「…………何よ、それ……」

 

ティアナはそれを見ていて、何だか(かえ)ってバカらしく思えてきていた。

 

「……直撃で墜とせないならどうやって墜とすって言うのよ…………」

 

そして、半ば諦めてもいた。

けれど、そこで思い出されたのは先日のジルヴェスの言葉。

 

『お前はなのはさんの教導で何を学んだ?』

 

そう問いかける彼の言葉。

 

「……私は、なのはさんから…………確かな射撃と砲撃の使い方を学んだ……」

 

それに答えるようにティアナはポツリと呟く。

 

『----今お前が持ってるものを見ろよ!持ってないものじゃなくて、今確かにお前の手の中にあるものは何だ?』

 

そしてまたも、ジルヴェスの言葉が頭に浮かぶ。

 

「……私が持ってるもの……自信を持てるもの……それはもちろん射撃。そして、なのはさんからは砲撃も教えてもらった……だから、そうね……やることは決まってるわよね……」

 

自問自答をするように記憶の中のジルヴェスと対話をして、彼女なりの答えが出たようだった。

 

「……ジルヴェス」

「何だ?」

 

ティアナは一息吐くとジルヴェスに呼び掛けた。

ジルヴェスは少しの期待を込めた眼差しを向けつつ、ティアナに返事をする。

 

「行くわよ。私なりの答え、今なら自信を持ってはっきり言える。だけど、それは行動で示すから。だから、しっかり受け止めてよね」

「……もちろんだろ」

 

そう答えたジルヴェスはどこか嬉しそうだった。

 

「それじゃ、行くわよ。《シュートバレット・バレットF》」

 

魔法の発動で彼女の元から5発の魔弾がジルヴェスを狙い射出された。

この魔弾は熱源感知による自動追尾の機能が付加されている。

ジルヴェスは空を()けながら、それを避け続けている。

 

「…………ダメ、これじゃダメ……ちゃんと捕らえて拘束しなきゃ……私が今出来る最高の攻撃を見せなくちゃいけないんだから」

 

ティアナはそう呟くと、ウィングロードの上を()けてジルヴェスへと近付いていく。そして、彼に気付かれないように再び遅延型のバインドをいくつか仕掛けた。

 

「《クロスファイアシュート》!」

 

そして、先ほどの魔弾に加えて、自分の制御によるスフィアを追加し、ジルヴェスを自分のバインドの方へと追い込んでいく。

 

「…………っ……」

 

けれどなかなか思うようにはいかず、またスフィアの誘導制御への集中でティアナは結構辛くなってきていた。

 

「……もう少し……あと少し……あたしなら出来る……!」

 

自分を励ますような呟きをティアナがこぼすと同時に、ジルヴェスは遅延型のバインドに引っ掛かった。

 

「よし」

 

すると、ティアナはジルヴェスを追い回していたスフィアを自分の元に戻して、そしてクロスミラージュをジルヴェスに向けた。

 

「これがあたしの答え。《クロスファイアシュート》!」

 

彼女が発動したのは、先ほどの誘導弾そのものではなく、それらを一点に集中させ砲撃として射出する、元の魔法の派生版。この砲撃は真っ直ぐにジルヴェスへと進み、そして今度こそ直撃した。

 

 

 








ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m
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