リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~ 作:台風一過
「ティア~どこ行く?」
隊舎の自分たちの部屋で支度をしながらスバルはティアナに話しかけた。
「そうね……久しぶりにゲーセンにでも行かない?で、負けたら何かおごりにして」
「えー、ティア強いからなぁ。でも、いいよ!」
「それじゃ行きましょ」
二人はゲーセンへと足をのばすことに決め、部屋を出た。
「そう言えば、街の方までどうやって行くの?」
と、部屋を出たところでスバルがふとティアナに訊ねた。
「ああ、それはね一緒に来れば分かるわよ」
「んー、ティアがそう言うなら…………」
けれど、ティアナはそう言って答えをはぐらかしている。
スバルは答えを言わないティアナに少し不満げだったが、大人しく引き下がった。
そして、ティアナはヘリの駐機されている倉庫へとスバルを連れていった。
「もしかしてヘリで行くの?」
スバルはあり得ないな、とは思いつつ呟いていた。
「まさか、違うわよ。用があるのはヘリじゃなくてヴァイスさんよ」
そう言うとティアナは倉庫を覗き込んでヴァイスの姿を確認する。
「あ、いた」
そして、彼のところへ歩いていって声をかける。
「ヴァイスさん、こんにちは」
「おう、ランスター、とナカジマか」
「早速ですけど……」
「ああ、バイクな。そこに停めてある。整備もしてあるからな、すぐに問題なく出発出来るぞ」
そう言って倉庫の隅に停められたバイクを指差す。
「ありがとうございます。貸していただくだけじゃなくて整備までやっていただいて……」
ティアナは少しばかり申し訳なさを感じているのか、遠慮気味に頭を下げた。
「気にすんな。最近じゃあんまし使ってやってなかったからな。使ってもらえんならありがたいくらいだ。それにお前らなら何の問題も起こさないだろうからな、安心して貸せるさ」
「いえ……それじゃ行ってきますね」
「おう、気を付けろよ」
ヴァイスの見送りで二人は隊舎を出発した。
「スバル、あれやりましょう」
無事街まで移動し、ゲームセンターに行くとティアナは早速ゲームを始めようと声を出した。
「あれってあのシューティング?」
「そうそう」
シューティングの筐体を指さしながら訊くスバルに、ティアナは笑顔で頷く。
「えー、ティアずるい。得意なやつ選んで」
「次はあのパンチングゲームにしようかと思ってたんだけど」
ティアナはちゃんと考えてるわよ、と得意気な表情を浮かべている。
「ホント?じゃあいいよ。あ、だったら3本勝負で先に2勝した方の勝ちにしよう」
この2人は何かをやる度いつも勝負になってしまうようだ。
「そうね、じゃあ3つ目は何にする?」
「うーん、適当にリズム系のゲームにしようよ」
「いいわよ」
二人は頷き合って、まず、目の前のシューティングに目を向けた。
「あぅ、負けた……」
シューティングの成績が出てスバルは項垂れる。
「当たり前でしょ、射撃であんたに負けたらやってらんないわよ」
何言ってるのよ、と割と上から目線でティアナは言っている。
「そうだね。じゃあ次はパンチングゲームだよ」
「ん」
そして二人はパンチングゲームの前に。
「じゃあ、先にあたしがやるわ。あんたの後だとやる気になれなさそうだし」
ティアナはさすがにスバルに勝てるとは思っていないから先にやることにした。
「いいよ」
「じゃあ。……………ふんっ」
力を込めて拳を打ち出す。
バーン!
「おぉ、すごい。あっ、記録は2位だって」
ホントにすごいじゃん、とスバルはティアナに笑顔を向ける。
「あら、意外と良かったわね。というより案外他の人の記録が低いのね」
もっと強くなるために、最近ではなのはの訓練についていくために、訓練校時代からずっとトレーニングを続けて来たから、ティアナはそこらの一般人より体力は当然ある。
もちろん、スバルはそのティアナ以上に体力やら筋力やらがある。
だから、スバルが本気を出して、勢いよく腕を振り抜いたりなんかすると筐体から警告音が響いてきてもおかしくはない。
「うん、じゃあ、次は私だね。いくよ………………えいっ」
バーーーン!
ピーピーピー
こんな風に。
「え…………」
「やっば…………」
「………まずいよね」
2人とも顔を青ざめさせて見合わせる。
「でも逃げるわけにはいかないでしょ」
そうこうしているうちに店員がやってきた。
「お客さま」
「は、はい!」
スバルは背筋をピンと伸ばして振り向く。
「状況を説明していただけますか?」
「はい。えーと───」
説明を聞いた店員は──周りの客も──とても驚いていた。
「まぁ、今度から気を付けてくださいね」
店員はわざとではないからあまり責める気にはならなかった。
むしろ、筐体を破壊したのが少女だということに唖然としてしまっていた。
そして、どこからともなく拍手が。
「す、すいません!失礼します!行こう、ティア」
「え……」
そのまま二人はゲーセンを後にした。
ゲームセンターを逃げるように去って、2人は喫茶店に入った。
「あんた思った以上にすごかったわね」
そこでティアナは呆れるような口調でスバルに話しかけた。
「うぅ、恥ずかしいし、壊しちゃったし、もうやだ………」
「まぁまぁ、これからどうする?」
「うーん、どうしよっか……」
思っていたよりもゲームセンターで時間を潰せず、次の行動を考えるために腰を落ち着けているのだが、なかなか良い案が浮かばない。
とそこで二人に通信が入った。
『休暇中にすいません。気になることがあって…』
通信してきたのはエリオとキャロだった。
「いいわよ。それで気になることって?」
ティアとスバルは先ほどまでの雰囲気とは打って変わって、真剣な雰囲気で話を聞く。
『今自分たちはB-I-5地点にいるんですけど、さっきから何かを引きずるような音が聞こえてきているんです。それで少し探ってみたところどうやら地下水道からみたいで』
「分かったわ。今すぐ行くからあんたたちはそこで待ってなさい。あと、八神部隊長に報告しておきなさい」
『はい!』
突然のことにもティアナは冷静に指示を出した。
「それで、どうするの?というか、地下水道ってどこから行くの?」
エリオとキャロに合流すると開口一番スバルが訊ねた。
「ええ、それはここからです」
「八神部隊長は何か言ってた?」
地下道に続くマンホールを指さすエリオにティアナが質問を投げかけた。
「いえ、事態の究明をするようにとだけおっしゃってました」
「そう。じゃあ、早く行きましょう。……そう言えばジルヴェスは?」
「いえ、ティアさんたちと一緒じゃなかったんですか?」
当然一緒にいるとエリオは思っていたのだが、実際にはそうではなく、簡単に言ってしまえば連絡ミスというわけである。
「なんか、挨拶回りに行くとか言ってたわよ。だからすぐには来れないのかしら」
「それじゃあ、先にやってようよ」
「そうね」
けれど、そのことを指摘せず、ただスバルは気付いていないだけだが、4人は地下水道へと降りて行った。
ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m