リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~   作:台風一過

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第74話 おっちょこちょいな刺客

 

 

 

「よし、そろそろで着くか」

 

ジルヴェスがそう呟いたとき、同時に彼は違和感を覚えた。

 

「これは………結界?」

 

ジルヴェスは違和感のもとを探るべく周りに注意を払う。すると、後方500メートルの位置から何かがこちらに飛んでくるような気配を感じた。ジルヴェスは大きく避けず飛んできたものが何かを判断することにした。

 

「なに………?」

 

だが飛んできたものを見て彼は驚きを隠すことは出来なかった。なぜなら飛んできたのは物でも魔力弾でもなく「少女」だったのだから。

「人だと?……およそ、状況からするにスカリエッティ関連の者だな………だが何故……?」

 

ジルヴェスは相手が少女だからと油断することはなく、冷静でいた。

だが、どうして自分を閉じ込めるように結界を張ったのかが理解出来てはいなかった。

 

「よく分かったな。なかなか頭の回転がいいようだ。さすがはファーシャンベルグ家で造り出された『武帝もどき』というところか」

「な…………」

 

ジルヴェスは相手の少女に言われたことに動揺を隠せなかった。

 

「隙ありだな」

 

その隙を見逃すほど敵は甘くはなく、ジルヴェスは相手の蹴りをもろに食らって吹っ飛んだ。

 

「………くそ、みっともないな、俺。相手の言葉に惑わされて……」

 

けれど、ジルヴェスは軽く立ち上がり土埃を払いながら呟く。

 

「ほう、私の攻撃を耐えるとはすごいな」

 

言葉の端々から自分の力に自信があるように聞こえる。

 

「伊達に鍛えてるわけじゃないからな。ところでお前は誰だ?」

 

内心、ジルヴェスはスバルの打撃の方が重いし痛いよな、ということを考えていた。スバルの場合、防御の上からでも相手を吹っ飛ばす。まぁ、そんな余計なことを相手に言うつもりはなかったが。

 

「誰が答えると言うのだ?わざわざ敵に素性を明かすアホがいるか」

「それもそうだ。じゃあ、力ずくでも…といきたいところだがかわいい女の子相手じゃ本気になれないから今日のところはこれでお別れだ」

「か、かわ……」

 

少女は顔を赤らめモジモジしている。

 

「そんなことしてるとすぐに倒されるぞ」

 

その隙にジルヴェスはそう言い残して、結界の外へと脱出した。

 

「あっ、あいつどこに行った!次会ったときはただじゃおかないからな!……なんて言ってみたり」

 

ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、ジルヴェスが去った方向を睨み付けていた。

彼女はジルヴェスが去るのを見てはいないはずなのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地下水道内へと進入した4人はエリオたちが報告した物音の原因とおぼしきものを突き止めた。

 

「女の子……ですか?」

「うん、そうだね」

 

どうしてこんなところにいるのでしょう、と言いたげなエリオにスバルは答えを持ち合わせてはいなかった。

 

「どうしてこんなに小さな子供がこんなところに?しかも、服も体もボロボロだし」

「ティアさん、とりあえず地上へ戻りませんか?ここだと色々不便ですし」

 

ティアナとキャロも少女について話をしていた。そして、キャロは地上へ上がることを提案した。

 

「そうね。スバル、この子運んでもらえる?」

「全然大丈夫っ」

 

ティアナの指示にスバルは元気一杯に答える。

 

「こういうときだけ頼もしいから不思議よね」

「ティアぁ~」

 

そんなスバルに、ティアナはいつもの毒舌を吐いて、4人は少し笑顔を取り戻す。

物音の原因が女の子と分かり(女の子がどこから来たとか、なんでこんなにボロボロなのか、といった疑問はあるが)4人は緊張がある程度解けたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャマルさん、地下水道へ降りたところ、この子を発見しました。あと、これはこの子の近くに」

「レリック………?」

 

ティアナが手渡したケースを見てシャマルが訊ねる。

 

「はい、おそらくは……。まだ中を確認していないので確証はありませんが」

「もしレリックだとしたらそれを狙ってガジェットが来るかもしれないわね。だから、この子は私とヘリで隊舎に戻るからあなたたちはレリックを持って陸路で隊舎に戻ってちょうだい。いい?あとはティア、あなたに任せるわ」

「はい!」

 

いつもはおっとりしているシャマルだが素早く指示を出していく姿に、フォワードの4人は内心見直していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結界の外へと脱出したジルヴェスたちであったが何故か目の前には先ほどの少女がいた。

 

「おい、お前」

「……なんだ?」

 

ジルヴェスは絡まれて面倒だと言わんばかりの表情で訊く。

 

「敵前逃亡とはどういうことだ?」

「悪いが俺は急いでるんだ。だから君の相手をしてる暇はない」

「ユナの相手は出来ないだとっ?」

 

ジルヴェスの前に立ちはだかる少女はユナと言うらしい。

その少女は、頑なに相手をしょうとはしないジルヴェスにイライラを募らせていた。

 

「さっきも言ったけど俺、相手が女の子だと本気になれないから」

 

それは彼のトラウマから来るものなのか、はたまた彼の気質なのか。ただ、そう言っているジルヴェスの表情は悔しそうで、そしてとても悲しそうなものだった。

 

「どいつもこいつもユナのことバカにしやがって。やっぱりユナのこと分かってくれるのは博士だけだ」

 

だが、それをユナは自身をバカにした態度だと受け取り、ついに怒り出した。

 

「あと君、ユナって言うんだな」

「!…なぜそれを!?」

 

ジルヴェスに自分の名を言われ、ユナは動揺する。

 

「だってさっきから自分で言ってるだろ」

「嘘だ!ユナはそん────」

「ほら」

「くそっ、覚えてろよ」

 

ユナは逃げるように姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シャマル、そっちの状況は?』

 

シャマルがヘリに乗り込み六課隊舎へと移動している途中ではやてから通信が入った。

 

「あの子たちが女の子とレリックを見つけて、ガジェットの攻撃も考慮して私はヘリで女の子を。レリックはあの子たちに任せたわ。女の子、なんだかボロボロなのよ」

『そうなんか。もう、なのはちゃんたちはそっちに向かっとる』

「ええ。それじゃ────」

 

シャマルが通信を切ろうとしたところで警告音が響く。

 

「ヴァイスくん、どうしたの?」

 

シャマルには何が起きたのか分からず、とりあえずヴァイスに訊ねた。

 

「どうやら敵にロックされたようです」

 

そう言われてシャマルは広域スキャンで攻撃位置を特定した。

 

「左側方から………え、何このエネルギー量…」

 

自身の魔法で知り得た情報に言葉を失ってしまう。

 

『シャマル、どうしたんか?』

 

動揺しているのがはやてにも伝わり、心配そうにはやては声をかける。

 

「敵にロックされて…しかも高エネルギーでの攻撃……でも、魔力とは違う」

『なんや?とりあえずなのはちゃんとフェイトちゃんにはヘリの防御と敵の捕縛を────』

 

 

    ドーンッ

 

 

はやてが言い切る前に何かが衝突するような大きな音が立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

言われていた地点の近くに行くところで、ジルヴェスはあることに気付く。

 

「高エネルギー砲撃か……?」

 

そこでジルヴェスは詳しく調べるために、そちらの方へと移動した。すると、六課のヘリを発見する。

 

 

「まさか、この砲撃はあのヘリを撃墜するためのものか!」

 

ジルヴェスは急いでヘリのもとへと翔んだ。

 

「だめだ、間に合わない。こうなったら………《コードシャッフル》!」

 

 

   ドーンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シャマル!ヴァイス!大丈夫なんか?』

 

明らかに普通ではない雰囲気を感じとり、はやては慌てていた。

 

「……………………ええ。なんとか…けど、変な感じが…………」

『変な感じ…?』

「なんか、砲撃のある前に1回ヘリがグラッとして…………あれは!」

 

砲撃は何かに当たっていたのだが、それにより発生した煙で状況がよく分かっていなかった。しかし、その煙が晴れてシャマルたちにもようやく状況が分かった。

 

「ジルヴェスだわ」

『ジルヴェス?そんであいつは大丈夫なんか?』

「大丈夫そうではあるわ。でも、あんな高威力の攻撃を受けてるわけだからすぐには分からない」

 

シャマルは首を左右に振り、不安そうにする。

 

『そうか………そろそろ隊長二人が着く頃やと思う。護衛に関しては二人に任せて安心して戻ってき』

 

はやてとしても不安ではあったが、部隊の(おさ)としてあまり個人的な感情を出しているわけにもいかなかったから必要最低限の指示を出して通信を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いってー、結構もってかれたな……大体Sランクってとこか。さて、とっとと捕まえに行きますか」

「ジルヴェスはそこでヘリの防御をお願い」

 

ヘリへの攻撃を防ぎ、その攻撃を放った相手を捕縛せんとジルヴェスが(まさ)に動き出したとき、フェイトが彼のもとに現れた。

 

「フェイトさん?」

 

意外な登場にジルヴェスは驚いているようだった。

 

「うん。ジルヴェスには護衛をやってほしいの。それにジルヴェスは隠してるつもりだろうけど、ダメージ、軽くないよね?」

 

フェイトはいつもの落ち着いた口調で的確にジルヴェスの状況を言い当てた。

ジルヴェスは降参です、と手を挙げた。

 

「バレバレでしたか。正直相手を追い詰めることも微妙かもしれません」

 

ジルヴェスのこの言葉は半分は本当で半分は違うのだが、彼は彼自身が攻撃を放った相手を捕縛する必要は感じていなかったからフェイトと、おそらく居るのであろうなのはに任せることにした。

 

「じゃあ、よろしくね」

 

それだけ言ってフェイトは翔んで行った。

 

 

 

 

 

 

----しかし、結局砲撃の犯人には逃げられてしまった。だが、得るものも少なからずあった。それは敵の中に戦闘機人が複数体紛れていることだった。








ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m
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