リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~   作:台風一過

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第82話 知りたいことが増えていく

 

 

 

 

(おい)

(ユナ、どうした?)

 

ウェステリアから六課に帰る道すがら、ユナは他の2人には聞かれないように念話でジルヴェスに話しかけてきた。

 

(なんで嘘を吐いたんだ?)

(え?)

(今さっき、はやてとか言うやつに対して本当のことを言わなかっただろ)

 

ジルヴェスを怪しむようなユナの視線に彼は堂々とした態度で答える。

 

(ああ、それはその方が楽だからだよ。わざわざ、元スカリエッティの一味です、なんて言ったって、向こうも動揺するだけでメリットは一つもないからね。まぁ、言ったところで大した問題にもならないだろうけど。それに俺は別に、ユナがスカリエッティの一味だからってだけで保護したいと思ったわけじゃないから。ユナを見てこのままで居させるわけにはいかないと思っただけ。それに俺は、これからユナが出会う人にはユナ自身のことを見て欲しいと思ってる。そのためにも余計な情報は必要ないよね。どうしても知って欲しいことがあるならそう感じたときにユナが自分で伝えればいいことだよ)

(本当にそれでいいのか?本当のことを隠すということだろう?)

 

未だに他者を信用しきれていないユナは不安を隠しきれずにいる。

 

(別に何もかもを伝える必要はないよ。相手だって本当に知りたければ聞いてくるから。そういったことを含めて信頼って言うんじゃないかな。けど、俺はユナのことはユナが話してくれるまで聞かないから。それに、俺だって周りのみんなに隠してることあるしね。それでも信頼してくれるよ)

(…………いつか必ず話す。だからお前もいつかその隠し事とやらを聞かせてくれ)

 

しばらく考え込んで、力強く頷いた。

 

(ああ、分かった。あと、「お前」っていうのやめないか?普通にジルヴェスでいいから。っていうかその方がいい。それと、困ったときはいつでも相談すること)

(……考えておく)

(………)

 

やはり距離のあるユナの言葉だったが、ジルヴェスは「今はまだ仕方ないか」と納得することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隊舎へ戻ると当然ユナのことを聞かれたが、そのあたりはジルヴェスが上手く説明し、齟齬(そご)は出なかった。しかし、当然、隊長陣はジルヴェスの様子に怪しさを感じて、その後ジルヴェスを呼び出した。

 

「すいません、お待たせしました」

「遅いよー」

 

なのははいち早くに不満を述べる。

 

「すいません……で、話って何でしょう」

 

ジルヴェスは何の話かは分かっているが一応、とぼけてみた。

 

「何をとぼけている?」

「そうだぞ。あいつ、ユナっつったっけ?怪しすぎるだろ。何か裏がありますって顔してるぞ」

「はぁ」

 

しかし、シグナムとヴィータに追及を受け、誤魔化しは利かないと改めて感じた。

 

「けど、悪い子には見えないな」

 

フェイトはまた違ったことを言う。

 

「ちょっと、みなさん好き勝手に言い過ぎです。待ってくださいよ」

「にゃはは、そうだね。けど、私もユナちゃんの様子は気になるな」

 

なのはが代表して、改めて質問を投げ掛ける。

 

「正直、素性は俺にもよく分かりません。でも、何となく放っておけなかっただけです。まぁ、そのうち自分の口から話してくれるときがくると思いますよ。以上終わり」

「……え、それだけ?」

 

あまりの中身の無さに思わずなのはが期待外れと言外に言ってしまった。

 

「ええ、まぁ。それ以外は特には」

「でも、何で気になったの?」

 

フェイトがすかさずフォロー(?)する。

 

「……昔の自分に似てたから、ですかね。そのまま放っておいたら取り返しがつかなくなる気がして…」

「ほう……お前も成長したんだな」

「シグナムさん、やめてください」

「ああ、そうだな」

 

ジルヴェスとシグナムの会話になのはとフェイトは首を傾げる。一方、ヴィータはシグナムの言葉に頷き同意している。

 

「どうい───」

「そう言えば、ユナはなかなかいいもの持ってますよ。磨けば光る、ダイヤの原石です」

「本当に?」

 

なのはは二人の会話を追及しようとしたが、ジルヴェスの謳い文句に反射的に飛び付いた。

 

「ええ、保護するってときに一悶着あって戦ったんですけど、ちゃんと教えればすごく強くなりそうな予感がしますよ」

「へぇ、楽しみだなぁ」

「あ、でもユナが自分から指導を受けたいって言うまではなのはさんは大人しくしていてください」

「えー、なんでー?」

 

なぜそうしなくてはいけないのか、理由が分からず、不満を洩らす。

 

「そうじゃないと意味がないからです」

「なんの?」

「そんなことどうだっていいじゃないですか。それよりもう話は終わりですか?だったら帰りたいんですけど」

「待って、まだ話は終わって───」

「いいよ。訊きたいことは訊いたし、聞けることはもうないみたいだから」

 

なのははまだ訊く気というか、問い質す気満々といった感じだったがフェイトが助け船を出してくれた。

 

「それでは失礼します」

 

ジルヴェスは部屋を出て、そのときシグナムとヴィータに向かって念話で伝えた。

 

(余計なことは話さないでくださいよ)

(善処する)

(ああ。けど、なのははしつこいからな。約束は出来ねぇぞ)

(まぁ、とりあえずよろしく頼みます)

 

2人の回答は何とも頼りないものだったが、ジルヴェスは肩をすくめるだけで、部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、何事もなく数日が経った。

 

「でも、やっぱりジルヴェスの様子変だよね…何を隠してるんだろ。ううん、どうして隠すんだろう…」

 

なのははあれからずっと考えていたが答えは全然見つからなかった。

 

「そう言えばジルヴェスの昔のこと、ほとんど何も知らないな……だけど、はやてちゃんたちは知っているんだよね。フェイトちゃんはどうなのかな、訊いてみよう」

 

なのははフェイトに何か知ることはないか訊きに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇフェイトちゃん」

「なのは、どうしたの……?」

 

フェイトは、なのはが思い悩んでいるように見えて心配になってしまった。

 

「ジルヴェスって一体何者なの?フェイトちゃん、何か知らない?」

「んー、私が知っていることは、ジルヴェスがファーシャンベルグの血族ってこと、極力他人と関わろうとしないってことだけ」

 

けれどとりあえず、フェイトはなのはの質問に答えることにした。

 

「ファーシャンベルグ?その家系は何なの?」

「ごめん、私もよく知らないんだ。ただ、一つ言えるのは管理局のデータベースには記録がないってこと。古代ベルカから続く家系らしいけどね」

「……ますます怪しい……ユーノくんなら分かるかな」

 

フェイトからもたらされた新たな情報になのははますますジルヴェスへの疑念を高めていた。

 

「無限書庫に何かしらの情報はあるかもしれないね。今度頼みに行ったら?」

「うん。そうする」

 

なのはは自分で調べることを改めて決意するのだった。

 

 

 

 

 






ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m
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