リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~   作:台風一過

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第9話 長期休暇の約束

 

 

「………それで?」

 

ジルヴェスが部屋に帰るとそれを待ち受けていたらしいイライアスが面白がっているのが丸わかりな顔をして訊いてきた。

 

「それで、ってどういうことだ?」

「しらを切るなよ。ハラオウン執務官とのことに決まってんだろ」

 

だろうと思っていたからこそ、ジルヴェスはしらを切っていたのだが。

 

「それな。大したことはないぞ」

 

なるべくイライアスが興味を抱かないように何事もなかったように話す。

 

「じゃあ、詳しく聞かせろ。大したことはなかったんだろ?だったら話せるはずだ」

 

しかし、ジルヴェスがわざと何事もなかったように話しているのを感じとったのかは分からないが、イライアスは一段と鋭く、質問を続けた。

 

「別に、今度食事にでも行きましょうってだけだが?」

 

これも何でもないといった顔つきで述べる。

 

「………一言だけ言おう。お前は俺の敵な」

「なんでそうなるんだよ?」

 

イライアスの超理論にジルヴェスはついていけていなかった。

 

「クソッ。お前はハラオウン執務官と食事に行くんだろ?すなわちデートだ!あんな美人とデートできるというのにお前は何故そんな間抜けなことを言ってるんだよ!?」

 

イライアスは、ジルヴェスのアホさに呆れ果てていた。

 

「いや、デートなわけないだろ。イライアスはアホなのか?」

 

ジルヴェスはジルヴェスで、すぐにそういう方向に話を向けるイライアスのアホさに呆れていた。

 

「いーや、これに関してはお前が間違ってる。普通はあんな美人で優しそうな人と食事に行けるってことになったら小躍りして喜ぶもんだぞ」

「分かってるよ。でもな、お前だって知ってんだろ?俺は他人と関わりたくないんだよ、極力」

 

ジルヴェスは先ほどまでのふざけた口調から真剣な口調に変え話す。

 

「でもな、いつまでもそういうわけにはいかないだろ。いつかは克服しなきゃいけない。だったらいつやるかなんて分かるはずだ」

「………それ、学長にも言われたよ」

 

はぁ、とため息を吐きながらそう呟いた。

 

「なんだ、学長は知っているのか」

「いや、知らないはずだ。けど、お見通しって感じだったな。しかも、あの執務官もその話を聞いてたから、きっと俺の力になりたいとか言って関わってこようとするに違いない」

 

ジルヴェスは最悪だ、とでも言うかのような表情で話す。

 

「それでいいじゃないか。何がいけないんだ?」

「別に絶対にダメってわけじゃないけどな……」

「まぁ、悩め。悩んで悩んで、悩んだ先だけに答えが待ってる。それとな、大切なことは、一歩を踏み出す勇気だってこと、覚えておけよ」

「ああ」

 

学長と全く同じことを言うイライアスに、ああ敵わないな、と思ったジルヴェスであった。

 

「ところでジルヴェス、そろそろ期末試験だよな。これが終われば夏休みだ。お前は何か予定はあるのか?」

 

それまでの重い空気をぶち壊して、イライアスは唐突に話題を振ってきた。

 

「まぁ、例年通りってとこかな。ただ、いつもと違うのは何故か『デート』に行く羽目になったってことか……」

「幸せ者め……」

「だから、何度も言うがそんないいもんじゃねぇよ!」

「いや、そんなことはない!………が、そんなことはもうどうでもいいんだ。文句言ったところでジルヴェスが行かなくなるわけでもないからな。で、言いたかったのは今年も夏はどっか旅行に行こうぜ!ってことだ」

 

どうだ、と言わんばかりの顔で言い放つ。

 

「おっ、いいな。どこに行く?」

「管理外世界-地球-だ。どうだ?もう準備はほとんど終わらせたから楽しみにしとけよ」

「おーけー、楽しみにしておく………(地球、だと……?なんか嫌な予感しかしない……が、準備もほとんど終わらせているらしいし、付き合うしかないか……)」

「おう、任せとけ」

 

◇◇◇

 

「ティア、夏休みはどこかに行く予定はある?」

 

訓練を終えて、ティアナが体を休めていると、急にスバルから声をかけられた。

 

「っ!……ないわよ。帰る家も待ってる家族もいないんだから」

 

突然かけられた声に驚き、一瞬ティアナは体を強ばらせた。

 

「そうだったね。ごめん……」

「いいわよ、謝らなくて。気にしてないから。けど、急に声かけないでよね。びっくりしたじゃない」

「うん、分かった……それで、夏休み暇だったら旅行に行かないかな?と思うんだけど…」

 

スバルは、探り探りな感じで提案してくる。

 

「(別に、今さら私が嫌がるとでも思ってるのかしらね。だとしたら、失礼だわ)」

 

ティアナは内心ではそんなことを考えたりしていた。

 

「えぇ?あたしとあんたが?」

 

でも、実際に口に出して言うのは、そんな、つんけんした言葉。

 

「うん!」

 

でも、スバルはもうそんなことをいちいち気にしてはいなかった。これが単なる照れ隠しの類いであるということを見破るくらいにスバルはティアナのことが分かってきていた。

 

「……まぁ、別にいいけど。どこに行くか決めてるの?」

「うん!行き先はね、管理外世界-地球-!なんたってあの高町二等空尉の地元だからね。一度は行ってみたかったんだ~」

 

スバルはとても楽しそうに旅行の計画を語っている。

 

「(このバカは今からすごく楽しそうに話すから、行くって答えて良かったかな、なんて思ったりしちゃったじゃない)」

 

だから、そんなことを考えながらティアナは少し微笑ましげに彼女を見て、返事をした。

 

「あ、そう。じゃあ、詳しいことが決まったらまた教えてちょうだい」

「わかった~」

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

数日経ち、訓練が終わってジルヴェスが部屋に一人でいると通信が入った。

 

「えーと、ハラオウン執務官か。はい、ジルヴェス・クラインです」

「あ、フェイトです。今大丈夫かな?」

「ええ。大丈夫です」

 

ただ、のんびりしていただけであったし、幸い今はイライアスも居らず、ジルヴェスはすんなりと対応している。

 

「良かった。この前、話してたお礼のことだけど、来週とかでいいかな」

「ええ、大丈夫ですよ」

 

ジルヴェスは頭の中でスケジュールを思い浮かべ、承諾する。

 

「本当?じゃあ、来週の日曜の10時にクラナガンのターミナルで待ち合わせにしよう」

 

フェイトは笑顔で約束を取り付けた。

 

「分かりました。ではまた来週」

 

そう言って、ジルヴェスは通信を切った。







ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m
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