リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~   作:台風一過

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第92話 交わした約束

 

 

 

ジルヴェスはなのはの少し前を翔びながら目の前のガジェットを次々と破壊していく。

そして一段落ついたところでジルヴェスはなのはに声をかけた。

 

「ひとまずガジェットは一掃出来ましたかね」

「うん」

 

なのははジルヴェスの手際の良さに感心しながらも、それが()も当然のことであるかのように振る舞うジルヴェスを見て何とも言えない気分になって、彼の後に続いていた。

 

「なのはさん、今さらなんですけどヴィヴィオのことよろしくお願いしますね。きっとなのはさんなら良いママになれますから」

 

すると突然ジルヴェスがそんなことを言う。

けれど、ジルヴェスはなのはの目の前を翔び、今彼がどんな表情をしているのかをなのはが窺い知ることは出来なかった。

 

「……ジルヴェス、どうしてこれで最期、みたいな言い方をするの?」

 

だから、なのはは意味が分からないと言うようにジルヴェスに問いかける。

 

「この先何があるかなんて誰にも分からないじゃないですか」

 

それに対してジルヴェスははっきりと答えた。まるでこれから先のことが彼には分かっているかのような雰囲気を漂わせて。

 

「そうだけど、そんな後ろ向きなこと言わないでよ。私はジルヴェスがいなくなるのには耐えられないんだよ……」

 

対して、今が正に事件の最中で、ヴィヴィオを助けに行くというときでなかったのならきっと、その声には涙が混じっていたのではないか、そんな雰囲気をなのはは漂わせていた。

 

「ありがたいですけど、俺にそんなこと言ってもらえる資格はないですから」

「まだそんなことを言うの?人に優しくされたり好きになってもらうことに資格なんて必要ないんだよ!?……いい加減教えてよ。ジルヴェスが隠してることを」

「じゃあ、今度ユナに訊いてください。ユナには話をしましたから」

「………………分かった」

 

なのはは不承不承といった風にうなずいた。

それは答えてくれなかったことに不満を覚えただけでなく、自分からは伝えようとしない態度に、まるで本当にこれが最期のような感覚を抱いたからだ。

 

「さてなのはさん、着きましたよ。玉座の間」

「うん。これからが本番だね」

「俺はここにいるはずのクアットロを見つけて捕まえてきます」

「……ダメだよ」

「え?」

 

その場を去ろうとしたジルヴェスを制止したなのはにジルヴェスは驚いた。そして理由を訊く。

 

「なんでですか?」

「ジルヴェスが還ってこない気がするから」

 

そう言ったなのははとても不安そうだった。

 

「大丈夫ですよ。俺を誰だと思っているんですか」

 

ジルヴェスはわざとらしく傲慢なことを言って上辺だけでもなのはを落ち着かせようとする。

 

「そうだね、ジルヴェスは強いよ。それはもう誰にも負けないくらいに。きっと今度も簡単にやるべきことをこなすと思う。でもね、すごく強いのがジルヴェスなら、すぐに一人で抱え込んで、無茶をするのだってジルヴェスなんだよ。だから私は心配なの……いつかジルヴェスがその無茶のせいで深く傷付いてしまう気がするの」

 

なのはの言葉は半分過去の自分に対するものでもあった。

何もかもを一人で解決することが正解ではないと、一生懸命さと無茶は別物であると、彼女はそれこそ身をもって知っていた。

 

「…………それでもやらなくちゃいけないんです。なのはさんがヴィヴィオを助ける間に他のことを終わらせるのが今の俺の役目ですから」

 

けれど、ジルヴェスはしっかりとなのはの目を見て、強い意志を、決意を持って彼女に話す。

それは悲しい決意であった。

 

「……約束だからね」

 

それでも今のなのはにはそれ以上のことをジルヴェスに向かって言うことは何故だか憚られた。

 

「分かりました。必ずここに戻ります」

 

ジルヴェスはそれだけ言うと翔び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらあの人、陛下のもとに着いちゃった。でも、陛下なら問題ないですよねー」

 

クアットロは一人、モニターを見ながら呟く。

 

「それにしても、博士が目をつけていた『武帝さま』はどこにいるのかしら」

 

クアットロはジルヴェスを見失っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おそらく、駆動炉を止めても非常用の駆動炉を稼働される。それを管理しているのがクアットロならあいつを止めないとこの船は止まらない」

 

そんなことを考えながらクアットロを探すジルヴェス。

 

「でも、どこにいる?」

 

ジルヴェスは「ゆりかご」の構造を思い浮かべながら思考する。

 

「いるとしたら深部だ。危険が一番少ないからな。おそらくそこですべてをモニター越しに見てる。としたら、見つからないようにしないとな。エリアサーチでクアットロを探しつつ俺はガジェットの殲滅をするか」

 

そう言って、探索能力がついた誘導弾を放った。

 

「今のうちに船の中のガジェットを全滅させておけば後が楽だしな」

 

そう言ってジルヴェスは動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方ティアナたち4人は市街地に出てきていた。

 

「あたしたちは敵の戦闘機人をやる」

「僕たちにはあの召喚士の女の子を任せてもらえませんか?」

 

移動しながらティアナとエリオが話してそれぞれの担当を決める。

 

「初めからそのつもり。あら、お出迎えみたいね」

 

ティアナが気付いて言ったように4人の前方の空をルーテシアが飛んでいた。

 

「僕たちは行きます」

 

エリオとキャロもフリードの背に乗りその後を追う。

そして、残ったティアナとスバルに対して不意打ち気味に攻撃がなされた。

2人はそれぞれ避けたがそのために2人の距離が離れる。その状況を見逃さず、ノーヴェがティアナに接近し、数十メートル離れたビルへと蹴り飛ばした。それによってティアナとスバルはいっそう引き離されることに。

 

「いたた……」

 

飛ばされたティアナは辛うじて衝撃を緩和してダメージを抑えた。そして、ビルの中で立ち上がる。

 

(一対一で戦おうとしないで一旦合流、集団戦で対応、いいわね?)

 

念話で他の3人に指示を出すティアナ。しかし、

 

「そんなことはさせねぇッス」

「(念話が聞かれてる?)」

 

そして、ティアナが指示を出していると、ティアナがいるビルに結界が張られた。

 

「(しまった。やられた……)」

 

ティアナは結界が張られたことで指示を変更する。

 

(やっぱり変更!とりあえず、目の前の敵を撃破。けど無理はしない。通信は以上よ!)

 

それだけ伝えて通信を切った。

 

「(結界解除を待つ間、墜ちるわけにはいかない。それに敵は二人、なんとかなるはず…)」

 

そう考えて、幻術で自分のコピーを何人か作り出しながらノーヴェ、ウェンディに向かいティアナは走り出した。

 

 

 

 

 

 








ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m
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