リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~   作:台風一過

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第93話 不屈の心が窮地を救う

 

 

 

 

 

 

 

「本物がどれかくらい分かってんスよ!」

 

しかし、幻術対策の施されたノーヴェによって、幻術は見破られ、ティアナを狙って蹴りが入れられた。

 

「がっ………」

 

間一髪防御は間に合ったものの、数十メートル吹き飛ばされ、壁に当たって止まる。

 

「……とりあえず、距離をとらないと」

 

ダメージは意外と軽く、すぐに次の行動を起こそうと、ティアナは魔力ワイヤーを飛ばし上階へ上がろうと空中移動をした。しかし、その途中で上から予期していなかった「3人目」、ディードが降りてきた。そして空中でティアナを斬りつける。そして、ティアナはそのまま下層に落ち、床に崩れる。

 

「…くっ………」

 

ディードに斬りつけられ右足を負傷したティアナは顔をしかめる。

 

「よりによって足をやられるなんて……」

 

なんとか、立ち上がるものの歩くことは難しい。

 

「油断した、向こうが2人だと思うなんて……3対1で足はやられた。あたし、もうだめかな……」

 

ティアナは諦めかけていた。

けれどそのとき、ジルヴェスとスバルの顔がふと頭に浮かぶ。訓練校の頃の出来事や、六課に異動してからの出来事など様々な思い出が思い返されていく。

 

「なんでこんなときにあいつらのことを考えてるのかしら……」

 

ティアナは自嘲気味に呟く。

 

「でも、あいつらには絶対に言わないけど、いつもバカみたいに明るくて頑張ってるスバルとか、本音では何を思っているかは分からないけど優しくて強いジルヴェスはあたしの憧れなんだよね……それに、あたしはジルヴェスに勝ちたい。でも、きっとあたしは二人みたいにはなれないし、今のままじゃジルヴェスには敵わない。だけど、ここで諦めたら、あいつにバカにされるし一生勝てない気がする。だからあたしは諦めたらいけないんだ」

 

ティアナは一度諦めかけたが、その目に再び戦意を宿す。

 

「必ず勝つチャンスはある。それを見極めるのよ」

 

自分で自分に言い聞かせる。

 

「それがなのはさんの教導で得たものなんだから」

 

ティアナは行動を起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこに隠れてるんスかね」

「そう慌てないでください。まぁ、あまり時間をかけてしまうのも作戦上良くないですが、攻め急いで作戦を失敗させるわけにはいかないですよ」

「そうッスね。けど、あたしはあいつらを許さねぇッスよ。それに、オレンジ頭の方は捕獲対象じゃねぇッスから手加減もいらないッスしね」

 

ノーヴェはチンクを傷付けたティアナたちに対して、激しい怒りを抱いていた。

 

「そうですね。とりあえず探しましょう」

 

3人はティアナを探し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティアナは魔力ワイヤーで上階へ上がろうとする自分のコピーを作り出した。それに気付いたウェンディがそれを狙って撃ち出す。

 

「幻影か!」

 

しかし、弾が当たって霧散したのを見て呟く。そちらに3人の集中が向いた一瞬を逃さず、ティアナは物陰が出て移動を始めた。

 

「いたッス」

 

しかし、その姿をノーヴェが見逃さず3人に挟まれることに。

 

「(この陣形は見たことがある……それに見たところ完璧に息を合わせてるみたいだけど単調ね。初動を見極めればあたしにも勝機はあるわ)」

 

そんなことを考えながら対峙するティアナ。しばらく4人はにらみ合っていたが、ついに動き出した。

 

「(……来た)」

 

ティアナは相手の初動に合わせて撃ち出した。しかし、それらは軽々と避けられてしまう。ただ、ティアナの目的はその射撃で相手は墜とすことではなく、3人の体勢を少しずらすことであった。

そして、それは見事上手くいき、それぞれの動きのタイミングがずれ、ティアナは3人の攻撃を順に受け止めることが出来た。ノーヴェとディードとは近接戦となり、ウェンディが援護射撃をする状(かたち)に。ティアナは援護射撃に対しては戦っているノーヴェたちを盾にしながらかわし、ノーヴェたちにゼロ距離射撃を喰らわせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し時間を遡る。

 

「ラグナ…?」

 

病室で目を覚ましたヴァイスの目の前にいたのは妹のラグナであった。

 

「うん。よかった、お兄ちゃんが目を覚まして」

 

笑顔でラグナは答えるがヴァイスの顔色は芳しくない。

 

「あ、あのな……」

「私ね、目も大分良くなってあと少しもすれば眼帯取ってもいいってお医者さんにも言われてるんだ」

 

そう言って、ヴァイスに向けて笑いかける。

 

「ラグナ、俺はな」

「私たち、もう元の仲の良い兄妹には戻れないのかな…」

 

そのラグナの言葉に、ヴァイスは何か言いたげだったが言葉を飲み込む。そこへ看護婦がやってきて言う。

 

「ここも危ないので避難しますよ」

 

そう言ってラグナを引っ張る。ラグナはそれに抵抗しつつ、ヴァイスに向かって言葉をかけ続ける。

 

「この事件が終わったら昔みたいになれるよね?」

 

しかしヴァイスの返答を聞く前に部屋の外に連れ出されてしまった。

 

「どうすればいいんだ」

 

ヴァイスが呟いていると横で寝ていたザフィーラが起き上がり扉に向かって歩き出した。

 

「旦那、どこに行くんだ?」

 

ヴァイスはザフィーラに問いかける。すると、ザフィーラは歩みを止めて答えた。

 

「やらねばならないことがある。お前が目を覚ますまでは見ていろと言われていたがそれも済んだ」

 

そして、それだけ言って歩みを再開する。

ヴァイスはボーッとザフィーラが部屋を出るのを見送った後、何気なく病室を見渡す。そのとき、愛機ストームレイダーが目に入った。そして、頭には先程のラグナの顔が浮かぶ。ヴァイスは急いでベッドから降りてザフィーラを追って声をかけた。

 

「旦那、俺にも行かせてくれ!」

 

ヴァイスは自分も連れて行くよう頼む。ザフィーラは振り向いて答える。

 

「勝手にしろ」

 

そう言って先を進む。ヴァイスはその後を追って走り出した。

そのとき、後ろから声をかける人物がいた。

 

「なぁ、ユナのことをあいつのところに連れて行ってくれないか?」

 

そこにいたのはユナだった。

 

「構わねぇが、体の方は大丈夫なのか?」

「平気だ」

「分かった。ジルヴェスのとこだな。じゃあ、行くぞ」

 

そう言ってヴァイスはユナを連れてヘリへ急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「後はあなただけよ。大人しく保護されなさい」

 

ウェンディとディードを倒し最後、ノーヴェと対峙しながらティアナは投降を促す。

 

「うるさいッスよ。あたしたちは機械ッス。ただの兵器でしかないんスよ!」

 

しかし、ノーヴェは当然のことながらそれを拒絶する。

 

「そんなことないわよ。あたしは、あなたたちと同じだけど誰よりも人間らしい娘を知ってる。確かに今までは人間とは違うって思ってたかもしれない。でも環境一つで変われる」

 

ティアナが指しているのは当然、スバルのことである。

 

「そんなこと言っても、もう手遅れッス」

「そんなことない!」

 

そして、ティアナとノーヴェが話しているときティアナの背後で動く影があった。次の瞬間、それは立ち上がりティアナに斬りかかる。

 

「あっ……」

 

残りはノーヴェだけだと思っていたティアナは防御をとる暇もなく斬られる……はずだった。しかし、斬りかかったディードは誰かによって撃ち込まれた弾によって倒れた。

 

「え……?」

 

ティアナが振り返るとそこにはヘリに乗り、こちらへテバイスを向けたヴァイスの姿があった。

 

「間に合ってよかったぜ。それに腕も鈍ってねぇようだな」

 

ヴァイスのおかげで助かったティアナだった。

 

 

 

 

 

 

 

 







ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m
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