それでも糸は紡がれ続ける—女傑達の英雄遺文— 作:護人ベリアス
励みになってます!
アンケートご協力ありがとうございます!
中々に難しい票のばらけ具合ですね…アンケートを鑑みながら、検討を進めることにします!
…まぁ反映されるのは結構先になりそうですが…
一応転生(?)的な人物として出したいオリキャラは決まってます。ですが設定をどうするか検討中で…
容姿だけなのか。性格までか。それとも原作に繋がる因果までか。
引き続きアンケートにご協力頂けると幸いです。
この作品には何が足りないんだろうって考えたら、作者の文才とかもあるんでしょうけど、アルゴノゥト亡き後ってのが決定的な問題?と今更気付き出しましたね…
でも二つのことを言わせて頂きたい。
まず第一にアルゴノゥトの呆気ない最期は公式であり、決して作者が殺したという訳ではないこと。(まず最期の詳細の設定は今作ではまだ明確に明かしていないという点は凄く大事)
第二に『アルゴノゥトの遺志』はまだ死んだ訳ではないという点です。
人々を笑顔にしたい、魔物の支配する暗黒の時代を終わらせたい、その『アルゴノゥトの遺志』が生き続けている限り『アルゴノゥト』は生き続ける…と言うことができると考えています。
アルゴノゥトが土台を築いた『英雄時代』はまだ始まったばかりなんですから。(というか微妙に始められてないというのが実情)
日は暮れ始め、日の明かりに代わって月明かりが窓から差し込んでくる時刻まであと僅か。
そんな時に私の視界には私の召集を受けて集まった8人の方が居揃っていた。
招集した理由は言うまでもなく今後を決める軍議のため。
その軍議は少しだけ様相が違うようにも感じる。
本日一回目の軍議よりフィーナが参加するようになり、さらに今回からは私と向かい合う遠い席から私の間近に席をなぜか移したリュールゥとそのそばに腰を下ろした獣人のアンドレイが加わっているためではあろうが、もちろんそれだけではない。
それはある意味当然だった。
今まで軍議で扱ってきた議題とはまるで今回扱う議題の重みが違ったからである。
そのためかここに集う皆さんの表情をいつも以上に堅く張りつめている。
…興味津々とばかりに今にも笑みを浮かべてしまいそうになりつつ私の一挙一動を注視しているリュールゥを除いて。
これは本日二度目の軍議。
ただ一度目との重要度の差はあまりに大きい。
一度目はただ今回の勝利を祝うだけのもの。
だが今回は未来への道を決めるものである。
リュールゥと私の考える『満ちた時』を活かし方を問う、場合によってはこのナクソスだけでなくラクリオス王国、ひいては世界の命運を決めるかもしれないという少々の驕りまで抱いてしまうほど私達に重要な軍議。
そんな軍議が今まさに始まろうとしていた。
そしてその軍議を誰の言葉で始めるか。
それは考えるまでもなく今まさに決断を迫られている私アリアドネの言葉であった。
「皆さんに集まって頂いた理由。それは皆さんにお伝えした通りです。私達の進む道を見定めるため。皆さんの知恵を拝借したいのです。今回の軍議ではそれを話し合いたく思います」
私はそう軍議の目的を告げ、皆さんの意見を待つ。
だが高みの見物を決め込んでいるかのようなリュールゥとその意に従っているに違いないアンドレイはともかく、他の皆さんは口を固く結んだまま何も言わない。
そんな意味のない静寂を嫌った私は早々に次の言葉、私が心の中で密かに温めてきた構想を告げようと決めた。
「ならば私が真っ先に私達の進む道を提示しましょう。ただそれは私のみの考えではありません。英雄アルゴノゥトが生前示されていた構想です」
「「なっ…」」
例の二人を除く皆さんが挙って驚きと共に私の言葉に息を飲む。
「あの英雄アルゴノゥトが…ですか?それは一体どのような構想で?」
息を飲んで私の言葉を待つだけでなく問いを発してきたのはアルの遠征にも参加していたというデキウス。デキウスは期待と驚きが混じったような視線を向けてくる。
…ただ正直に白状するとそこまで期待されるような構想でもなく構想の骨子は実に単純なもの。大事なのはその構想を為すための手立てであった。
「英雄アルゴノゥトはミノタウロスとの戦いに挑む時どのように戦ったか…フィーナ。リュールゥ。あなた方ならば分かりますよね?」
私の問いにびくりと驚くフィーナと余裕綽々と構えるリュールゥ。二人の反応はそれぞれだったが、私の求めていた回答はきちんと返してくれる。
「えっと…ミノタウロスのいる所に直接乗り込んで途中にいた魔物も王都の近衛兵達も蹴散らしてミノタウロスを撃破しました。…まさか王女様?強行突破で魔物を倒すとか仰りませんよね?」
「はっはっは!フィーナ殿。もしアリア殿がそう仰ろうとしておられるならば、相当な武骨な武人かただの愚者に他なりますまい。そういうことではなくアリア殿が仰りたいのは、魔物相手に防衛に徹するだけでなく攻勢にも出るべき…そんな簡単なことにございましょう?」
「…フィーナ?私に何やら妙な印象を抱かれているようですが、その点はじっくりお話ししましょう」
「えっ!?お姉様とお話!?二人きりで…へへ…へへへ…」
「「…」」
「ふふふ…フィーナ殿は実に愉快な御仁ですなぁ。アリア殿への愛では誰にも劣らぬと言っても過言ではなさそうですなぁ」
…もうこの際私が説教をすると言っているの『二人きり』という言葉に妙な反応をするフィーナには誰も触れなかった。
…敬慕も行き過ぎると妙な方向に走るのかもしれないと改めて実感させられたような気分だ。もちろんフィーナにそこまで慕って頂けていることは私にとって喜ばしいことだと十分に理解しているつもりだが。
私は若干引き気味にフィーナに向く皆さんの視線を私に戻すべく咳払いをすると、話を再開した。
「…そしてリュールゥの仰る通りです。私が考える進むべき道とはこれまでのような守勢ばかりではなく攻勢に打って出て、人類の居住域を取り戻していくということ。それは英雄アルゴノゥトの最後の遠征が何よりの証拠。辺境の魔物の侵攻を阻止した後は、すぐさまその奪還に向かうことになっていたことでしょう。即ちこれは英雄アルゴノゥトの遺志でもあります」
私の述べた論に皆さんは一様に頷く。その論自体は特に問題点がないのは分かりきっていたから。
そして何より英雄と見なされるアルの遺志という言葉はこの場において大きな意味を持っていた。それはこれまで皆さんと話を進める中で感じたこと。
実を言うならば、アルからそのような話を聞いたことは私にはない。ただアルが遠征に赴いたという事実はそう推測を立てるのに十分に役に立つものであった。
だからその事実を利用した。アルの遺志がどこにあるのかをもう確認できないことをいいことにして。
皆さんを説得する材料の一つとして、私の論を補強する一つの論として利用したのだ。その成果として皆さんの頷きと一定の同意を得られている。
そんなことをしつつ私の心はほんの少しチクリと痛んだ。だがその理由もその痛み自体にも注意を払う余裕など私には与えられなかった。
「そう申されますが、王女様?攻勢に出ようにも力があまりに足らぬことは王女様もご存じのはず。確かにこのナクソスを魔物の襲撃から幾度も守り抜いてきた我々はこのラクリオス王国中でも最精鋭を名乗るだけの実力を誇っていると私でも思います。ですがそれだけでは攻勢を開始できませぬ。そもそも攻勢とは如何なるものでしょうか?明確な目標を示されるぬ限りどうにも…」
「明確な目標ならあります。そしてその先の指針も」
「それは真ですか?アリア殿?」
「当然です。今からお話ししましょう」
私の言葉に食いつくように関心を示し反応したのはまたもリュールゥ。そのリュールゥの興味津々な視線に応えるように私はあるものを取り出す。
そのあるものとは、フィーナにも一度見せたことのある地図であった。
「ほぅ。一度見せて頂いてよろしいですかな?」
「あ…ええ。もちろん」
「おっと失礼…皆々様も地図をご覧になりたいですな。アンドレイ。他の方のために地図を」
「承知しました」
私の取り出した地図に強い関心を示したリュールゥはまたまたすぐに食いつき、私の許可の下地図を食い入るように眺める。…手書きの地図をそこまで興味深く見られるのは、非常に恥ずかしさを感じたが何も言わないでおくことにした。
ただリュールゥは配慮を忘れることなく同時にアンドレイに別の地図を軍議の場に広げる。そういった準備を既にしている辺り、リュールゥの中でナクソスを出て戦うことこそが答えであるという考えが丸わかりであった。
そしてその広げられた地図は私が書いたものよりは当然数段精巧なものであったため、その持ち主である二人以外の皆さんはそちらに視線が奪われ眺めている。
その様子に私の方が技量が数段劣っているということを目の当たりにさせられるような感覚を覚え、分かりきっていたとはいえ悔しさを覚える。
そうして皆がそれぞれの前にある地図を食い入るように眺めた結果訪れた沈黙。その沈黙はリュールゥの小さな呟きが打ち破った。
「なるほど…アリア殿はどうやらかなりの戦略眼をお持ちのようだ…いやはや旅がかようまでにアリア殿を育てるとは…見識を広げることが何よりも大事と理解する身ですが…非常に驚きですなぁ…」
リュールゥが漏らしたのは、私への称賛と感嘆の声。なぜ私の貧相な地図を見てそのような感想を抱いたのか全く見当もつかない私は反応を返せない。
そうすると、リュールゥは他の方がリュールゥ達の持ち込んだ精巧な地図を眺めているのにも構わず私の地図をその上に広げると、皆を見渡し試すように言った。
「皆々様。このアリア殿の地図を見て、何を読み取りますか?これを見れば、アリア殿の構想の一望が読めるはずにこざいます」
リュールゥはそれだけ言うと、私に一瞥した後皆を見渡しながら沈黙を保つ。
その一瞬向けられた視線が私に答えの口止めを求めるものだと理解した私もまたリュールゥの要望通り沈黙を保つ。
「…ほぅ…なるほど。頭領が感服した理由がようやく分かりました。王女アリアドネ。…我々の想像以上の傑物のようですなぁ」
「でしょう?私とアル殿の見込みは間違っていなかった、ということです。草陰でアル殿もきっと喜んでいることでしょう」
「ですな」
しばらくの沈黙の後最初に口を開いたのはアンドレイ。やはりリュールゥがこの場に出席するよう求めただけあってその才能は折り紙付きのようだ。
…とは言っても私の地図がそれほどまでに評価され、私の構想まで見透かされるとは半信半疑であるのが本音だが。
ただ恐ろしいほどに私の心を見透かしてくるリュールゥのこと。きっとリュールゥは私の構想の骨の髄まで見透かしてしまっているのだろうと考えざるを得なかった。
ただそれ以上に問題なのは何年も私と共にナクソスで戦っていた皆さんが誰一人唸ったり首を傾げるだけでリュールゥとアンドレイが見透かせた構想を全く見透かせていないかのような様子。
…これには少々複雑な気持ちになるが、それはアンドレイに先を越されたという事実を受けて焦りまで覚えて目を凝らして地図を見る皆さんの様子から同じ心境なのは察するまでもない。
そうしてアンドレイにようやく続いたのは、一番焦っているかのような表情を浮かべていたガイウスであった。
「分かりましたぞ!この地図にはこのナクソスから王都までを描いてあります。故に王女様は王都奪還をお考えなのですね!?」
「…アリア殿?そうですかな?」
意気揚々にそう叫ぶガイウス。だが私の方を見て確認を取るリュールゥはもとより私までも芳しい表情は浮かべられなかった。ガイウスの答えの成否を知るべく集まる視線に私は気が進まないながらも答えた。
「…違います。王都奪還もゆくゆくは考えねばなりませんが、早急に目指すこととは考えていません。それよりも為すべきことはいくらでもあると考えています」
「…ぇ?」
「…王族紛いが恥を曝して…」
「…ちっ…」
自信満々だった予測を私に見事に撃沈されたガイウスにそんな軽々しく予測を物申したガイウスに怒りを浮かべるゴヴァンとデキウス。
ガイウスのお陰で雰囲気は先程以上に悪くなったうえに沈黙と言うか沈み切ったと言っても差し支えなくなってしまう。
それを見かねたリュールゥは小さくため息を吐くと、雰囲気を変えるためか一拍する。
「さてさてお一つ申し上げるならば、こう言った人が書く物というものには自然と書き手の癖や心情というものがどうしても現れてしまいます。その描き方、特に丁寧に描かれている部分、繰り返し手直しが行われた部分、色分けが行われている部分、そういった所から書き手の心情は読み取れましょう。それが特に現れているのは残念ですが王都ではなく…」
「辺境かつての第一の都市レムノス…ということかな?リュールゥ殿?」
「流石は元レムノスの城主殿。ご明察にございます。どうですかな?アリア殿がご執心なのはここに描かれしレムノスではないですかな?」
リュールゥの言わばヒントに応じたのはデキウスであった。
そしてリュールゥの指先と皆さんの視線が集まっていたのはレムノス。
そのレムノスは確かに私が目につけていた都市であった。
認めるしかない。デキウスとリュールゥ、アンドレイは私の構想を確かに見透かしていた、と。
それを大人しく認めようと口を開こうとした私であったが、その前にデキウスが話し始めていた。
「王女様。もしこの私をお気遣い頂いているならば、どうかおやめください。確かに私はレムノスを失った身。その恥を雪ぐことができるならば、それほど嬉しいことはありませぬ。ですがそれは王女様の道にもこのナクソスの道にもこの国の道にも関係なき事。私などへの気遣いよりも王女様には為すべきことがありまする。どうかレムノスの奪還は御再考ください」
デキウスは頭を卓に触れ合わんばかりに深々と下げ、私に懇願するように言う。彼の表情が苦渋で歪んでいるのが見えてしまった私もまた表情を歪めずにはいられない。
デキウス本人がはっきりと言う通りデキウスは心から城を失い民を失ってしまったことを恥とし後悔しているのは私も知っている所。
だがデキウスは人一倍責任感が強いラクリオス王国の武人。自分の恥を雪ぐためだけに兵を動かすなど考えられぬことだった。
デキウスはその二つの思いの葛藤に苦しんでいると、ありありと感じ取った。
そんなデキウスを慰める言葉を持つのはこの構想を考えだし、なぜレムノスを奪還しなければならないと考えだしたこの私しかいなかった。
「デキウス。まずは頭をお上げください。そして私の考えを聞いてください」
「…はっ」
デキウスは私の言葉に渋々な感じを残しつつもゆっくりと頭を上げる。それを確かめた私は静かに理由を話し始めた。
「まず正直に言いましょう。私はあなたという優秀な武人がいつまでも過去に囚われていることを望ましく思いません。なのでレムノス奪還の目的にはあなたの雪辱戦という意味も含まれています」
「王女様っ!」
「デキウス殿。まずはアリア殿のお話をお聞きなされ。まだアリア殿のお話は終わっておりませぬ」
「…ぐっ。申し訳ありません」
私の正直な気持ちの吐露にデキウスは私を戒めるべく声を上げる。だがそれを即座に抑えたリュールゥのお陰でひとまずはデキウスも感情を抑える。
そしてここからこそがある意味私の本題であった。
「ただ当然デキウスのためだけの雪辱戦ではありません。レムノスに住み命を落とした全ての方のための雪辱戦でもあります。そして何よりこのレムノスには十分に奪還する価値があります。だからこそ最初の攻勢の対象としたのです」
「その通り。デキウス殿?この地図を見ればよくよくそれが分かるかと思いますぞ?この一帯を治めておられたあなたなら尚更」
「…地図をもう一度よく拝見させて頂いてもよろしいですか?」
「ええ。もちろん」
私とリュールゥの言葉に表情を変えぬままデキウスは地図を借りる許可を求めてくる。
それを私が快諾したのを受け、デキウスは再び地図を注視し始めた。
レムノス。
そこはラクリオス王国南部辺境の一大拠点だった都市。
そこがなぜ南部辺境の一大拠点だったのか?
世界を旅してどのように国家が形作られていったか知るリュールゥとアンドレイなら。
この地図を描き構想を頭で生み出す中で自然とそれに気付いた私なら。
レムノスの城主として辺境一帯の防衛を預かっていたデキウスなら。
それは一目瞭然なのである。
デキウスはしばらく地図を眺めた末に大きく目を見開いて呟いた。
「そうか…そうか…レムノスに集まる各地と繋がる街道…広い平野に存在するという立地条件…」
「どうやらデキウス殿にもようやく分かったようですなぁ」
デキウスの呟きにリュールゥはニヤリと笑う。私もまたデキウスがようやく納得して頂けたのを確認し、ホッと息をつく。
そんなデキウスの呟きの意味をイマイチ理解できぬと首を傾げる他の方への説明はリュールゥと私が請け負った。
「レムノスはラクリオス王国南部辺境の要の都市であったために各地に援軍を送るための街道が整備され、同時にそれに適した素晴らしい立地条件を擁していました。故にこの一帯の防衛の中核を担うに相応しい。それは山奥に存在するナクソスとは大きな違い。同じ奮戦でも影響力は雲泥の差。軍の移動の便の差も明らか。レムノスは絶好の地と言えましょう」
「レムノスというこの一帯にとって大事な拠点が失われて以後力を失ったかのように周辺都市も次々と陥落しました。それほどレムノスの陥落は大きな意味があったと過去に証明されています。ならばもう一度奪還するまで。レムノスの奪還はこの一帯の人々にとっての象徴的な希望となり、反撃へ向けた第一歩となり得ます」
「そして奪還して以後もレムノスは反撃のための拠点として十二分に機能しえまする。アリア殿はよくぞレムノスに目を付けられましたなぁ。我々は心底感服致しました。アリア殿の慧眼は今後も頼りにしていますぞ」
「ありがとうございます。リュールゥ。さて皆さん。私とリュールゥの話で魔物への攻勢を行うための構想はご理解いただけたと思います。第一歩としてレムノスを奪還し、反撃のための拠点を整備し、人々に魔物相手にも勝てるという確かな希望をこの国に打ち立てるのです」
私はそう言って、結果的にリュールゥと共に語ることになった構想を締めくくる。
それは単純明快であった。だが具体性を帯びさせることで実現できるという思いを皆さんに抱かせたのは明らかだった。
「ふむ。流石王女様。私ゴヴァンは賛成いたします。魔物相手の戦い、それも攻勢と来た。ならば反対する理由もありません。腕が鳴りますなぁ!」
「…この国のためとあらば、私もまた全力を尽くしましょう」
「納得いたしました。先程は自分のためなどという無礼な物言いをしてしまい申し訳ありません。王女様のご意見に全面的に賛成いたします。私は一応はレムノスの元城主。周囲の地理は庭の如く知り尽くしております。どうぞ我が力いくらでもお使いくだされ」
「…先程は口を滑らしたことどうかお許しを。王女様の述べられた戦略の意味。十分に理解しました。私ガイウスも賛成です」
「私はもう王女様の仰ることなら火の中水の中でもお供する覚悟です。王女様がそうご決断為されたなら、私は全力で王女様のために戦うだけです」
私の確認にゴヴァン、二アール、デキウス、ガイウス、そしてフィーナが次々に賛同の意を示してくれる。
だが一人賛意を示してくださらず顔を顰めたままの方がいた。
それは先程も疑問を呈したマルスであった。
「…王女様とリュールゥ殿のご意見は理解いたしました。レムノスの奪還。それは大いに戦略的価値があることでしょう。ただそれを如何に為すか…それが未だお聞きできておりませぬ。そこの点の疑問を解消できぬ限り無謀な博打には変わらぬと思いますが…」
「…それ…は…」
マルスの指摘はまさに私がこれまでこの構想を話すことができなかった一番の理由。
如何に戦略を練ろうともその軍略を達成するための戦術や戦法を見出せなければ、達成など到底不可能なのである。
その事実を改めて突き付けられ、今度ばかりは私を含めた皆さんが意気消沈しかける。
だがそれを押しとどめたのはまたもリュールゥであった。
「その点はご心配なく。マルス殿。私も皆々様も皆魔物との戦いにはかなりの経験があります。これこそ皆で知恵を絞り、策を練れば如何様にもできましょう」
「その通り!リュールゥ殿の仰る通り我らはこのナクソスで幾度も魔物の大軍を撃破してきた!防衛戦ではないからと何を恐れる必要があろうか!」
「そう申されるがなぁ。リュールゥ殿もゴヴァン殿も。そう簡単なことではありますまい」
リュールゥの自信ある言葉にゴヴァンが便乗するが、マルスの懸念は揺るがない。
このままでは平行線。
そう思いつつ今の私は知恵を絞れば魔物を撃破することも不可能ではない。そう信じ、リュールゥ達の意見に支持を与えたい私はその平行線を崩すべく口を開いた。
「マルス。あなたの仰ることはごもっともです。ですが最初から諦めるのは愚ではないでしょうか?確かにこれまで勝利を重ねてきたのはあくまで防衛戦のみで攻勢は一度たりともかけたことはありません。ですが策がないなどあり得ぬことだと思いませんか?」
「…王女様がそう仰るならば、私もまた知恵を絞りましょう。ただその策がなくば、私はあくまで反対です。その点をお忘れなきよう」
「もちろんです。無謀な攻勢による不要な犠牲は私もまた望まぬこと。だからこそ皆さんに犠牲を最小限に抑えるための知恵を求めているのです」
私の説得にマルスは条件を付けつつもようやく首を縦に振った。
後は構想を実現するための策を見出すだけ。
そしてその議題の移りを取り仕切ったのはリュールゥであった。
「さぁ。アリア殿のお言葉のお陰で我々の道は見えました。為すべき戦略も見えました。ならばこれより為すべきはアリア殿の構想と大義を果たすための策。それを生み出すはアリア殿を支える我らの役目。さぁ皆さん知恵を振り絞りくだされ。夜も深くなりつつありますが、アリア殿?軍議は続行でよろしいですな?」
「ええ。申し訳ないですが、策を見出すために皆さんには今夜は共に夜を明かして頂きます」
「「ははっ…承知しました」」
リュールゥの許可の求めを受けて、私は有無を言わさぬ言葉で皆さんに協力を求めた。
それに快く応じる力強い応じる皆さんに声に背中を押され、私達の軍議は新たな段階へと進んだ。
この軍議が終わったその時。
私の構想と大義が実現するための策が生み出されたその時。
私達の長く続いた夜には間違いなく光が差し込む。
とりあえずですね。
この世界の地図が欲しいです…言葉で説明してもどうにも…リアル感に欠けますね…
まぁきちんと地図をイメージできるように説明は入れたつもりです。適宜地理情報は補足入れてイメージしやすくなるようにします。
ちなみに補足としてですが、なぜ埋伏の時が長く続いたか実際問題の所を述べます。
まず第一にアリアドネの決心と自信がどうにも生まれなかったこと。フィーナとリュールゥさんのお陰でようやく立てた、という形です。
第二にアリアドネの側近の武人達は戦術眼と指揮官としての素質はあっても戦略眼に欠けていたこと。元々国の中核を担っていたような人材はいないので仕方ない所はありますし、個人的にはそういった遠大な戦略は君主が担わないと主従が逆転しかねないと思ってるからでもあります。(この理論だとリュールゥさんはすごく危険)結局人材としては微妙に二流しかいないと言う感じです。(そしてその程度だからこそアリアドネのような若輩の王女に従っているという一面もありますが)
結局ナクソスにいる面々では決定打を欠いていた、と。だからリュールゥさんが現れただけで一気に事が動き始めたと言う訳です。…リュールゥさん推しだから良い役所与えたとかではないんですよ?本当にリュールゥさんの才覚については吟遊詩人に留まらないのでは、と(過大?)評価してますので。
今後作品を続けていく上で登場させる予定のオリキャラに関わるアンケートです。アリアドネとアイズさん、リュールゥさんとリューさん、と転生思想らしき構想が垣間見えますが、今作でそれを採用するのは違和感はありますか?その構想をどのように思われているでしょうか?
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転生なしでアルゴノゥトと原作は無関係
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転生と言うよりは容姿が似ているだけ
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転生思想あり。性格等での類似点がある
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転生でキャラ同士に因果があるほどの関係