書いたはいいが続きが出てこなくて1年くらい死蔵してた話を消すのもあれだしということで供養。
目が覚めたら下着だけみたいな状態で森の中に放り出されてたで候。
あと体がすごい縮んでたというか
目の前にはそのまま飲み水にできそうなそれはそれは綺麗な湖、背後には目覚めたとき背を預けるように凭れ掛かっていた大木、足元には小さな花が沢山。
昨日の夜こんなところで寝た記憶はないし、というか昨日以前の記憶がないけど、少なくとも下着姿で大自然の中眠りこけるような人間ではなかったと思う。思いたい。
昨日以前の記憶がこれっぽっちも思い出せないけど、なんとなく男だった気がするし、都会か田舎かどっちかと言われたら都会よりなところに住んでた気がするんだが、いかんせん記憶が無いから確かな情報が今この目で見てこの身体で触れたことだけという。
記憶が無くなる前は男だった気がするが、現に今女の子もとい幼女である以上性同一性なんちゃらとかだった可能性もあるし、今現在こんな大自然のど真ん中みたいなところで上下合わせて下着二着だけで眠りこけてた以上田舎はおろか自然と共に生きる系野生児って可能性もある。いや、それなりかそれ以上の質の下着着てる時点で野生児はないかもしれないが。
というかこの下着というか、ドロワーズにキャミソールだかワンピースだかよくわからん服だが、めっちゃ肌触りがいいでござる。シルクとか触ったことない、気がするからよくわかんないけど、なんかそんな感じ。あと我ながらちっちゃな足には編み上げサンダル。どういう格好だ。
閑話休題。
混乱の余り思考が変な方向にズレていったが、とりあえず目下最大の問題は自意識が男なのか女なのかとか、都会生まれなのか田舎育ちなのかとかそんなことではなく、今現在見るからに非力そうな幼女ぼでーで明らかに過酷そうな大自然の中に放り出されてるってとこ。
記憶はないが知識はある、ようなのでわかるというか想像がつくというか推測するというか、屈強な成人男性でも森の中装備もなしに野宿しようものなら野生動物やら雨やら風やら、自然の脅威に襲われ体力を根こそぎ奪われるというに、非力で未熟な幼い少女がそんな自然のなかに投げ出されたら文字通り命の危機である。
つまり絶賛命の危機に晒されてるなう。誰か助けて。
遭難したのか誘拐されたのかよくわからんが、とりあえず遭難した時の心得的な知識に従い行動しよう。そうしよう。
とりあえず下手に歩き回って体力を消耗したら犬の餌まっしぐらだと思われるので、現在地周辺で雨風をしのげそうな場所を探す。
見える範囲にある候補はだいたい3つ。凭れて寝てた木のちょっと上のほうにある洞、泉の向こう側に見える洞窟、地べた。
まあ最後のは論外というか最終手段というか。
冗談はさておき、洞窟は土か石に覆われているせいで体温を奪われかねない。地べたで寝るよりは雨風が凌げるだけマシかもしれないが、熱源がなければ下手すれば地べたより寒い可能性がある。石というのは案外熱を持っていってしまう。
最有力候補の木の洞だが、穴のサイズ的には今の小さな身体ならすっぽり入りそうではある。利点でありまた最大の難点はちょっと高いところにあること。高いところにあるなら野生動物には狙われづらいだろうが、この幼女があそこまで登れるかという問題が付きまとう。
まあ、
幹が壁みたいにデカイせいで表面の凹凸に手足をひっかけて登るしかないが、手足が短いせいでめっちゃ登りづらい。
よっ、ほっ、ここ足乗るか?行けた。よいしょ、せいっ、はい!
「とうちゃーく」
なんか普通に登れた。
たどり着いた洞は、穴から覗き込んで見た感じでは誰も住み着いていないようだった。
虫に食われてできたわけでもなさそうで、内側まで硬い樹皮で覆われてるっぽい。
先客もとい先住民も虫もいないとか最高では?というわけでおじゃましまーす。
洞の中は思ったより広い。ちんまい幼女ボディなら4、5人は入りそうな広さだ。なぜか洞の底はほぼ平らで膝を抱えれば横になれそうでもある。出入口である洞の穴は内側からは立った状態でちょうどお腹から頭の上あたりまでで、寝返りで落ちる心配はしなくてよさそう。
それから、樹皮が黒かったせいで外からはよくわからなかったが、中は結構明るかった。洞が南側にあるからだろうか。
木材というか生木の断熱性能が高いのか、洞の中は暑くも寒くもなく実に快適である。
ひとまずの安全地帯を確保して安心したからか、唐突にお腹が空いてきた。
ここから見える範囲に何か食べられそうなものが無いかと目を凝らす。それなりに高い場所にいるおかげでずいぶんと見晴らしがいい。正面が湖で視界が開けてるからってのもあるかもしれない。
水面が光っていてわかりづらかったが湖の中に結構な数の魚が泳いでいるのが見えた。さすがに素潜りして素手で捕まえるのは無理がある。釣り竿か網でもあれば魚も捕れたかもしれないが、ないものねだりしてもしかたない。
少し離れているが、対岸の洞窟の側に黄色い木の実を付けた木が群生している。なんの木の実かはよくわからないが、とりあえず食べられそうな気がする。食べられるといいなぁ……。
私のいる洞のある大木の根元に視線を戻して、近場にも何かないかと辺りを見回す。
草、枝、葉っぱ、花畑、岩、青いキノコ、黄色と黒の縞々キノコ、赤地に白斑点のキノコ、根元に鳥の死骸が散乱する小さな赤い実をつけた低木、紫色の煙だか胞子だかをまきちらすキノコ、キノコキノコキノコ。
まともなものが無かった。
明らかに食用じゃないどころか毒がありそうなものしかない。あとあの赤い木の実は確実にヤバイ。というかそれ以外ほとんどキノコしか見当たらない。しかもやばそうな警告色したキノコ。なんでこんな風通しも日当たりもいい場所にこんなにキノコ生えてるの。
取りやすそうな地表付近の食べ物は諦めて、頭上というか樹上になにか木の実でもなっていないかと視線を移し。
なんか羽の生えたウサギが飛んでるのをみつけた。
「うぇええ!うさぎがとんでる!」
思わず叫んだ私にびっくりしたのか、羽の生えたウサギは一目散にどこぞへと飛んで行ってしまった。
羽の生えたウサギ、暫定名ハネウサギもびっくりしただろうけど、私もびっくりした。
記憶はないし、大自然の森の中だし、遭難だか誘拐だかされてショックで記憶を失いでもしたのかとなんとなく考えていたけど、もしかするともっとファンタジーなことが起きていたのかもしれない。
まず少なくとも私に残ってた知識が正しければ、というか知識を信じるのであれば、少なくともウサギは飛ばない。
ただの見間違いだったのか、夢だったのか、新種の生物なのか、それともはたまたここは異世界だったのか。
記憶が無いのもライトノベルやらネットノベルやらで流行っていた異世界転生とかそういう話の転生の途中でなんかあったとかなのか。転生だか転移だか漂流だかは不明だが。
……転生でも転移でも、ただ知識に無かっただけだとしても、とりあえず今は食べ物を探す方が最優先か。異世界だろうがそうじゃなかろうが、とりあえず何も食べないと飢えて死ぬし。
いやしかし、未知の植生があるとすると、私の知識に従って木の実やらを取ると危なそうではある。
「こまった。」
とりあえず対岸に生えている黄色い木の実が食べられることを祈りつつ、様子を見に行くしかないかな。ここからだと遠すぎて黄色い木の実ということ以外なにも分からないし。
日はまだ高いが、湖は結構な大きさで、この小さな体の歩幅では対岸にたどり着くまでに日が暮れないとも限らない。
周囲を見渡しても一際目立つ巨木だから暗くなっても寝床を見失うということは無いだろうが、肉食の野生動物でも出たら一巻のお終いである。
切に願う、誰か助けて。
序盤も序盤で終わってるので話の進展はおろか起承転結もないけど好評だったら続きを書くかもしれないし、書かないかもしれない。