「ずずー…」
シュラが来て数日、特に問題もなく日常を過ごしていた。
任務という名の軽い雑用程度ならあったが、襲われることもなければ塾の催しもなく、塾の授業に参加しては神社で休み、暇な時にはフランの所へ。
そんな日常が続いていた。
―――――
「それで…何で私はこんな所に連れて来られてるわけ!?」
何故か森に連れて来られていた。
しかも咲夜とフランも一緒に。
「雪男さんに呼ばれたのでしょう?」
「あんたらが来るのは予想外だけどね。」
「わー!小っちゃい滝!」
「…楽しそうだこと。」
「私達も雪男さんに呼ばれたのよ。意図は分からないけれど…今頃向かっているところでしょう。」
「……まあそれはいいけど…」
魍魎の群れはいつものことだが、別の気配が奥からする。
「面倒なのがいるわね…」
「巫女の勘だとどの程度?」
「封印されてるようだし、放っておけばいいでしょ。」
封印されてるということは危険な存在ということ。
何故そんな場所に連れて来られたかは本当に分からないが、危険なら雪男が指定するわけがない。
つまりはそこまで危険性はない…と判断していいだろう。
「まあ最悪封印が解けようと、そんなに問題はないでしょ。」
「…私も妹様も能力が上手く使えないの。体術だけなら霊夢は圧倒的だし、何かあれば頼むわ。」
「任された。幻想郷でなくとも、二人を守るのは私の役目だもの。仕事はするわ。」
(賽銭が欲しいだけね…)
「雪男達もそろそろ来ると思うけど…」
しかしそれから更に十分程待ち、ようやく合流した。
候補生も全員揃っている。
「お待たせしました。」
「お?あんたらあの時の…」
「またお会いしましたね。」
「遅いわよ。」
合流してからは候補生とフラン達の紹介をしあい、テントと結界の準備を始めた。
結界を張るということは夜は完全に安全ではないのだろう。
それからは志摩がうるさかったこと以外は問題はなかった。
―――――
「~~♪」
フランはとても楽しそうにしている。
こういったことは経験がないのだろう。
今は夕飯を食べ終えて…肝試しという感じの訓練の説明を受けていた。
ちなみに以外にも燐の料理は上手かった。
「これから皆さんにはこの拠点から四方散り散りに出発してもらい、この森の何処かにある提灯に火を点けて戻ってきてもらいます。」
三日間の合宿期間内に達成すれば実戦任務の権利を与えられる。
生活に必要なものはバックに、危険になったら花火を打ち上げる。
花火を上げた者は棄権、二分程でシュラか雪男が向かうことになる。
候補生の皆は開始と同時に走り出した。
「……実戦って…」
「霊夢はこっちな~。」
「お二人もこちらへ。」
二人に呼ばれる。
どうやら私は候補生の訓練には参加しないようだ。
「三人には僕達と、教師陣として行動してもらいます。」
「でも私も候補生よ?二人は塾と関係すらないし…」
「博霊さんは実戦任務も問題ないという報告を…勝手に行動したシュラさんから受けています。」
「だから悪かったっての。そうゆえことだからリタイアした奴いたらよろしく~♪」
「サボりはよろしくないのでは?」
「平気平気~♪」
「…咲夜とフランは何で連れて来たの?それに…実力だけなら燐の方が上よ?」
「お二人についても紫さんから聞いているんです。それに…」
「あれの妹なら問題ないでしょ~。」
「……?あれ?」
「!」
フランを妹と呼ぶのなど一人しかいない。
それに気付いた咲夜の形相は鬼のようだった。
「お嬢様の居場所を知っているのですか!?」
「知ってるけど…教えにゃ~い。」
「止め止めー咲夜、殺してどうするの?」
「………」
「レミリアさんが教えないよう言ってるんですよ。」
「お嬢様が…?」
「レミリアさんは今、祓魔師として既に働いています。実を言うと博霊さんより早くこの世界に来ていたようです。悪魔の説明も受けていたようで…狩りを楽しんでいました。」
「…元気なら…いい…です…」
咲夜はへたりこみそうになる程安心している。
「燐は候補生として、能力の抑制を促す必要がある。だからあっち側。」
「三人は元々の実戦経験、能力からしてこちら側に。ですので…サボる人もいますし、協力をお願いします。」
「…分かりました。しかし代わりに、私も祓魔師…候補生として活動します。」
「願ったりですが…いいんですか?」
「はい。同じ仕事なら、いずれ会えるでしょう。」
こうして候補生と教師陣の間のような立場に、私と咲夜は落とし込まれた。