東方異世界生活記 壱   作:ジシェ

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第十六話

雪男が神社に来てから、幾らか説明を受けた。

雪男と燐の親は『サタン』と呼ばれる最高位の悪魔である。

燐はその力の一端である青い炎を使える。

雪男にはその力はなく、不思議とただの人間。

彼らの育ての親である藤本神父は、燐の力を降魔剣というものに封印してきた。

凡そ16年の間、本人の自覚もなく、常人として過ごしてきた。

 

「その監視が霧隠シュラさん…いえ、抹殺が任務ですか…」

「…メフィストとあんたらの父親は…何が目的だったの?」

「僕はシュラさんから初めて聞きましたが…悪魔に対抗する武器を作る…と…」

「本当に?」

「…」

「本当に…それが目的でしょうか?」

「何が言いたいのですか?」

「私はあまり貴方方との関わりも…ましてや父親になど会ったこともありません。しかし…」

「武器のためだけに、あんな風に愛情注ぐ?」

「……」

 

驚くように目を見開く雪男。

私は雪男から父が死んだことは聞いたことがある。

どう死んだのか、何故死んだのか、何も知らないようだった。

しかし燐は明らかに父を慕っており、雪男も尊敬した口振りをしていた。

雪男はその中に、苦しむように憎む言葉を捻り出していたこともあったが…それでも、彼らの父親は、親として立派だったと断言出来る。

それほどに感情が入り交じりながら、向かう最後は同じだった。

父親の死に対する悲しみ。

これは私や咲夜には…よく分かるものだった。

燐が覚醒してからすぐに死んだ。

それなら、単純に考えて燐が殺したか、燐を守るため死んだか、その二択しか考えられない。

燐の言動を思い返すと、燐は最後を見たのだろう。

他人を庇うなど、例え家族でも難しいだろう。

それが出来るだけで、その人がどれだけ立派だったかすぐに分かる。

 

「あんたらは、そんな打算的に育てられてないよ。」

「…そう…かもしれませんね。僕には…分かりません…」

「…私は自分の能力を怖いと思ってたのよ。」

「?」

「霊夢?」

「燐の能力はたくさんの人の命を奪った。青い夜のこと、聞いたからね。」

「…そうです。兄は危険です。それこそ、理事長に止められなければ…」

「そうね。だから燐自身も、自分の能力を怖がってる。でもね、能力だけが恐怖を生むわけじゃない。」

「…僕も…兄は怖いですよ。」

「それだけ?燐に自分が殺されるのが怖いだけ?違う。親を死なせた燐を憎みながら、死んでくれと兄に願いながら、燐を守るために、わざわざ世話もしてやってる。」

「……」

「怖いのは燐じゃない。置いていかれて、一人になるのが怖いのよ。そういうの…よく分かるわ。」

「…霊夢……貴方には、私達(幻想郷の皆)がいるわ。」

「ありがと咲夜。」

「……」

「よく考えて、思い詰めて、ゆっくり立ち直るといいわ。頑張りなさい。雪男先生。」

 

雪男は静かに帰って行った。

咲夜とフランは…フランが寝てるから今日は泊まっていくようだ。

 

「しかし霊夢?あんならしくないことして、急にどうしたの?」

「別に…ただ…」

「ただ?」

 

(昔の私と重なっただけ…)

「何でもな~い。」

「何なのよ…」

 

―――――

 

翌日、塾は普通に開講した。

燐は変に整えた髪で現れたり、それをしえみが怒鳴ったり、そんな燐を雪男が連行したり、どうやら奥村兄弟は中々に強いようだ。

まだ立ち直ってないのは、少なからず燐と仲の良かった連中だけだ。

それと塾に咲夜も参加し始めた。

フランも半分遊び感覚で参加している。

咲夜は流石の能力と元々の紫からの前情報から問題なく授業を受けている。

というか一度見た冊子の詠唱文とか何で覚えられるのか…咲夜も妖怪でしょ…本人には言えないけど。

とにかくしばらくかかるかもしれないが、当人達は立ち直ったようだし、他も時間をかけて受け入れるだろう。

そんな中、特に時間が経つでもなく、私達候補生全員と他祓魔師多数で、京都への遠征任務を言い渡された。

 

 




霊夢は母親を妖怪大戦争で失い、レミリアとフランの父親は虐待をしている。その話を咲夜は聞いたことがある。という二次いくつか見たんですよね…実際どうだかはZUN氏のみ知るところですが、今回はその二つを使わせてもらいます。
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