コルルが魔界に帰ってから一日が過ぎた。
友達が魔界に帰ったガッシュは、朝になってもそれを引きずっていた。
私も清麿もアミュも、接した時間は僅かなもの。
だからこそ切り替えることが出来た。
しかしガッシュには、そう簡単に立ち直れることではなかった。
ガッシュが会った魔物に、コルルのような優しい魔物はいなかった。
パートナーや周りの人間を思う魔物は始めてだ。
それに(アミュもだが)ガッシュはまだ子供だ。
私もアミュも、ガッシュを元気にするために、どうすればいいか悩んでいた。
そんな中、清麿が本を持って慌てていた。
「清麿どうしたんだぜ?」
「本……?」
「ガッシュ!見ろ!新しい呪文が…第三の術が現れたぞ!」
「おお!凄いぜガッシュ!これで……」
「清麿…私は…私はその呪文で少しは強くなるかの…?」
『!』
「私は…王になりたいとも…王になれるとも思ってない…だが、コルルが泣いてる時…コルルが消えてゆくとき…とても悔しかったのだ…」
「ガッシュ…」
「私が…小さすぎて…何もできぬ私がちっぽけすぎて…とても悔しかったのだ…」
「……大丈夫……」
「アミュ…?」
「ガッシュは……強くなれるよ……」
「…ああ!強くなれるさ!」
「そうだぜ!ガッシュなら、きっと優しい王様になれるぜ!」
「…ウヌ!清麿!特訓に行こう!私は…強くなりたい!」
「ああ!第三の術を試そう!」
「頑張れよ!私は花さんの手伝いしてるぜ。」
「ウヌ!行ってくるのだ!」
「行って…らっしゃい……」
二人が出て行くのを見届け、私は花さんのところへ向かった。
―――――
私は花さんの頼みで、以前のデパートに向かっていた。
花さんから買い物を頼まれたのだ。
そこにまさかの、アミュも付いて来ていた。
「アミュが付いて来るとは思わなかったぜ。」
「…魔物の中には……魔力を…探知出来る……子もいるの……」
「心配だから来てくれたのぜ?」
「……暇だった…から…」
「!……そうか!」
「…?」
「何でも。」
それから二人で他愛もない会話をしていると、不意に後ろから叫び声が聞こえた。
「『ウイガル』!」
「!うぉっ!」
私はアミュを抱えて飛び退いた。
「ハッハー!いたぜ!本の持ち主だ!」
「あいつら…こんな街中で…」
「さあ、大人しく本を焼かせて!王になるのは私なの!」
「こんなとこで暴れる奴…王になんてさせるか!」
「暴れる場所なんてどうでもいいのよ!王ってのはね!何をしても許される!どんな奴だって、ムカついたら叩きのめせるんだ!強ぇ奴も弱ぇ奴も、私の気分次第!」
「…この…!」
「…許せない…!」
「アミュ!移動するぜ!人がいないところへ!」
「逃がすかよ!『ウイガル』!」
「絶対に倒してやる!」
アミュを抱えて再び飛び退き、私は一直線に走り出した。
ここから見える廃屋に向かって。
私達を追う奴らは、倒れた人達を蹴り、どかしながら追って来る。
―――――
(よし!誰もいないな…)
「アミュ、迎え撃つぞ!」
「うん……!」
(しかし…術一つでどうすれば…)
「大丈夫…」
「アミュ?」
「…使い方…」
(!そうだぜ…どんなに弱くても、上手い使い方が出来れば…)
「こんなとこに逃げ込みやがったか!?どこに行こうが、死ぬのは同じだぜ!」
(アミュの術で魔物を拘束した直後…奴が油断したとこで、本を直接燃やす…)
私は八卦炉を取り出し、本を構えた。
「やっとやる気になったか!?だが無駄だな!『ウルク』!」
「!」
魔物の姿が消えたと思った直後、すぐ横に現れた。
「『ウイガル』!」
「うあああ!」
「魔理沙…!」
「ハッ!人間の方はもうダウンかよ!?」
「魔理沙……」
「うう…」
「女は弱ぇな!簡単に終わる!さあ、本を貰おうか!」
男はこちらに歩いてくる。
私は攻撃をもろにくらい、動けない。
(わけないぜ!)
「『パペルト』!」
「なっ!?」
「ん……!」
「か、体が…動かな…!?」
「はああ!」
私は構えた八卦炉で相手の本を燃やした。
制御も上手くいき、本を燃やすだけにとどめることが出来た。
私はついでに男も燃やしてもよかったが…
とにかく本を燃やした以上、勝ったのは私達だ。
「な…あ…フェイン…」
「この…くそ…くそがぁ!」
「大丈夫……?…魔理沙……」
「全然平気だぜ!で?お前、どうするんだぜ?」
「ひっ!」
男は情けない声を上げて走り去って行った。
「初勝利だぜー!」
「…うん…」
私は手を上げて喜び、アミュは分かり辛いが喜んでいた。
―――――
無事に買い物を済ませ帰宅した私は、清麿達に今日のことを話した。
やっぱり本を直接狙うしか勝ち目がないことや、八卦炉の制御。
今後のことについて、私達は話しあった。
夜も更け、眠くなった私達は、話し合いはまた今度にして眠りに就いた。
誰一人として、菖蒲色の輝きを、見ることもなかった。
フェインはアミュに倒させる。わりと最初から決まってました。というのも、オリ魔物を出すのは、百人の魔物の子の設定上、アミュ含め四人程が限界なんですよ。ここでそのカードを切るわけにも行かないのでまぁ…哀れフェイン…。