「あそこか!?」
「………(こくこく)」
「よし!」
もはや喋ることさえ出来ないアミュを抱え、大きい建物にたどり着く。
円形の巨大な建物…幻想郷だと紅魔館や地霊殿程だろう。
「どっちだ!?」
「……」
左の方を指差すアミュ。
もはやここまで運動出来ないのは生活に支障を来すのではないか。
ちなみに十分走って五分休み、担がれてこれである。
十五分程は動いてもいないのだが…とにかく魔力の発動場所には着いたようだ。
『ガロン!』
『セウシル!』
丁度始めたところのようだ。
しかしガッシュと清麿の声は聞こえない。
「別の魔物同士が戦ってるのか?」
「…はぁ……うん…ガッシュ……清麿…呼びに行った…みたい……」
普段と違い息が途切れ途切れだ。
しかしガッシュは一時離脱とはいえ、すぐに戻るだろう。
なら私は、ガッシュ達が来るまで待つ方が…
「…魔理沙…」
「アミュ?」
「ガッシュは……女の子の方……守ってた…このままじゃ…倒される…」
「!」
途切れ途切れで分かり辛いが、つまりはガッシュは守るために戦っていたのだ。
そして今は一対一…ガッシュが守っていた子に勝ち目はない。
そういうことだ。
アミュの言葉は切れていることが多いから、頭の体操になる。
「なんて考えてる場合じゃないな。」
アミュを抱えて入り口へ。
気付かれない内に近づいていく。
『ガンズ・ガロン!』
『マ・セシルド!』
何発も打たれる鉄球、防ぐ盾、その背後から近づく私達。
「『パペルト』!」
「!?なんだこれは…!?体が…」
「やっぱり私達の本領は不意討ちだな…情けないけど。」
「いいよ……別に…」
「今だぜ!攻撃だ!」
「…恵!」
「ええ。『サイス』!」
ブーメランのような塊が、私達の止めた魔物に直撃する。
しかし全くの無傷…攻撃にすらなっていないようだ。
「そんな攻撃が効くかぁ!」
魔物は『パペルト』をも弾き、攻撃を再開する。
やはり強力な魔物に拘束力は低いようだ。
「この…!雑魚は雑魚らしくとっととくたばりやがれぇ!」
「『エイジャス・ガロン』!」
鎖に繋がれた鉄球、あの類いは本人を拘束しても無駄だろう。
なればこそ…実践の時!
「『パペルク』!」
第二の術『パペルク』は、アミュのぬいぐるみを巨大化、動かす術。
練習で一度使った時にはそれしか分からなかった。
しかし少なくとも、そのパンチ一発は岩を砕く威力をしている。
つまり強化されているのだ。
人形を投げ、少女の方で発動すれば…
「!?」
「人形の壁の出来上がりってな。」
そして岩を砕くパンチということは…
「……!」
「な…!?俺の術を…!」
地面を殴れば当然崩れる。
地面伝いのこの術は、その瞬間に効力を失う。
そしてぬいぐるみは、そのまま即戦力として戦える。
「いけいけー!」
「くそ!レンブラント!もっと攻撃だぁ!」
「『ガンズ・ガロン』!」
所詮はぬいぐるみと侮るなかれ。
強化された拳は岩をも砕く。
それなら体はどうだろうか?
答えは簡単。
「並みの魔物より硬いぜ!」
「……魔理沙…でも私達…」
「…逃げるぜ!」
「この…逃がすかぁ!」
「『ガロン』!」
ぬいぐるみがなければ私達は丸腰。
迫り来る敵の術。
およそあれを防ぐ術はない。
一人ならやられただろう。
「『セウシル』!」
「!?この…協力したところで…てめぇらは戦うんだぞ!?何故邪魔しやがる!」
「ガッシュが守ってた…理由はそれだけだぜ!」
「…王様に…興味もないもん……」
ガッシュが守っていたということは、彼女は優しい魔物だということ。
ならば最後まで協力すれば、誰かが優しい王様になる可能性は高くなる。
「雑魚は雑魚らしくくたばれって?その雑魚に追い詰められる気分はどうだぜ?」
「ふざけるな!雑魚が徒党を組もうが、俺が負けるはずがねぇだろ!」
「『ガンズ・ガロン』!」
両手を広げ、鉄球を私達両方に打ち出す。
数は少なくなったが、威力は変わらず。
少女達は術で防ぐ。
私達は…伊達に弾幕ごっこばっかしてたわけじゃない。
「あっはっは!霊夢より遅いな!」
「魔…理沙……ちょっと…止まっ…」
アミュには申し訳ない。
しかし時間稼ぎは十分だ。
「『ザケル』!」
「よっと…」
真横を敵と雷が通過する。
「遅いぜー」
「待たせたのだ…!」
「うわっ!ガッシュ大丈夫か?」
「魔理沙達も来てたのか。」
ガッシュと清麿が姿を現した。