東方異世界生活記 壱   作:ジシェ

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いつの間にか10000ua突破してましたありがとうございます!


level.19

「……おや?」

「…始め…まして…」

「始めまして。僕は森近霖之助。まさかこんな場合もあるとはね…君は誰かな?幻想郷の者ではないね。」

「…アミュ…魔理沙の……パートナー…」

「…成る程…いきなりで驚いたろう。少し説明するよ。ここは――」

 

それから僕は、彼女にこの店の説明をした。

彼女で『二人目』の客だ。

彼女が使える物が果たしてあるのかどうかは分からないが、紫が連れて来たのなら、何か理由があるのだろう。

必要なものが…

 

「どうやらこれだけが君専用らしい。」

 

専用のものはたった一つ。

ただの玉にしか見えない。

不思議なことに能力を使ってさえ全く不明なものだ。

 

「これは…?」

「…ここに…あった…んだ……」

「?」

 

『ここにあった』。

彼女は確かにそう言った。

つまりこれは元々、彼女のものだったのだ。

紫が盗んだか偶然拾ったか…

正体は分からないが大切なものなのだろう。

 

「見つかったようだね。」

「ん…」

「じゃあすぐにでも戻るといい。ここは特殊な場所…君がいて何もないとも言い切れない。」

「…ん……ありがとう…」

「どういたしまして。…魔理沙のこと、よろしく頼むよ。」

 

―――――

 

「……ここは…?」

 

ここはいつもの寝室。

つまりあれは、眠っている間の出来事だったということだ。

不思議なこともあったものだ。

 

「……」

 

ふと手を広げると、小さな玉が転がりおちた。

これがあるということは、夢であって夢ではない。

そんな空間だったのだろう。

何とも不思議だ。

だが見つけた。

この世界にあるはずがないのに。

これがあれば『あの子』を見つけられる。

その場まで向かえる。

まずは見つけよう…止めるために。

 

―――――

 

「……見つけた…」

 

捉えた魔力を下に、私は能力を使った。

魔物が固有で持つ能力…私の場合、それは『瞬間移動』

行きたい場所に、どこまででも行ける能力。

ただし制限はある。

この身ではそもそも行えないこと。

何より、私の持つぬいぐるみと、この玉…『ベステ』がいること。

見つけた場所は国内じゃない。

この能力がなければ、向かうのに時間が必要だった。

 

「……今…行くよ…」

 

―――――

 

「…久しぶり……『ゼオン』…」

「……『――』か…」

「今は…アミュ…」

「…どうでもいい。何の用だ。お前がガッシュといたことは知っている。まさか…記憶を返せとでも言うつもりか?」

「……違う…私は……止めに…来たの…」

「ちっ!その間の抜けた言葉…つくづく苛つくぜ。俺はガッシュだけじゃない。お前も倒すつもりだ。」

「……まだ『許せない』の…?」

「俺から『バオウ』を奪ったことが…許せるものか!俺は必ず越える…!ガッシュも…お前も…父上も…皆越える!精々生き残るがいい…いずれ必ず、その顔を絶望に染めてやる。」

「……」

 

言葉では止められない。

実力行使も、術がなければ戦えない。

そもそも今の私では勝てない。

ここまでだ。

もうゼオンには…何を言っても届かない。

ガッシュが打ち勝つ以外に…あの子は揺るがない。

いつか…ガッシュがゼオンを倒すことを…

 

―――――

 

帰ってきてみれば誰もいない。

どうやらまだ夏休みの約束は続いているそうだ。(話は聞いてた)

…こんな夜中に?―11時

まあ恐ろしい予定だったから終わらなかったのだろう。

下に落ちてる予定表を見て、改めて私はそう思った。

 

―――――

魔理沙side

―――――

 

「清麿、起きるのだ!朝だぞ!」

「せめて家で寝ようぜ。」

「う…ん…!?もうこんな時間か!?二人共急げ!間に合わんぞ!」

「何!?まだ行くのか!?」

「そうだぜ!プールで溺れるぞ!?」

「やかましい!」

 

何故かは知らないが、清麿は遊びに必死だ。

そんな性格ではなかったはずなのに。

しかし…それもそのはずだった。

 

「俺の友達との遊ぶ約束なんだ…」

 

華さんから聞いた。

清麿はガッシュと会うまで、頭の良さを妬まれ、虐めにも近い陰口を叩かれ、教師に嫌われ、居場所がなかった。

そんな清麿にとって、初めての経験なのだ。

『友達との約束』は。

その上プールの約束は、そんな以前の清麿に、唯一友達と言えた子との約束。

必死になっても仕方ない。

 

「行くといいぜ!楽しめよ!」

 

そんな約束に、部外者の私が入るのもおかしな話だろう。

そんなこととは裏腹に…

 

「何言ってんだ?魔理沙も行くぞ。」

「ウヌ!皆で遊ぶ方が楽しいのだ!」

 

楽しい方が優先なのだ。

彼らにとって、内も外もない。

全て内なのだ。

まるで幻想郷のように…全てを受け入れる。

 

「分かった…私も行くぜ!」

 

―――――

 

ちなみに走る方がボロボロの清麿が漕ぐ自転車より速いので先に向かった。

水着がないからだ。

プールには貸し出しもある。

着替えて待つとしよう。

 




種族固有の能力とかガッシュとゼオンには原作なかったんですよね。まあアミュは瞬間移動ということで。ちなみに原作上この会話はイギリスです。アミュの瞬間移動は、自身の感覚で把握出来る距離まで…およそ…ネタバレかもだから言えないけど50kmより広くです。…まあ把握出来るなら魔物の場所なら際限なしですけどね。

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