第一話
紫様は言った。
私の刀はこの世界において最強だと。
紫様は言った。
未熟が故に、失うものがあるかもしれないと。
紫様は言った。
強くなりたいのなら、守りたい何かを見つけろと。
紫様は―――
『世界すら切れるようになりなさい。』
その言葉に、私は答えた。
最初から決まっていて、自分の中で分かっている答えを。
『私は幽々子様を守ります。何を切ってでも。』
「……ふふ……この世界で、あなたがどれほど強くなれるか。見物させてもらおうかしら。」
「何があるかなんて私には分かりませんが、もし強くなるために、今の私に足りないものがあるのなら、私はそれを手に入れます。そうでなければ…紫様の優しさを無駄にしますから。」
「そうね。あなたは私が無意味にこんなことをするとは思ってないから、気付くとは思っていたわ。」
「他の人も…ですよね?」
「全員ではないけれど、確かにそうね。」
「……頑張ります。」
「ええ。」
―――――
紫様と分かれ、私はあるところに向かった。
私と似ている、しかし違う人種が集まる特別な場所。
紫様が言うには、獣を操る者や、炎を操る者、狼に変化する者までいる場所のようだ。
私はそこで、様々なことを学ばなければならない。
強くなるための術だけでなく、紫様が求めたものを、私は見つける。
だから…私は門をくぐり、それを目にした。
『いらっしゃい!』
二十人程の男女が、長机を囲んで座っていた。
「…………」
「あら?随分と呆けた顔してるね?あなたの歓迎で集まったのよ?」
「……あの……これは……?」
「頭領があなたを『夜行』に入れることを決めたの。聞いてない?」
「えっと……」
「その様子だと聞いてないね。とりあえず自己紹介しようか!私は花島亜十羅!妖獣使いよ!と言っても、今はこの子だけね。」
蝙蝠に似た生物が服から顔を出し、軽く会釈する。
「お、お願いします…」
「んじゃ次は……」
―――――
多いので割愛
―――――
「ん~とりあえずこんぐらい?今結構人いないからね。頭領もうじき帰ってくるし、とりあえず聞きたいことある?」
「……まずここはどこなのでしょうか?」
「裏会所属の一団体、夜行よ。仕事はいろいろ。中には護衛とか捜索とかもあるわ。人種も……いろいろね。」
「私は何をすれば?」
「まずは家事類や雑用。それから……まぁ模擬戦ね。」
「…誰と?」
「私」
「……では、何と戦っているのですか?」
「妖と呼ばれる霊や怨念の成れの果て。夜に生きる人外の……化け物達。」
のらりくらりとそう言って、「この子達は違うけどね。」と言い加えた。
正直幻想郷に近い。
しかし全く別の世界だと実感させられた。
この夜行の人達一人一人が、私より圧倒的に強い。
能力の問題か技術の問題か。
どちらだとしても、私が見てきた人達と比べて大分強い。
そして何より幻想郷と違うこと。
それは――本物の死闘。
この世界での敗北は、死となる。
それ程までのことが分かる程、彼女からは『死』の匂いがした。
まるでそこに、幽々子様がいるような。
本物の闘いを知る彼女らに、私が勝るものなど、何一つなかったのだ。
(最初からこれは……紫様もいい性格してますね…)
―――――
「じゃあ始めるわよ~」
そう言い、亜十羅さんは何かを呼んだ。
近くにいたのだろう、熊が走ってきた。
模擬戦の場は山。
それも結構広い。
「私は基本的に戦わない。戦うのはこの子。」
「その熊を倒せばいいのですか?」
「違うわ。ルールは簡単。雷蔵……この子のことね。雷蔵から一時間逃げ続けること。雷蔵への直接攻撃は禁止。山を下るのも駄目。ルールはこれだけ。」
「……もし捕まったら?」
「特にないわ。数十分動いてくれるだけで、どの班に入れるべきかはなんとなく分かるから。」
「……」
「強いて言うなら、雷蔵から逃げ切ることは無理ね。」
「何故ですか?」
「雷蔵は妖、雷を使う獣よ。当然足も速ければ、雷を落とす。自信があるなら、頑張って逃げ切ってみせることね。」
「……」
「じゃあ始めるわよ。始めてから十秒数えてから雷蔵は動くわ。これは、鬼ごっこだからね。」
彼女が「始め!」と叫ぶと同時に、私は走りだした。
木で身を隠すようにして、私は山を登る。
少しして元の場所を見ると、雷蔵が構えていた。
そして十秒が経ち、走りだした雷蔵は、信じられない程の速度で走りだした。
「!?」
(速い…!?あの巨体であそこまでの速度が……!?)
魔理沙の箒並みの速度で走る雷蔵から、少しでも離れようとするが、圧倒的に速い。
追い付かれそうになり、私は木を切り倒すことで時間を稼いだ。
多少でも時間稼ぎにはなったようで、雷蔵の足が止まる。
と同時に、私の横に雷が落ちる。
「!」
「私は言ったわよ?雷蔵は『雷を使う』って。」
私はそれがどういうことか正確に理解してなかった。
それから逃げる度、雷を落とされ、撃たれ、果ては蔦から巡らせ、私の進路を防いでいく。
「はぁ…はぁ…」
「もう諦めるなら言いなさい。終わりにするわ。」
(…まだ二十分…今と同じ逃げ方じゃ稼げない。なら…)
私は再び走りながら、手近な木を切っていった。
当然雷蔵は今までと同じく、越えたり迂回したりで追ってくる。
だから私は、その足場に仕掛けた。
「グァ!?」
「?雷蔵?どうしたの?」
おそらくそれで気付いただろう。
足場に蔓を束ねることで、簡易的な罠を置いたことに。
以前紫様から、剣以外にも戦闘で役立つ手段を聞いたとき、私は視ることを得意とした。
辺りを見て、利用出来る物を最大限利用して、罠や罠への誘導をした。
「へえ~やるね。トラップ仕掛けるとは……でもそうなると、あんたのとこに行くまでにも仕掛けてあるだろうね。」
「……」
「雷蔵、時間までは鬼ごっこ楽しみな!」
「グァ!」
―――――
結果私は捕まった。
おおよそ四十分は逃げることが出来たが、単純な速度で敗けた。
どころか雷蔵は倒した木を吹き飛ばしても来るので、飛んできた木が邪魔で私の進路も邪魔された。
「なかなかやるねぇ~いろんな班に入れれそうだよ。」
「……ありがとうございます。」
「まぁ私の報告から、考えるのは頭領だから、決まったら伝えるよ。とりあえずお疲れ。」
「はい…」
―――――
その日、私は部屋の一室を借りて眠りに着いた。
頭領という人物は、帰って来ることはなかった。
これの原作との話しの絡みは最初はありません。なので何が原作か分かるのは四、五話くらいになると思います。古いし出だし主人公関係ないし……でも最後の方には妖夢がいる場所の話しがあるし、覚えてる人は分かるかな?まぁ頑張って予測下さい。主人公でたら原作出します。