「……何だか懐かしい気がします…」
私は既に夜行を出発し、滞在先へと出向いていた。
懐かしいというのは、その屋敷の外見である。
隣にもう一軒似た屋敷もあるが、白玉桜と似た造り。
高い木が一つ佇んだ庭。
道場があることくらいしか全く違うことはない。
その屋敷の表札には、『雪村』と書かれていた。
「……貴方が夜行から来た人かしら?」
「はい……あの、何か警戒されてませんか?」
呼び鈴を押し、戸を開けた同い年程の見た目の少女は、何故かとても警戒していた。
訝しむような目でこちらを見ており、周りを少し見渡している。
「えっと……」
「…ごめんなさい。少し前に鬼を連れた人に騙されたからね…」
「…そうなんですか…」
少女は気を緩めたのか、警戒を解き、玄関の方へ翻った。
「とりあえず入って。話は聞いてるし、大丈夫。」
「は、はい!失礼します。」
屋敷へ入ると外見は白玉桜と似ていたが、内装は全く違う造りだった。
その一室に案内され、少し待つよう言われた。
数分後、祖母なのか、一人のお婆さんを連れて戻って来た。
二人は対面に座り、話し始めた。
「時音から、志々尾君のことは聞いています。しかし交代する程の問題とは思いませんが?」
「え?」
「?何かおかしなことが?」
「いえ…確かに既に来ていることは聞いていますが…貴方方の補佐という任務を与えられています。交代の話は聞いてないのですが…」
事実来る前に受けた説明では、補佐という話は聞いている。
しかし初任務を一人で行うなどという暴挙は聞いていない。
「…では、こちらの戦力の増強…ということですか…」
「そう判断していました。説明された内容では、貴方方だけで対処し切ることが出来ない敵が現れたと…これから先、そういう相手が増えていけば、危険だと…」
「…そうですか。分かりました。もう一度問い合わせてみます。貴女がこちらで宿泊されることは確認していますので、時音に案内を任せます。」
「はい。よろしくお願いします。」
多少ごたつきはしたが、問題なく挨拶も終わり、私は時音と呼ばれた少女の案内で、客間に通された。
「とりあえずこの部屋は自由に使っていいわ。仕事は夜だから、夜までは自由に過ごしてて。」
「はい。ありがとうございます。」
「同い年みたいだし敬語なんていいわよ。」
「いえ、これが普通なので…」
「そう?まあ何かあったら呼んで。」
「はい。」
無事にこの屋敷で泊まる許可を得た。
―――――
時間は過ぎ、時刻は十時を回った。
仕事着なのか、白い着物のように着替えた時音は、槍のようなものを持って玄関を開けた。
私は既に外におり、準備を待っていた。
「お待たせ。それじゃあ行きましょ。」
「はい。」
―――――
『………』
「お前なぁ――――!―――!――!?」
「あいつ…」
「あの二人は…?」
着いて早々、二人の少年が喧嘩をしていた。
と言っても片方ががなっているだけで、もう片方はどこふく風なのだが…
それを見た時音が、右手の人差し指と中指を付けた構えをとった。
それを下に振り抜き、叫んだ。
「落ち着けぇ!」
『ぎゃー!』
突然二人の頭を、四角く透明な何かが穿った。
これが現地の専門家、『間流結界術』というものらしい。
どういったものなのかというと、その工程は至極単純。
結界をはる位置、大きさを決め、結界をはる。
ただそれだけであり、幻想郷の能力程、特殊なものではない。
はった結界は解除、そして消滅も出来る。
それが『間流結界術』と呼ばれるものである。
「今度は何があったの!どうせ横取りされただけでしょ!いい加減諦めなさい!」
「結界で囲った奴取るんだぞこいつ!」
「他の獲物行けばいいでしょう。」
「そ、そりゃまぁ…そうだけど…」
「はぁ…もういいわよ。それより裏会から限君と兼任の人が新しく来たから、せめて紹介くらいさせてあげなさい。」
「あ、初めまして。魂魄妖夢です。」
なんとなく気の抜けた挨拶ではあるが、とりあえず顔合わせは済み、仕事に移ることにした。
「じゃあこれから各自討伐していって。魂魄さんは私と来て。」
「分かりました。」
「大物来たら呼びなさいよ。一人で行かない。」
「分かってるっつーの!」
「本当に分かってるの…?まあとりあえず行きましょ。」
「はい。」
こうして私の初仕事が始まった。
まあ毎度のことながら口調が整いません。正直この小説は口調とかは原作とそうとう違うと思いますけど、目を瞑って頂けますと本当にありがたいです。