「妖と妖怪では相当な力の差がある。だからあっちは志々尾君に近接戦を任せて、残りはサポートに徹している。」
「だから…なんですか…」
「……君…妖混じりかな?」
「!」
「いや…幽霊…?まあとにかく、君からは人間以外の気配を感じる。この刀を防げるのが何よりの証拠だ。」
「……」
「君は人間にも、妖にも馴染めない存在のはずだ。だから俺達のように、実力だけを見ている集団にしか馴染めない。」
「そんなことは…」
「無いと言い切れるのかい?」
「……」
確かに、人間が、家族が、主が、死に逝く姿を目の当たりにしている。
私は…これまで確かに孤独だった。
亡霊として主が生き返っても。
友人が増えても。
いずれ無くなる。
失ってしまう。
「俺は孤独を恐れる者が嫌いなんだ。だから君も、志々尾君も、殺すことに躊躇いはない。」
「…なら、早く殺せばいい。私は、最後まで抗わせてもらいます!」
「いいね…その覚悟はかなりいい。けれど…何故君に、俺は手を出さないと思う?」
「…?」
「彼も君も…あそこの術師二人も、強くなる素質を持つからだ。だから君達が強くなれるために、導いてるんだよ。」
「……強く…?」
「俺も元は人間。技を高めるのに躍起になっていた…それで気付いた…俺の技に必要なのは、強者の存在!だから殺さずに生かしておくんだよ。」
「……」
まるで風見幽香のような価値観。
完全なる戦闘狂。
「孤独を恐れること。人間に最も必要ない無価値な感情だ。孤独であることを受け入れ、
「…貴方は…つながりを失って、強くなって、それでいいんですか!?」
「それが邪魔なら、切り捨てるのは道理だろう?」
「…なら、何で黒茫桜にいるんですか?何で強者を探すのではなく作るのですか?本当は…貴方が一番、つながりを求めているんじゃないですか?」
「……俺が…孤独を…恐れている?」
「本当は、強者と戦いたいんじゃない…殺してほしいんです。耐えられなくて、殺してくれることを望んでいる。」
「…黙れ。」
今までより一層速い速度で刀が頬を掠める。
しかしそれが私を切ることはなかった。
「…俺がつながりを求めるはずがない。いつか見たあの男を倒すため、全てを捨てたことに、今更後悔なんてない。」
「……つながりを失った人間が、まともでいられるはずがないんです。全て失ったら…自分が自分であることも、分からないんですから。」
「………」
その妖は刀を全てしまい、その場から飛び退く。
そのまま空に待機していた妖に乗って去って行った。
「……つながりを失うのは…悲しいことなんです…」
全てを捨てた彼と、全てを失った私。
そこに大きな違いはないだろう。
その後に出会った人々が、私と彼を組み分けた。
「…行きましょう。」
私は哀愁を感じながら、時音さん達の元へ駆けて行く。
―――――
(あれは…!?)
空にいる馬のような妖は、巨大な火球を作っている。
まるでとどめとでも言わんばかりに…
「!志々尾さん!?完全変化を…!?」
妖混じりには、完全に妖になる『完全変化』という切り札がある。
しかし原則禁止されており、使用者は裏会を破門にされることも覚悟しなければならないもの。
それを使うということは…
(それ以外に勝機が得られない程追い詰められてる!)
しかしその顔は諦めでも、自棄になっているでもない。
勝利を目指して覚悟している。
放たれる火球には目もくれず、志々尾さんは敵へ跳ぶ。
放たれた火球は時音さん達が受け止める。
(まだ…うっ!)
貫かれた腹部の痛みはかなりのもの。
しかし…時音さん達が亡くなるかもしれないのに、何もしないわけにいかない。
「ふぅぅ……」
私は時音さんが志々尾さんのために張った結果を足場に、妖の元まで翔る。
「!魂魄さん!?」
(ここ!)
志々尾さんが破った防御に追い討ち、妖の胴に刃を突き立てる。
絶対に逃がさない。
「ぐわぁ!」
血を吐く妖の首は、志々尾さんによって落とされる。
こうして強大な敵との初戦は、こちら側の勝利を納めた。
馬…実は原作ではここでは生きるんですよね…残念ながら次の登場あまり意味ないし、ここで退場で。アニメでもここで消えてるみたいですしね。火黒は…もしかしたら原作から少し外れる話しがあるかも。気分次第ですね。