雪男との勉強会も、日常に必要なことは大体終わった。
明日は依頼があるというので早めに帰って行ったが、そろそろ私が町に行ってみるのもいい頃合いだと言われ、翌日町に下りてみることにした。
[所持金:4000]
町に下りて最初に気付いたのは、周りの視線だった。
雪男が言う通りこの服はこちらでは目立つようだ。
(向こうでは普通なのになぁ…)
それどころかもっと派手なのも酷いのもいるのに…と思いながら、私は服屋を探した。
それから五分ほど歩き、服屋を見つけたのだが、そこで雪男に聞いた相場を思い出した。
服は上下合わせて安くても千円は確実に超す。
対して私の所持金は、前日に雪男に千円渡し、兄から貰った弁当で消えた。
雪男が言うには五百円ほどで弁当を作ってくれたらしい。
というかまとめ売りの安い物で作っているらしいので何食分かは作れるらしい。
それでも今の私には結構な贅沢だ。
とりあえず、服か食費かどちらか選ぶ状況になってしまった。
「………」
(……まぁ…いいか…)
正直目立つのは嫌だが食費の方が大事なので、服はまた雪男に頼むことにして、私はスーパー(?)に行くことにした。
インスタント(?)なる簡単な食事が出来る物があるらしいので、それを買いに行く。
コンビニ(?)というところもあるらしいが、スーパーの方が安いらしい。
当然ながらそちらを選ぶに決まっている。
私は貧乏だからこそ、節約が得意なのだ。
(まぁお酒とかですぐに使い切るから意味ないけど。)
その酒も、この世界では飲めないことを考えると、凄く残念だ。
―――――
スーパーについたはいい。
まさかこの世界に、向こうの世界の知人がいるなんて誰が予想出来ただろうか。
「………」
「何で霊夢がいるの?」
「咲夜こそ…」
『…………』
そういえば確かに、紫は一つの世界に一人とは言ってない。
悪魔がいる世界なら、悪魔に仕えていたメイドがいても、おかしくはないだろう。
そして悪魔本人も。
「フランもいるのね。」
「霊夢だ!久しぶり!」
「ええ、久しぶり…かしら?」
「十日ぶり位だと思うわよ。」
「それって久しぶりなの?」
「……」
「ねえ霊夢!魔理沙は!?」
「見てないわね。この世界に来たのは私だけだと思ってたし。」
「そっかぁ……」
「そういえばレミリアは?」
「紫が言うにはお嬢様もいるらしいけれど…」
「まだ見てないよー?」
「……まぁいいわ。こっち来てからのこと聞きたいし、どこかで話さない?」
「そうね……買い物も終わったし、私達の家の方に行きましょう。」
「え待って。まさか紅魔館ごと来たの?」
「そんなわけがないでしょう。二階建てのアパートよ。」
「アパート?」
「……紫様は何も教えずに送ったのね。」
「そうよ。」
「……妹様、もう帰るので、その猫とお別れして下さい。」
「うん!バイバイ!」
「にゃ~」
「ずっと撫でてるとは……それでどっち行けばいいの?」
「ついてきて。」
「ええ。」
―――――
「あんたらにしては随分小さいとこに住んでるわね。」
扉が六つ、階段一つ、敷地としては博麗神社の三分の二、そして隣に畑。
レミリア達が住んでいた紅魔館は博麗神社の二、三倍の敷地…いや、敷地だけ言うなら霧の湖も含め数十倍。
例え主人とメイドの二人の家とはいえ、元と比べて貧相過ぎる。
そして部屋に入ると部屋は五つ。
厠、台所、風呂の基本と、食事処と私室のみ。
そして驚くことに、この五つの部屋のみが彼女らの生活スペース。
他の扉は他人が住んでおり、内部構造は同じらしい。
はっきり言って……
「貧乏…」
「向こうで貧相巫女のあなたに言われたくはないわね。」
「いやだって紅魔館と比べると…」
「妹様の望みよ。」
「?フランの?」
当の本人はどこから連れて来たのか、再び猫とじゃれている。
というか部屋に平気で入れている。
そんなフランはとりあえず置いといて、正直フランが希望する理由が欠片も分からない。
「………」
「その様子だと予想もつかないようね。」
「だってフランがここに住みたい理由なんて分かるわけ…」
「はぁ…妹様は紅魔館を出て日が浅いのは分かるわよね?」
「そりゃまぁ当事者だし…」
「紅魔館にいきなり出入り出来るようになって、あの狭い部屋で五百年近く過ごしていたのに、落ち着くと思う?」
「あぁ~慣れって奴?」
「だと思うわ。」
「フランが願って紫が勧めた?」
「…妹様は、『外の世界の普通位で小さい家』に住みたいと言っていたわ。紫様は、『ならアパートかしら』と言って、ここに住むことになったわ。」
「なるほど…でもあなたからしたらどうなの?」
「私は妹様が住みたいならどこでもいいわ。」
「はぁ…大した忠誠心だこと。レミリアは耐えれずに紫に別行動を?」
「いいえ。お嬢様は元々別行動よ。一人で暮らしてみたいらしいわ。」
「あいつ家事なんて出来るの?」
「……」
「まぁ見つけたら教えるわ。」
「えぇ。私もお嬢様が心配だから…お願いするわ。」
「全く…変に心配かける奴ね…」
「お嬢様は自由気ままだから…今頃どこかで思いの外楽しんでると思うけど…私は少し寂しいわね。」
「……また会えるわよ。どうせこの世界にいるならすぐ見つかるでしょ。紫のことだから、近くに住ませてるだろうし。」
「そうね。」
私達は少しだけ感傷的になりながらも、この世界での暮らしについてを話した。
勿論食事を驕ってもらった(たかった)のは言うまでもないだろう。
そして、今日の目的であった町の散策も、当然出来なかった。
原作キャラの登場早いですね…まぁお察しの通りだと思いますがこの二人に出てもらいました。理由は簡単!僕が出したかった。レミリアファンには申し訳ないですが、別の話展開にお嬢様には協力してもらいましょう!
さて…いつ出すか衝動書きには考えるのが辛い…そして先に言うとこの世界で出そうと思っている東方キャラはもうこれで全員になったです。魔理沙側と妖夢側も既に二人ずつ考えている(話は考えてない)ので予想してみて下さい。二百文字越えたので長文失礼とそしてさよならです。