街に出ると、知らない物ばかりで少しはしゃいでしまった。
薬品に関係する物なら分かる物は多い。
しかし関係ない物では分からない。
娯楽関係は幻想郷と比べて充実し過ぎている。
食料品も幻想郷にない物が多い。
中でもインスタントなどは妖夢に進めたいと思った。
冷蔵庫も大きい上に性能も多い。
布団は紅魔館のベッドのような物が一般的。
なにより、一つの場所で大体の物が買えるデパートなどは驚いた。
紅魔館より大きい建物は幻想郷にはない。
下見で来た学校にも驚いた。
これが学舎なのかと、住居ではないのかと。
幻想郷との違いに、驚いたことを挙げればきりがない。
これが、七日の間に私の抱いた、外の世界の感想だ。
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今日から学生となることに、私は心踊らせていた。
あらかじめ聞いていた時間より三十分前に来る程には。
「少し速かったですね…」
職員室に向かって先生方に挨拶するにしても、十分もかからないだろう。
多少時間を潰せないか…と考えていると、白い球が飛んできた。
それは壁にぶつかった後、足下に転がり動きを止めた。
「なんでしょう…これ…」
「悪い!ぶつからなかったか?」
校庭の方から少年が走ってきた。
私は拾い上げた球を返し、改めて校庭の様子を観察した。
スポーツについてもある程度知っていたため、何をしていたかは想像がついた。
サッカーに野球、ハードルを走っているのは陸上という競技だろう。
三十分、いや二十分ほどここで時間を潰すのもいいと思った。
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チャイムの音に気付き、時間を確認してみると、時間まで五分程となっていた。
私は急いで職員室へ向かい、先生方への挨拶を済ませ、自分の教室へと案内してもらった。
そして、あることに気付いた。
教室での私の紹介、先生が呼んだ名前は、『八意』だった。
私の名前は、『八意鈴仙』となっていた。
どういうことかと混乱していると、紹介が終わり、自己紹介をするよう促される。
「あ…えと…八意鈴仙です。お願いします。」
誰かに聞くことも出来ないため、私はこの日八意鈴仙となった。
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後に知ったが、私の本名の形態は、この世界では少し珍しいようだ。
この世界の名前は、外国人なら名前の後に名字。
日本人なら名字の後に名前、と分けられていて、確かにミドルネームはたった七日とはいえ見たことがない。
そのために紫様が少し名前を変えて書類の提出をしたのだろう。
当の私はというと、少し嬉しく思った。
師匠はどうかは知らないが、私は師匠を、母のように慕っている。
だから、家族のように、形だけでもしてもらえたのは、少しだけ、嬉しかった。
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紹介から四時間、私の席の周りはようやく空いた。
というのも、転入生は知り合いもいないため、色々と質問を受けるというのは分かっていた。
好きなものは、どこから来たか、彼氏はいるか、など色々。
正直に言えば少し疲れた。
でもいい人ばかりで、学校の案内をしてくれたり、今日持って来ていなかった教科書を見せてくれたり、色々と助けてくれた。
思い返していると、先程仲の良くなった少女が話しかけてきた。
「まだ学校のことで聞きたいことある?」
「ううん、大丈夫。教室の場所とかは後で見てみるから。」
「そっか。何か分からなかったら聞いてね。」
「…私のしゃべり方直ってる?」
「え?ああうん。大丈夫だと思うよ。」
実は敬語で受け答えしていると、クラスメイトの一人が、『敬語なんてやめよっ!なんか他人行儀みたいで嫌!』と言ってから、直そうとしていたのだ。
「それならいいけど…」
「しゃべりやすいしゃべり方でいいと思うよ。」
「…そうですね。ありがとうございます。」
「ううん。別にいいよ。」
授業のため話すのをやめ、席に戻った。
初日で彼女のような親切な子と話せてよかったと思った。
…彼と話してはいないが、実は今朝の野球少年も同じクラスだった。
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放課後になり、私は帰宅した。
一緒に先程の少女と私も含め四人で帰っていたが、道が違うため少し歩いて別れた。
それから帰宅した私は、私服に着替え、授業の復習をし、夕食を済ませお風呂に入った。
そして出た後、私は学校に携帯を忘れたことに気付いた。
帰る途中、メールすると言われていたのに…と思い、夜も遅くはなっていたが、学校に取りに行くことにした。
思えば知らない道具を使うことに、少し舞い上がっていたのかもしれない。
私は一応制服に着替え、夜の学校へ向かった。
野球少年と仲良くなった少女は原作キャラです。多分察しが良すぎる人には野球少年で原作ばれたかもしれないですね…次回間違いなく主人公出ます!では。