咲夜と会ってから数日。
これといった用事もなく、町の店に買い物に行ったこと以外では外出もしていない。
雪男との常識の勉強もある程度平気になり、服の代金を雪男が前借りさせてくれたことで、周りからの奇異な目もなくなった。
ただのシャツとスカートを三着ずつ、安いもので見た目の同じようなものを買ったおかげで、二千円程度に留められた。
そして余りは先に渡してくれたので、所持金は少し増えた。
[所持金五千二百円]
そして雪男からコンビニ弁当はおよそ五百円と聞いており、カップ麺というものは安いけど栄養がないと教わった。
どちらを選ぶかは言わずとも分かるだろう。
[所持金四千八百円]
―――――
「では今日は塾の授業に関することをやりましょう。」
「一応悪魔については分かったと思うけど、教科書に書いてあるものはさっぱりね。」
「僕は悪魔薬学の担当なので、他は教えられる程ではないですが、基本程度なら教えられます。」
「じゃあその薬学ってのから始めましょ。」
「はい。ではまず………」
―――――
「とりあえず各授業のさわりだけ教えましたが、どれくらい分かりました?」
「……私は実践派ね。実際に使えば分かるけど、口頭じゃ確実とは言えないわね。」
「博麗さんは性格はともかく覚えは早いので、すぐに他の塾生と同じ程度には出来るでしょう。」
「言ってくれるわね。まあ頑張るわよ。」
「頑張って下さい。……」
「どうかした?」
「いえ…あと二日程でどれくらい出来そうですか?」
「二日?……まあ一人で教科書眺めて分かる程度でいいなら……二十ページくらいは出来ると思うわ。暗記とかは無理だけど……」
「十分です。実は一週間程の合宿があるんです。」
「がっしゅく?」
「簡単に言えば生徒が一ヶ所に泊まって、数日掛けて教えあうということです。」
「ふーん…だから追いついた方がいいって?」
「はい。そこで追いつくことが出来れば、授業に参加も出来ると思いまして…近々試験もありますし、どうですか?」
「うーん…まあ授業に参加しなきゃここに来た意味が微妙になってくるし…二日で頑張ってみるわ。」
「分かりました。では一応他の塾生達にも伝えておきます。」
「ええ。」
「今日は終わりにしますか?」
「そうね。とりあえずもう少し私は教科書読んでみるわ。今日はお疲れ様。」
「お疲れ様でした。」
―――――
雪男が帰ってから少し教科書を読んでみた。
以前と違い、かなり分かるようになった。
とはいえまだ完璧ではない。
悪魔と戦えるようになるのは一体いつになるやら……
私にはまだ、想像も出来ない。
―――――
二日で追いつくのはやはり難しく、合宿二日目からの参加となった。
三日で何とか他の塾生に勉強は追いついた。
そして合宿に参加することを周りに伝え、授業を無事終えた…まではよかった。
今私…いや私達は、結構な重さの石……に見せかけた悪魔を、正座して膝に乗せていた。
「では皆さん、仲良く頭を冷やして下さいね。」
事の発端はこうだ。
聖書:教典暗唱術の授業で、出雲という少女と、坊(?)という少年(?)が喧嘩を始めた。
それを見ていた雪男は、連帯責任と言い、周りも含め全員にこの石を持たせた。
そして三時間この状態でいるように言い、部屋から出て行ってしまった。
合宿の時間の三時間もこのままというえげつなさ。
(初めての授業でこれは……鬼か…?)
そのようなことしか考えられない。
この石は、持ち続けると重くなる悪魔なだけあって、既に結構な重量になっていた。
三時間後には巨岩でさえ軽く感じることだろう。
私はまだ平気ではあるが、しえみという少女にはきついだろう。
各々苦しむ声を上げながら、まさか二人がまた喧嘩を始めるとは思わなかった。
すると突然、辺りが真っ暗になった。
停電という事態らしいが、私には大体見える。
その内ピンク頭……志摩が部屋から出ようとする。
扉を開けると……
「……なんやろ目ぇ悪なったかな…」
「現実や、現実!」
気持ち悪い異形の化け物が扉を破壊して入って来た。
(悪魔…!教室で見たものとは格が違う…!)
今のこの状況…引率の教師は外出、戦闘経験皆無の子供のみ、更には敵は二匹。
(絶対絶命って……まさしく今のことじゃない?)
悪魔との初戦闘は、予想外に早く始まった。
vs.屍(グール)戦です。……今霊夢はどう戦えばいいでしょう…?