「……?」
外が夜だというのに明るい。
それも昼以上に。
時刻はそろそろ十一時、一時間以上いるのに警備員どころか誰一人として来ない。
だというのにグラウンドがあれである。
だから来てみたのだが、その場にいるのは見知らぬ方々。
中には生徒、クラスメイトもいる。
一体何事だろうか。
―――――
「!誰だ!」
『!?』
恐る恐る近付くと、場に似合わない赤ん坊に気付かれ、その場の数人が驚いた顔をしていた。
よく見るとやはり生徒がいるが、見知った顔は三人。
全員クラスメイトだ。
しかしそれ以外は全く知らない。
私を見てナイフを構える目元を隠した男性。
剣を構える長髪の男性。
ただの一般人でしかない私は、数人に敵意を持った目で睨まれていた。
「八意!?なんでまだ残ってんだ?」
「山本さん達こそ何を…」
クラスメイトに話を聞こうとしたら、それを遮り、女性が宣言した。
「晴れのリング、ルッスーリアvs笹川了平、
「勝負?」
「こ、こっちの話だから!早く帰った方が…」
「そ、そうだな!てことでまた明日な!」
山本さんも沢田さんも、何やら慌てた様子で私を帰そうとする。
一体なんなのだろうか。
「あの…」
「ツナ、そいつには言って平気だぞ。」
「喋る赤ん坊!?」
あり得ない。
そうあり得ないはずだ。
赤ん坊が立って喋る、それも流暢に。
医者の弟子である私が、それに興味が湧かないはずもない。
「紫から聞いたぞ。お前にこの戦いを見せるようにな。」
「紫さんから?」
「誰だ?」
どうやら赤ん坊だけが紫さんから話を聞いているらしい。
事情を話せる相手がいないと言っていたはずなのに…
「紫のことは気にしなくていいぞ。口止めされてるからな。とにかく鈴仙には後で説明してやる。今は黙って了平の方に集中しろ。」
「リボーンさんが言うなら…」
「リボーン!?関係ない人を巻き込むなよ!」
「関係大有りだぞ。説明はしねぇが、こいつもマフィア寄りだ。」
「えー!?この人もマフィアなのー!?」
「うるせぇぞツナ。」
何やら私は蚊帳の外で、二人の言い合いが行われていた。
私はどうしようかと考えたが、紫さんが見るよう言ったのに、無視するわけにもいかないと、その場に留まることにした。
言い合いの間にもリングの二人は戦っていた。
白髪の方は先輩であり、ボクシングと呼ばれる格闘技を得意とするらしい。
対する相手は、サングラスをかけた女性のような口調の男性であり、ムエタイなる格闘技を得意とするらしい。
リングは輝いており、赤ん坊からサングラスを借りなければ中は見えなかっただろう。
故に先輩の方は、あまり視界が正常ではない。
蹴られ殴られ相手の独壇場。
「私の思う究極の肉体美とは、朽ち果てた冷たくて動かない肉体♪」
「それって死体のことじゃねーか!?」
「酷い……」
「ふざけるな!」
果敢にも走りだし、先輩は相手を殴り飛ばした。
空中にいる相手に、先輩は確実に拳を当てた。
しかし悶絶しているのは先輩の方だった。
「ぐあっ!腕があぁ!」
「晴れの守護者らしく逆境をはね返してみせたのよん♪私の左足は鋼鉄が埋めこまれたメタル・ニーなのもうあなたの拳は使いものにならないわ。」
先輩の左腕は、おびただしい量の血を流していた。
確かに彼の言う通り、もうこれ以上動かすことさえ激痛を伴う。
直後、空中から声がした。
「立てコラ!」
「コロネロ!」
鳥に捕まれ飛ぶ赤ん坊。
それは、先輩の師らしい。
その赤ん坊が言うには、細胞を休めてベストな状態にするため、右拳は使っていなかったらしい。
その声を聞いた先輩は立ち上がり、右手を掲げ言い放った。
「この右拳は、圧倒的不利をはね返すためにある!」
その宣言を聞いた相手は笑い、とてつもない速度で動き始めた。
対応出来ず拳を食らう先輩は、尚諦めず構える。
そして相手を捉えた先輩は、拳を全力で振り上げた。
「
振り上げた拳は相手の顎を捉え、殴り飛ばした。
しかし相手は余裕そうに着地した。
「クリーンヒットしてたらちょっとやばかったかしら。」
観客は悔しそうにするが、先輩は確かに当てたと言った。
直後照明が砕けた。
辺りは夜の暗さを取り戻し、先輩は瞳を開いた。
「拳圧で照明を砕いたのなら凄かったですね。」
「え?」
「どーいうことかしら?」
「ルッスーリア、奴の体を見てみなよ。」
先輩の体には、塩の結晶が浮いていた。
先輩は汗の水分が照明の熱により蒸発し、残った塩分を拳で打ち出すことにより、照明を破壊したのだ。
「よく分かったな。」
「………」
拳圧だけでそんなことが出来るなど、私は思っていない。
正確にはこの世界でそれ程の拳を持つ人が一般人などあり得ないと思っている。
幻想郷なら美鈴さんとか優香さんとか出来る人はいると思うけれど……
とにかくからくりが分かった彼は、それでも余裕だと言わんばかりに、同じことをした。
先輩の体から結晶を弾き、照明を割る。
先輩がやったものより、明らかに高度な技術を使う。
それでも尚諦めない。
その拳は、三度相手に向かっていく。
しかしその拳は、彼の持つメタル・ニーによって完封されてしまった。
「うわあああ!」
「そんな…!右手まで…!」
沢田さんが狼狽えていると、背後から数人の人間が近付いてきた。
先輩の妹、私のクラスメイトの京子さんと、黒川さん、そして沢田さんの父親。
京子さんは、この戦いをケンカだと思っているようだ。
だから言った。
ケンカはやめてと。
しかし先輩は止まらない。
「たしかに額を割られた時…もうケンカはしないと約束した…だがこうも言ったはずだ…」
『それでもオレも男だ…どうしてもケンカをしなくちゃならない時が来るかもしれない…しかし京子がそれほど泣くのならもうオレは…』
「負けんと…!」
「た…立った…!」
「みさらせ!これが本当の…
先輩の拳が、相手のメタル・ニーを砕いた。
今回あまりセリフ付けられなかった。鈴仙いるだけで大きく変わるところ争奪戦ではないかもしれない…未来編からじゃなきゃ活躍させられない主をお許し下さい!ということで原作公開!『家庭教師ヒットマンREBORN!』
…余談ですが前、後書きでルビって使えないんですよね…なので家庭教師はカテキョーっていうルビを付けといて下さい。