雨の守護者同士の対決…私は遅れてやって来た。
というのも永江さん探しは全員でやっているのだ。
学校帰りに深夜まで探していると、時間の分からなくなる時がある。
気付いた時には既に開始していた。
「は…は…」
急ぎ学校に到着したが、そこには…
「その時雨蒼燕流は、昔ひねり潰した流派だからなぁ!」
胸から肩まで袈裟斬りされた山本さんの姿があった。
「潰した…?」
「!八意さん?」
「来てたのか。」
「今…それよりあれは…」
スクアーロは強い剣士を探していた。
その中、細々と継承されていた時雨蒼燕流という剣術を知った。
彼は継承者と弟子三人と戦い、勝利した。
どういう経緯かは分からないが、その流派の使い手が今戦っている山本さんだ。
故に山本さんの剣は、スクアーロには通用しない。
相手は無傷。
対し山本さんは浅いながらも一太刀受けている。
勝ち目の目は薄い。
しかし彼は諦めていないようだ。
「聞いてねーな…そんな話…俺の聞いた時雨蒼燕流は、完全無欠、最強無敵なんでね。」
あくまでも自分の型を信じ、絶対に勝つという覚悟。
今回はその覚悟が仇になった。
剣の打ち合い、その途中に打たれた柱の破片は彼のの右目を打ち、斬りかかろうと五の型を放ったその腕は、一時的に使い物にならなくなった。
「スクアーロが放ったのは、『
渾身の一振りを強烈な振動波に変え、相手の神経を麻痺させる衝撃剣。
丁寧に解説を入れてくれた敵の一人は、多少は山本さんを認めているようだ。
しかし声音は軽い。
スクアーロも笑っている。
敵からすれば、苦戦する相手とも思われていないようだ。
一度待避して手を回復しようと図る山本さん。
しかしその下からは、剣撃の踏襲。
空間を齧るようと表現された無数の刺突。
「『
その剣は凄まじく、山本さんを地面ごと突き倒した。
頭上から降り注ぐ水は雨のように、スクアーロの体を洗い流す。
その姿は、正しく雨の守護者であった。
「さあ小僧!心臓を切り刻んでやるぞぉ!」
得意気に笑う。
もはや絶望的な状況だ。
「ガキども!刀小僧の無様な最期を、目ん玉かっぽじってよく見ておけぇ!」
「……」
私は匣とリングを取り出す。
最悪乱入してでも、山本さんを助けるために。
どれだけ打ちのめされても諦めない、一人の剣士を救うために。
山本さんはスクアーロの段へ掛け登り、必殺の一撃を撃ち込む。
「時雨蒼燕流…攻式八の型…『篠突く雨』」
「な…にぃ…」
見切られていたはずの刃は、スクアーロの体を捕らえた。
「貴様!時雨蒼燕流以外の流派の流派を使えるのかぁ!?」
「いんや。今のも時雨蒼燕流だぜ。八の型篠突く雨は、オヤジが作った型だ。」
「なるほどな。それで八代八つの型なんだな。」
「ん?」
「八代八つ…つまりあの流派は、一代一つの型を作ってきたんですか?」
「そうだぞ。時雨蒼燕流の継承者は、先人の残した型を受け継ぎながら、新たな型を作り、そしてまた弟子に伝えていくんだ。」
それでは継承の度に、枝分かれした無数の型が生まれてしまう。
その疑問が現れる。
しかし継承の方法は独特で、妖夢さんの剣のような細かく教えるのではなく、一度しか見せない型を盗む形式である。
つまり継承が出来なければ、新しい型は生まれず、この流派は途絶えてしまう。
その上に自らを追い込むように最強と唱え続ける。
あつ途絶えてもおかしくないこの流派は、故に滅びの剣と呼ばれる。
だから彼は構えるのだ。
己が真の継承者であると証明するために。
「時雨蒼燕流…九の型」
剣を振るには些か難しい構え。
いざ放つ直前、スクアーロが動いた。
「水が抉られていく!」
『
剣帝を倒したという奥義。
周囲全てを抉り取る鮫肌のような特攻。
それを山本さんは正面から受ける。
しかしその姿はスクアーロの背後に現れる。
超人的反射神経による攻撃、しかしその剣は空振りに終わる。
背後に現れたその姿は、水に反射して幻影に過ぎない。
本体は…既に斬りかかっていた。
『時雨蒼燕流九の型』
「『うつし雨』」
その剣は、遂にスクアーロの頭部を打ち叩く。
自らの剣を信じ、戦いぬいた山本さんは、この戦いに勝利した。
今回おうどんちゃん出番ないな。残念ながらおうどんちゃんの戦う話はまだまだ先になります…少なくとも争奪戦では戦えないです。特訓くらいならあります予定ないけど。