東方異世界生活記 壱   作:ジシェ

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第七話

(グール)に扉を壊され、ギリギリのところで志摩は攻撃を回避した。

屍の頭は二つあり、片方の頭は、破裂するように口を開けた。

飛び散った体液は私達の全身に降りかかった。

 

「ニーちゃん…!ウナウナくんを出せる?」

「ニーッ!」

 

しえみの連れた小さな悪魔は、体から巨大な木の根のようなものを出し、私達の前に広げた。

屍はそれを壊しながらこちらに近づく。

すると、突然皆が咳き込み始めた。

 

「…皆、どうした?」

「さっきはじけた屍の体液を被ったせいだわ…あんた…平気なの…!?」

 

燐は平気そうにしているが、他は全員辛そうだ。

かく言う私も、皆程ではないが辛い。

この場で問題なく戦えるのは燐だけだった。

だからだろうか。

燐は一人で屍の囮になると言った。

坊の静止を無視して一人部屋を出る燐。

追う屍は一匹、片方はここに残った。

 

「…なんて奴や…」

「結局一匹残ってますけどね!(意味あったんか?)」

「二匹よりは時間が出来たわ。今の内に何か…」

「…このままボーッともしてられん!詠唱で倒す!」

 

坊はそう言うが、志摩は無理だと判断しているようだ。

坊の話では、屍系の致死説が集中している福音書は全て暗記している、全部言えばどこかに当たると、確実性はない。

子猫丸という小さい少年は、前半半分を自分が受け持つと言った。

出雲がそれを止めるが、しえみが頑張っているのに自分何もしないわけにはいかないと叫び、無謀と罵る出雲に向かい、引っ込むように言う。

志摩は仕込み杖を出し、いざとなったら援護すると言った。

二人は詠唱を始め、出雲はまだ迷っている。

私も何もしないわけにはいかない。

 

(弾幕…威力が足りない…なら…!)

 

木の根が消えると同時に、本気の夢想封印を叩きこむ。

本気で溜めるなら一分はかかる。

私は霊力を全力で込め、力を溜め始めた。

変わらず根を破壊しながら、屍は着々と進んでいた。

 

―――――

 

坊が最後の章に入るころには、屍は目前まで迫っていた。

するととうとうしえみが倒れ、根が消える。

倒れたしえみに近づいた出雲が、驚いた顔をしている。

吹っ切れた顔をし、出雲は二匹の狐を召喚した。

短い詠唱をし、彼女は屍に向き直った。

 

「『(たまゆら)の払い』!」

 

彼女の攻撃に、少し怯む屍は、しかし坊へ手を伸ばす。

しかし今度は、私がそれを阻む。

 

「霊符…『夢想封印』!」

 

きらびやかに光る複数の弾幕は、順に屍へと衝突し、吹き飛ばしながら破裂する。

それと同時に電気が付き、坊の詠唱が終わる。

 

「”その録すところの書を載するに””耐えざらん”!」

 

屍は消しとび、全員が一先ず安心する。

私も力を消費したために脱力してしまった。

皆が喜んでいると、燐が戻ってきた。

 

「お前らも倒したのか?スゲーじゃ え?」

「なん…なんやお前なんて奴や!死にたいんかー!?」

 

燐を坊が殴り飛ばす。

私はしえみの方へ行った。

 

「大丈夫?」

「う…うん。」

「あんたがいなかったら、全員無事じゃなかったかもね。ありがと。」

「博麗さん…」

「……あたし、あんたが大ッ嫌い…!」

「!」

「でも今回は助かったわ。それだけ…!」

「…う、うん!」

「素直じゃないわね。」

「う、うるさい!」

 

私達がほのぼのしていると、雪男が戻ってきた。

隣の別の教師を連れて。

と思ったら、天井から理事長が現れた。

一度しか見てないが、あんなに印象的な格好間違えるはずがない。

理事長が指を鳴らすと、天井、襖、果ては床下から、祓魔塾講師が現れる。

そして何かに気付いた坊が口を開くのを遮り、理事長が声高らかに話し始めた。

 

「そう!なんと!この強化合宿は候補生(エクスワイア)認定試験を兼ねたものだったのです!」

 

私も何となく察してしまった。

以前雪男から祓魔師の位を纏めたものを見せてもらったが、候補生は祓魔師の最下級の者だ。

しかし私達は、塾生として、祓魔師の末端程度であり、仕事も何もない。

認定試験ということはつまり、私達を本当に祓魔師にするための、講師達の仕組みだったのだ。

 

―――――

 

騙されたことに苛立っている燐や、理事長の話しで納得している坊ら。

それぞれ心境は違えど、試験の結果を心待ちにしているようだ。

皆で試験のことについて振り返ったり、外野を決め込んでいた他の二人に坊は怒っていたり、それを無視してゲームやら腹話術やらしてる二人がいたり、実際結果を考えてるのは子猫丸と出雲の二人くらいかもしれない。

それからまた全員で話していたりして、雪男の指示により今日は解散となった。

結果は理事長が翌日伝えるそうだ。

 

―――――

 

「無事全員候補生昇格…!おめでとうございま~す!」

 

まさかの外野二人も含め、候補生に全員昇格。

祝いにもんじゃをご馳走すると言うので有り難く頂きましょう。

その日私達(特に私)は、店のもんじゃを食べ尽くす勢いだった。

 

 




燐vsネイガウス先生ははしょってます。基本霊夢視点のこの物語は、霊夢がいないところは切ります。いるところでも原作に描写がなければ切ります。お許し下さい。
あとなんとなくキリがいいので、次回はおまけみたいにします。二巻までで切ったところの会話や、日常会話を書くつもりです。…まあ霊夢編の更新はまた先になりますけどね。
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