喰種だって生きてるんだよぉ。

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平成喰種合戦ドンドコ

 この世界は悲劇だと言う青年が昔読んだ漫画の中に居たが全力で同意させてもらう。

 

 何せご飯を食べてるだけで人が俺を殺しに来るのだ、おかしくない?

 

 親に教わらなかったのかな?食事の邪魔はしちゃ駄目だってさぁ。

 

「悪いけど、食事くらいゆっくりさせてよ。君たち、マナーが悪いよ、マナーが」

 

「糞喰種野郎め、ふざけた態度取りやがって、囲め。一斉に行くぞ」

 

 俺の正論も通じずクインケとか言うなんか凄い武器を持った人達がブチギレながら襲い掛かってくる。

 

 全く世の中おかしい人ばっかしだわ。集団リンチで殺しに来るとか、怖いわぁ。あーあ。それじゃあ

 

「いただきます」

 

 君たちもご飯にしてあげよう。

 

 

 

 喰種とかいう人を食べる生物に生まれて早30年、最初は記憶も含め色々と戸惑ったもののそういう世界だと納得した。

 

 格好いい特殊能力に素晴らしい身体能力、おまけに人一体食べるだけで一月は生きれるエコな体をゲットした俺は凄く良い世界に生まれたもんだなぁ、と最初は受かれていた。

 

 しかし、この世界は殺伐としているようで、俺らみたいな存在を殺す為に喰種捜査官とかいうのがいるらしい。喰種だけを殺す機械かよ…。

 

 

 捜査官なのに殺し屋とはこれ如何に。

 

 俺らみたいに食べる訳じゃなく殺す為に殺すのだ。マジでイカれてるわ。実際俺が10才位のときに両親も殺されちゃったし。しかも死体を弄くって喜んでたし。あーサイコサイコ。

 

 そもそもあいつらだって飯を食べてるのに何で俺は駄目なのかマジで意味わからん。

 

 あいつらが一日飯を食うためにぶっ殺す命の数を考えたら俺のほうが絶対、他の生命に優しい存在なのにね。

 

 テレビでよく言ってるエコなやつだよエコ、地球に優しい存在。

 

 昔は殺しに来る捜査官の人達にも話せば理解してくれるかな?と思ってそう説明したんだけどあいつら反論出来ないからっていきなり殺しに来るのだ。怖いわぁ。というか実際殺されかけた。

 

 何て俺は可哀想なんだろう。おまけに今日も襲われるし、悲しいわー、悲劇の主人公みたいに気分だわー。と、世の無情に思わずため息がでる。

 

 愚痴を聞いて貰うために友人のツッキーの所に遊びに行こうかな。

 ツッキーの本名は月山観母(つきやま みるも)といって、眼鏡の似合うナイスミドルで名家の大金持ちだ。名前も我が儘フェアリー見たいで可愛い。嫌な顔一つせずに俺の話を聞いてくれる、数年来の親友だ。

 

「あ、お土産がいるな」

 

 人の家に遊びに行くときは手土産を持っていくのがマナーだってテレビでもいってたしな。

 

「やべで……、だじげで」「おねがいでず。おねがいじまず……」

 

 何人かはもう食べてしまったが、大丈夫。

 

 手足がちょんぎれているだけでまだ生きてる人がいるからこれをお土産にしよっと。

 

「大丈夫だよ。痛くしないし、ちゃんと君達は骨まで残さず食べて命を無駄にしないからね」

 

 安心出来るように伝えると泣き出してしまった。意味がわからん。

 

 優しくてエコな存在の俺の名前は西行(さいぎょう)

 

 サイキョーみたいでかっこいい名前の30才である。

 

 あ、ついでにこのクインケもお土産に持って行こっと。

 

 




小説って難しいですね。皆さん凄い…。


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