BLEACH ユーハバッハ打倒RTA   作:アタランテは一臨が至高

25 / 28

前回勇音が面会に来なかったのは卯ノ花さんに現場を押し付けられてたからです。


裏話7 On the other hand

「…なあ、そこの刀は女の人になんねーのか?」

 

 

 鳳凰殿での修行を経て新たな斬月を手に入れた一護。

 そんな彼の目の先にあるモノは、水槽の中でゼリーの様なものに浸されている一振りの刀であった。

 

 

「何Dai(ダイ)チャン(いち)。やっぱり女の子に興味があるってKa()?」

 

「なっ…バカ、そんなんじゃねえよ! ただ、何か見覚えがあるなーって…」

 

 

 茶化すような態度を取る王悦に一護が反論する。

 すると、王悦はトーンを落とし、いつになく真面目な雰囲気で語り出した。

 

 

「――その刀、『鞘伏』は失敗作Sa()

 

 

 いつもふざけた態度だった王悦が、どこか後悔するように言葉を紡いでいく。

 

 

「斬れ味が良すぎて、刃がなめらかすぎて幾ら斬っても刃毀れもしなけりゃ血の一滴も刃につかない。これじゃ砥屋が食いっぱぐれちまう。

 ――そして何より、こいつを納める鞘が創れない。これじゃ刀として成立しないってんで瀞霊廷に回さなかったのSa()

 

「ああ、それでその変なのに突っ込んでんのか。でもどっかで見たことある気がすんだけどな…」

 

「まぁ待ちなYo()チャン(いち)。もう少し話は続くんDa()

 

 

 首を捻る一護に対し、王悦は悲しむように、懺悔するように話し続ける。

 

 

「…家出みたいなモンSa()。自分が失敗作じゃないってことを証明したかったのか、一度でも良いから使われてみたかったのか――とにかく、彼女は勝手に瀞霊廷(した)に行っちまったってワケ」

 

 

 そこで言葉を止めると、王悦は一護の方へ振り返る。

 

 

「ま、それで色々あってココに戻って来たってコトSa()!」

 

 

 一転、いつもの調子を取り戻して話を終わらせた王悦に一護は面食らう。

 

 

「それじゃあとっとと瀞霊廷(した)に行く準備をしなYo()。鳳凰殿からは戻れないZe()?」

 

「あ、ああ…じゃあな。斬月のこと、ありがとよ王悦サン!」

 

 

 王悦に急かされて一護は鳳凰殿を去る。

 残った王悦は、また鞘伏の方を向き呟いた。

 

 

「…更木剣人、確かにお前は死神だった。少なくとも、鞘伏の使い手としてはNa()…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――石田雨竜。この者を、我が後継者に指名する」

 

 

 ユーハバッハからの突然の報せ。それに動揺を見せぬ者はハッシュヴァルトを除いて騎士団員(リッター)には存在しなかった。

 

 

「…ふむ。異論も認めぬし懸念も要らぬ…が。一つだけ言っておくならば、この者はお前たちがやけに怖れている死神、更木剣人と戦い、そして生き延びた。もっとも、それが理由で後継者に指名した訳ではないがな」

 

 

 その言葉にまたもや騎士団員(リッター)たちは騒ぎ出す。

 更木剣人。その名は滅却師にとって畏怖の対象であり、御伽噺の住人でもある。

 

 死神が滅却師を滅亡の一歩手前まで追い込んだ先の大戦。それを経験した者は騎士団員(リッター)内にも僅かなれど、その恐怖は色褪せず。

 幼少期より染みついたその恐れは、かつての石田雨竜の様に額に傷のついた死神を目にすれば反射的に攻撃を仕掛ける程のものである。

 

 それと戦闘し、生き延びたと言うなら何かしらのモノがある、ということなのであろう。

 

 しかし、それでも最有力候補であったハッシュヴァルトを差し置いて新参者が後継者に指名されるというのは騎士団員(リッター)たちの胸中に疑念、不安、不満など様々なものを残すのであった。

 

 

 

 

 

「そこのアンタ! タマってるから今すぐ部屋に来て!」

 

「は、はいっ! 光栄であります!」

 

 

 ユーハバッハの招集の後。星十字騎士団の一人、バンビエッタ・バスターバインは苛立っていた。

 “適当なイケメンを殺す”という悪癖が発揮する程度には。

 

 

「何だよお前、イラついてんのか? てっきり安心してると思ってたんだがな」

 

「…どういうことよリル。アンタたちだってさっきの話聞いて何かしら思うところはあるでしょ」

 

 

 いつもの様にイケメンを真っ二つにした直後、いつもバンビエッタとつるんでいる“バンビーズ”の残りの4人が部屋に入って来る。そしてその内の一人、リルトットが奇妙なことをバンビエッタに聞いてきた。

 

 

「お前めちゃくちゃ更木剣人にビビッてたじゃねえか。陛下が勧誘するとか聞いて部屋に引き篭ったりとかよ。だから生き延びた前例が出来たなら安心するだろうってな」

 

「バンビちゃん御伽噺とか大好きだもんねーッ」

 

 

 そんなリルトットとジゼルの言葉にバンビエッタは顔を赤くする。

 

 

「なっ…何よ! アンタたちだって目の前に“額に傷のついた死神”がいたら逃げ出すでしょうが!」

 

「それは無ェよ。まあせめて特記戦力にはしとくべきだとは思うがな。今回の件といい一体陛下は何を考えてんだか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――更木剣人。我らが仲間となる気は無いか?」

 

 

 尸魂界の獄中。そこに座す更木剣人に語り掛けるは滅却師の王、ユーハバッハである。

 

 

「…おや、YHVHじゃないか。随分と唐突だね」

 

「人間たちの呼び名で呼ぶのはよせ。私はユーハバッハだ」

 

「そうか、それではユーハバッハ。結論から言わせてもらうのならば――回答は、否だ」

 

 

 拘束具に身を包まれながら否と答えた更木剣人に対し、ユーハバッハは大した驚きも無く視線を返す。

 

 

「一応、理由を聞いておこうか」

 

「なに、単純だよ。貴方が創ろうとしている世界、それは人の美しさを奪う世界だ。そんなものを私は許容できないというだけの話さ」

 

「……フン。我が騎士団員(リッター)たちがやけに怖れているから訪ねてみたが――ただ、人に憧れているだけの憐れな獣ではないか。特記戦力に加える価値も無い」

 

「違いない。剣無き今、私は貴方と討論を行う資格すらない。――だが」

 

 

 そこで一度言葉は途切れ、更木剣人はユーハバッハを正面から見つめる。

 

 

「貴方は十三隊に敗北するだろう。貴方を殺す準備は整っている」

 

「…くだらぬ妄言だな」

 

「待っていると良いユーハバッハ。今この状況では無様な遠吠えにしか聞こえぬであろうが、私が貴方を斬り伏せて見せよう」

 

 

 滅却師の王と一匹の獣はここに敵対した。

 その戦いの結末は、如何に。

 




次でRTAパートは最後、その次で完全に最終回となります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。