ちょっと思いついたネタがあったので供養します。
夏目ちゃん書きたい欲と幕末書きたい欲を同時に満たす妙案(ゴリ押し)を思いついたのでとりあえず形にしました。
3周年スルーしようと思ってたけど、まぁ何か書くならとりあえず出しとくかということで…
時は幕末………を模したゲーム。
この辻斬・
「……それで?待ち合わせから15分過ぎたわけだけど、一体サンラクは誰を呼び出したんだい?」
「ん?それは来てからのお楽しみだ」
「それにしても、その待ち人はいつ来るんだろうね?」
「まぁ、この
「……それもそうだね」
いつになるかもわからない待ち合わせ。でも、この出会いがうまくいけば今日
「ところで京ティメット、お前の今日の調子は万全なんだろうな」
「もちろん。君に言われた通り完璧に整えてあるよ」
「ならよかった……お、来たか」
視界の端に一人の幕末志士が映った。思ったよりも早かったな。流石の実力だ。
「サンラクくん……よね?」
「おう。待ってたぜ」
「……なんなのこのゲーム。チュートリアルもなしにひたすら殺されるんだけど」
「そういうゲームなんだよ。でも、あのリスキル天誅地獄を
「……納得しがたいのだけれど」
「……そういうもんだから」
新規プレイヤーにはこの幕末の常識は理解できないらしい。残念だ。痺れを切らした京極が口をはさんできた。
「……で、だれ?」
「紹介するぜ京ティメット。こいつが今日呼んだ助っ人にして俺たちの対レイドボスさん決戦兵器」
そして俺は
「『夏目氏』だ」
そこにあったのはNa2megの文字列。いざメンツが揃ってみるとこのドリームチームで挑む挑戦に胸が高鳴る。本音を言えばカッツォがいればよかったが、今回は夏目氏のカッツォに隠れた武者修行的な意味合いがあるから奴を呼んでも仕方がないな。
「……ごめんサンラク。この子誰?」
「カッツォの同僚っていえばわかるか?」
「は!?それじゃまさか、プロ……」
「えぇ。プロゲーマーよ。で、サンラクくん、この人は?」
「ん?あぁ、コイツは京ティメット。噛ませ臭漂ってるけど一応剣道全国クラスの実力者らしいぞ」
「噛まッ……!!サンラク覚えとけよ……
「よろしく。
「…!!………よろしく」
そんな悔しそうな顔をするな京ティメット。当然の結果だぞ。
「それでサンラク、このメンツで僕たちは何をするんだい?」
「今言う今言う」
それでは本日のメインイベント、発表しまぁす!!
「いいかお前ら。今日俺たちは………レイドボスさんを討つ。たったの3人でな」
「は!?君正気かい!?」
「えっと、このゲームにもレイドボスがいるの?」
「プレイヤーだけどな」
「??」
「まぁ、要するに強すぎて超大人数じゃないと倒せない最強プレイヤーだな」
「…はあ」
「倒すぞ。レイドボスさんを。歴代最小人数で」
「サンラク、見つけたよ。レイドボスさんだ」
約5分探し回ればすぐに見つかった。レイドボスさんは団子屋の店先のベンチで一人座り込んでいた。団子を食べるでもなく、ただ座っていた。相変わらず何考えてるかわかんねぇな。
「あの人が…レイドボス…」
「行くぞ。二人とも」
二人を引き連れて正面からレイドボスさんに近づき、話しかけた。
「よぉ、ユラさん。元気?」
レイドボスさんの瞳が俺をとらえ、奇妙な沈黙が流れる。
「そこそこ、かな」
「…そいつは良かった」
一見はただの気軽い挨拶。だけど俺の一言一句には緊張が乗ってしまっている。戦いは既に始まっているんだ。ここからは1セリフでさえ間違えられない。対レイドボスさんにおいて最も重要といえるであろうファクター、『流れ』。確実につかむぞ。
「知らない顔がいるね」
「えと…はじめまして?」
「……うん。強そうだね。
流石はレイドボスさん。一目見てプロゲーマーである夏目氏の実力や経験を見抜いたようだ。臨戦態勢に入るのか、レイドボスさんは立ち上がり、錆光を抜いた。
「…やるんでしょ?」
レイドボスさんが構える。
「…あぁ」
俺達も武器を構える。
だがどちらも動かない。心地よく、あまりに重い沈黙。いつの間にか集まった野次馬も全員黙り込んでしまった。
完全に停止した空気の中で……
…開戦は、突然に。
「……!!!」
レイドボスさんがいきなり動く。
狙いは………
「夏目氏!!!!」
レイドボスさんが夏目氏に突っ込んで一閃。続けざまに二閃、畳みかけるように三閃、追い打ちの十閃。それでもレイドボスさんは止まらない。
『『あぁ!!』』
『『やっば……』』
野次馬でさえもあっけにとられる超次元の連撃。一切生存の余地を残さない必殺の攻撃が、レイドバトルの始まりを告げる。
だが、そのあまりに無慈悲な開戦の合図に京ティメットでさえ戦慄する。
「サンラク!やばいんじゃないのあの人!」
普段はデータ型且つ受け型ゲーマーとして劣化版魚臣慧と称される夏目氏だが、そのプレイスタイルは微妙に異なっている。魚臣慧は集めたデータから相手の攻撃を受け切るための
では何故夏目氏がこのスタイルでプロとしてやっていけているのか。答えは夏目氏個人の対応力。魚臣慧が自分でゲームコントロールして受けた攻撃に予定調和のように完璧なカウンターをキメるのに対し、夏目氏は予想の外からの攻撃でさえも持ち前の反射神経と対応力ですべて受け切って一からカウンターを準備しているのだ。こんなゴリ押しであの
だから、多少の初見殺しじゃあ夏目氏は倒せない。
それが、夏目恵という
『『あぁッ!!!』』
レイドボスさんの連撃が止んだ時そこにあったのは、
「ふぅん……やるね」
「…あなたこそ、化け物か何かじゃないの?」
「よく言われる」
『おぉ…』と野次馬たちの間に感嘆の声がこだまする。彼らにも夏目氏の実力が伝わったのだろう。
「はぇ…すご…」
京ティメットが素直に驚いている。まぁこいつも今まで散々レイドボスさんの被害にあったわけだからな。
ただ、夏目氏がレイドボスさんの攻撃を受け切ったからって夏目氏がレイドボスさんよりも強いわけじゃない。何せ一切反撃の余裕がなかったわけだからな。だからこそ………
「俺達も行くぞ京ティメット!!」
「えっ…うん!!」
たった二人の加勢だったとしても、片やイアイフィスト流免許皆伝拳闘士!片や例のリスポン禁止イベ以来メキメキと実力を伸ばす幕末志士!いくらレイドボスさんだったとしても夏目氏の相手をしながらこのメンツは捌けねぇだろ!!!
「俺らを無視すんなやユラさんよぉ!!!」
「僕らも混ぜてもらおうか!!!」
「「天誅!!!!」」
二人で突っ込み刀を振るう。俺の刀は刀ではじかれ、京ティメットの刀は左手で叩き落とされた。……え?今の手刀?刀を側面からひったたいて落としたの?やっぱこの人人間じゃねぇ……
「いいね…面白い」
「そりゃ何より……ぐふぅっ!!」
斬りかかった夏目氏を京ティメットの方に受け流して俺は刀を躱して蹴りを食らわせてきやがった。その顔には笑みが見える。いいねぇ…テンションが上がってきてやがる。
「夏目氏ィ!!」
「任せて!!」
俺がもう一度突っ込めば躱される。そこに夏目氏の攻撃が行くも捌き合いでは押しきれない。
「サンラク合わせて!!」
「おうよ!!」
今度は俺と京ティメットの挟み撃ち。完璧なタイミングだったがこちらを見ることもなく後ろに跳んで回避するレイドボスさん。頭の後ろに目でもついてんのかこの人は。
確かに攻めきれない。だけど……
『お、押してる…』
『レイドボスさん相手にか……!!』
イケる!この『流れ』を手放さなければ……
「いいね。こっちも本気を出すよ」
やっぱそう簡単にはいかねぇわな!!
レイドボスさんが取り出したのは俺も見たことのあるあのレイドボスさんのメイン武器『
「あんなに長い武器、懐に入れば…」
「気をつけろ夏目氏。あの武器空気抵抗無効の効果ついてるから見た目より隙ねぇぞ」
「…わかったわ」
「……行くよ!!」
京ティメットが一番に飛び出す。
「サンラクくん私たちも!!」
「おう!」
「いいよ。楽しい」
レイドボスさんの頬が吊り上がって斬星竿の先端が迫りくる。その長い刀の先端には相当の威力が乗っていて…
「ふん…!!!!」
「ナイス京ティメットぉ!!」
京ティメットが刀で咄嗟に受けるもあえなく軽々しく吹っ飛ぶ。だが俺たち二人が突っ込むには十分!!
「うぁ…」
夏目氏が刀を躱されて蹴り飛ばされる。その隙に俺が………
「…ばん」
「うおぉぉ!!自前転とぶへぇ…」
くっそ幕末式クイックドローかよ!!相変わらずインベントリ操作速すぎだろ!!
そして倒れたまんまレイドボスさんと目が合っ「サンラクくん!!」ナイス夏目氏!離脱離脱離脱!!!助かったぁ!!!
一時的に三人で距離をとる。
「やっぱやべぇな。被害者がいないのが奇跡だ。長期戦はこっちが辛いぞ」
「そうね。3人なのになんで…とは思うけど」
「よし。次にかけよう。いけるか、京ティメット」
「……任せて」
「…おいで」
「行くぞぉ!!!」
もっかい三人で突っ込む!!やはり今度も斬星竿の一撃が…って今度は俺かぁ!!
「ふんぬ!!!」
何とか受けたが刀が吹っ飛ばされた。今のうちに二人は突っ込めぇ!!
「ナツメグさん……頼むよ!!」
「ばん!」
懐に踏み込む二人に対してレイドボスさん対応といえば、当然の様に銃での発砲。放たれた鉛玉は、京ティメットの額を貫いた。
………って、え!?京ティメットが撃たれた!?!?何でよけないんだアイツ…そのまま死んだ京ティメットの体が慣性でレイドボスさんの方に飛んで行って投げ飛ばされる。あぁ哀れなり京ティメット。南無。
でもその隙に夏目氏が完全に懐に入り込む。ポジショニング完璧!!
「覚悟はいいかしら」
「いいね。すごい面白い」
夏目氏が不敵に微笑む。その表情を見てレイドボスさんも頬を釣り上げる。
その時、ふと俺と勇者がレイドボスさんに挑んだ時のことが思い出された。あの時、俺に武器を封じられたレイドボスさんは……
「夏目氏!!!」
振り上げられたその足は、夏目氏によって
「!!!」
レイドボスさんの顔が初めて衝撃に歪む。夏目氏の笑みは崩れない。
「私ね、憧れの人の影響で
夏目氏は
その刀は
「サンラクくん!」
「おう!!」
「「天誅!!!!!」」
俺は全力で刀を振りぬいた。手応えあり!!
「ん!!!」
だが、レイドボスさんは夏目氏に抑えられた足を軸にして大きく体をひねって致命傷を避け、そのまま夏目氏を蹴り飛ばして再び距離をとる。
「くっそ、仕留めきれなかったか…」
「でも、サンラクくん」
「あぁ…」
確かに倒し切ることはできなかった。しかし、確実に斬った手応えはあった。
それは、
腕を斬り落とされたレイドボスさんはの顔には今まで見たことないような笑顔が映っていた。
「すごい。すごいよ。惜しかったね」
「心の中では余裕なくせに…!!」
「いや、今のは本当に危なかったよ。すごいね」
「今ので倒せなかったのは、辛いわね」
「……だな」
「すごい、すごい楽しかったよ。だから、ありがとう」
「は、あんた何言って……」
パン!
一発、レイドボスさんが見当違いな方向に銃を放った。何狙ってんだこの人?
「え、どこ狙って……」
夏目氏も理解できないらしい。だって俺たちの後ろになんて
京ティメットの死体で壁にヒビが入ってたところに今の拳銃で壁が崩壊して、中にあった大量の花火が雪崩れてきて………
「ってここ花火小屋かよ!!!!」
大 爆 発。
幕末最高火力を誇る花火があの物量。当然俺たちは耐えられるわけがなかった。
HPが底を尽きる。負けだ。
負けてしまった。
薄れゆく意識の中でレイドボスさんの呟きがかすかに聞こえた気がした。
「天誅」
「はぁ…負けた…」
「そんな落ち込むなよ夏目氏。この人数でレイドボスさんの腕を斬り落としたのは割と偉業だと思うぜ」
「そうだね、少なくとも僕は初めて見たよ」
リスポン後の長屋でプチ反省会。とはいっても反省なんてしたところで相手がレイドボスさんだったからなぁ…
「私は職業的にも負けたくなかったのだけど」
「レイドボスさんはポテンシャルだけならシルヴィア超えてくるからな。仕方ないだろ」
シンプルに国内のゲーマーであの人に幕末で勝てる人いない気がする。カッツォとシルヴィア組ませてちょうどいいくらいだろ。
「しょうがないから、あとは素直にこのゲームを楽しむとするわ」
京ティメットと視線を交わす。
なるほど。
素直に…
このゲームを…
楽しむだってぇ???
「「……天誅」」
リスポン直前の夏目氏の顔が「なんでぇ!?」と訴えかけてきたが、これがこのゲームの素直な楽しみ方だからさ。
「さ、次はてめぇだ京ティメット」
「ふふ……返り討ちにしてやるよサンラク」
さぁ、レイドボスさんに負けた悔しさここで発散させてもらおうか。
死んでも恨むんじゃねぇぞ?
たらたらと駄文を書き連ねてしまいました……こんな長くなるとは思わなかったのです。
ナツメグちゃんはカッツォに告る度胸こそないものの、カッツォの隣で戦い続けるための努力を決して怠らない子であり、本編では噛ませポジになりつつあるもののその実力は相当な物であると思うのですよ。まぁ、彼女の恋心が確実にプロゲーマーとしての彼女自身を象っているっていう解釈が好きすぎるだけです。
感想お待ちしてます!!!
………幕末最高天誅!