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鬼が嗤い、人が抗い続けた、大正の世より100年。
天下泰平を謳う現代。平成。
これは、日本一慈しい鬼退治・・・ではなく。果たされるべくして果たされる、約束の物語。
―――――――――――――――――
「―――――――合コン?」
「そうそう。今から伊黒も行かないか?」
少年とも。青年とも取れる年頃の男―――――伊黒小芭内は同級生との放課後を過ごしていた。
「あー・・・パスだ」
たしかに、魅力的な誘いだろうが、何故か、その気になれない。
なにか、心の奥底に
「お前はいっつもそうだよなあ。他のクラスの白石さんにも告られたのにソッコーで振るしさァ?遊びでも付き合おうとか、ちょっとだけー。とか思わねえの?」
「―――――――お前はお遊びで付き合って楽しいか?」
「ま、お前はそういうだろうな」
相変わらず軽いヤツだ。と心の中で独りごちり
「そろそろ帰る。また明日な」
「おー、また明日〜」
――――――――――――――――――
小芭内は、なんとはなしに学校裏の小高い丘へと向かっていた。
ここは1年に1度、4月の何日かに、1輪の桜が満開になり、菖蒲、杜若、花菖蒲が狂い咲くのだと言う。
信じ難い話であるが、ここら辺ではかなり有名な話だ。
今日赴いたのは・・・勘だろうか。
何となく、そう、何となく
――――――?今、自分は何を考えた?出会える?何に?
「・・・気の所為だな」
そして、また歩き出す。
―――――――――――――――
私は何時も、4月のとある日に、ここに訪れる。
その日になると、脳裏に声が響く。
『こっちよ。こっちよ』って。
何だか気味が悪いと思うけど、自然と不安はなくて、寧ろ探し物が見つかるような感覚だった。因みに、行かなくてもなんてことは無い。実際に少し無視すると止まるのだ。しかし――――――
今日は。
『駄目!今日は絶対に行くの!』
という声に面食らってしまい、友達との約束を断ってしまった。
―――――――――――私には友達しかいない。
と言うのも、私の身体は特殊らしく、簡単に言えば人の8倍の密度の筋肉を持っているのだ。
だから私は男の人より力が強いし、普通の人の何倍もご飯を食べる。
それに、桜餅を食べすぎて髪の毛が桜餅色に染まってしまった。
先生と一悶着あったが、医者の診断書を見せると『甘露寺は・・・凄いな』と逆に感心された。
だからなのか、私と付き合いたい。という人はいなかった。
「いや、怒らせたら殺されそうだし」
「ご飯食べ過ぎて彼氏になった時の食費が」
とは級友の便。一生彼氏なんて出来る気がしない。
白馬に乗った王子様、とは言わないけれど。
キュンキュンするような、刺激的な恋愛がしたい!
―――――――――――――――――――
やっと、丘に着いた。先客がいるようだ。
ピンクと緑の髪とは、なんと奇抜な―――――――――
という思考を他所に、女性が、こちらに振り返って。
「あら?」
その若葉色の瞳が、俺を貫いて。
濁流のような記憶が、俺の頭に流れ出す。
『あんただけ死ねばよかったのに!』
『君が伊黒小芭内か!』
『は、はじめまして!』
流れ、こんで。
『伊黒さん・・・伊黒さんお願い。生まれ変わったら、また人間に生まれ変われたら。私のことお嫁さんにしてくれる?』
俺はもう一度、君に
桜の花が風に乗り、狂いざく花々の咲く丘で。
蛇と恋は今こそ
「
「・・・喜んで・・・っ!」
100年越しに、恋の大きな果実を実らせた。