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身につけていたものを全て脱いで全裸になった操祈は、こんなことなら湯浴み着を持参するべきだったと後悔したが、そもそも今のような状況に陥ることを想定していなかったばかりか、湯浴み着のことなど念頭にもなかったのだから致し方なかった。
「ちょっとみんな、なぁに?」
操祈は薄手のタオル一枚で股間を、片腕で両胸を庇いながら、興味津々といった様子で次第に自分の周りに集まってくる少女たちを諌めたのだが、いっかな効果がなくて当惑しきっていたのだ。少女たちの輪はどんどん狭まってくるばかりか、人数までも増えてくる。
「わー、なんかウチら、すっごい綺麗なものを見させてもらってるって感じ?」
「操祈先生、すごーい……きれー……」
一人の少女が操祈の体を感心したようにしげしげと見つめながら、さらに背後を覗きこもうとしていて、操祈は身を捻って庇おうとするのだが、あいにく手は二本しかなく、好気の視線は四方八方からのびてくる。
「肌、真っ白でミルクみたい……」
「ちょっと、みんなっ、あたし、パンダじゃないのよっ」
「先生ってスゴすぎぃ……いーなぁ……」
「あなたたちっ、いい加減になさいっ」
「だっていいじゃないですかぁ、オンナ同士なんですからぁ、先生も隠したりなんかしてないで、私たちみたいにパーって」
少女たちは腰にタオルを巻き付けている子は居ても、みんな上半身を隠してはいなかった。
性徴期さなかの少女たちの胸は、発育の良い子も居るが、まだ未成熟の子も居てさまざまである。
“そう言えば……いろんな子が居たわね……”
操祈は自身が同じ年頃だった頃を思い出して密かに、クスっ、と笑んだ。
“みんな、どうしてるかな……“
ふと、そんな感傷に浸ってしまった操祈だったが、彼女をとり囲んでいた少女のうちの何人かがヒソヒソやっていて、中の一人が突然、大きく目をみはると「え、先生っそうなんですかっ!?」と、いきなりびっくりしたようすで訊いたので、操祈の方も不意を衝かれてしまった。
「そうなんですかって、いったいなんのお話?」
操祈には意味がわからなかったが、
「あの、先生……もしかして……」
少女のひとりが恐る恐るきりだした。
「もしかしたらキスマーク、隠してるんじゃないかって、由香奈ちゃんが……」
名指しされた少女は「わたし、そんなこと言ってないっ」と即座に否定したが、訊かれた操祈の顔はたちまち朱に染まっていった。
キスマーク――という意味深な言葉に触れて、行為の最中にレイから「この白いカラダにキスマークなんてつけたらすごーく目立っちゃうから」と言われ、唇の代わりに、いろいろなところに舌を使われていたことをうっかり思い出してしまったのだ。
「そんなことある筈ないでしょっ!」と強く否定したものの、かえって記憶が鮮明に蘇ってまた動揺してしまう。
「きゃあ、先生っ、お顔が赤いですよっ、イヤーッ、あたしショックですーぅ! 先生に彼氏いるなんてぇ」
「だから違うのっ、あなたたちに急にそんなこと言われてちょっと驚いてしまっただけよっ」
「ホントですかぁ?」
「本当よ……」
「だったらいいじゃないですかぁ、そんなに必死に隠さなくてもぉ」
「先生、お風呂の中にタオルの持ち込みは厳禁ですよ」
二人掛かりで左右から腕を取られてしまい、結局、操祈は少女たちの前に裸身を晒すことになってしまった。
だからイヤだったのに――。
そう嘆いても後の祭り、少女たちの好気と羨望の視線を一身に浴びることになってしまった。
腕の中にあったときには柔肉が白くはちきれんばかりにもりあがり、深い谷間を作っていた二つの乳房が
豊満な実りに見合って淡い桜色の
ほっそりとした二の腕とたわわな肉の実りとのコントラスト、見事にくびれた腰の曲線、スラリとのびた四肢。
どれも少女たちの理想が体現された生身のモデルだった。
股間のヘアもふんわりナチュラルに繁っていて、まるで小動物がそこで身を丸くしているように飴色の可憐な背中を見せているのだ。その日の午後、歳若い恋人からの容赦のない詮索と検分に哀しげに毛を逆立てていたときとは違って、今はひっそり静かに微睡んでいるようだった。
浮き出た左右の腰骨がつくりだすスッキリとした下腹部の凹みの曲線がにおいたつように甘く、ほの白い肌をいっそう際だたせている。
少女たちの瞳は憑かれたように妖しげな光を宿して、敬愛する美しい大人の女性の体に表れた美の秘密をひとつひとつ探っているようだった。
「先生って毎日毎日、ご自身の姿を鏡で見てるんですよね、なんだか美意識にものすごい上方修正かかりまくりのバイアスがありそう……」
「なんかもーいろんな意味でフツーじゃないっていうか……やっぱり人間ばなれしているっていうか……」
「何を言ってるのよっ、人を珍獣扱いして――」
「そんな、珍獣だなんて……だって先生って今、学園都市でなんて噂されてるかご存知ですか?」
「ウワサ――?」
「なんか私、いろいろ納得しちゃいました……ホントに違うンだって……ね?」
一人の少女がそう言うと、周りに居た少女たちも互いに顔を見合わせて頷き合っている。
また悪い昔話を持ち出されていたのかしら、と操祈はつい構えてしまいがちになるが、素直な憧れの表情をみせている少女たちからは悪感情は感じられなかったのだった。
誤植があり修正しました。
申し訳ありあませんでした。