ボーイ8メンタルアウトアウト   作:真夜中のミネルヴァ

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シャワーブースは危険がいっぱい2

 

 

          Ⅴ

 

 

「レディのシャワーに押し入ってくるなんて、エチケット違反なんだゾ」

「ごめんなさい、操祈先生」

 しおらしく謝罪の言葉を口にしながらも、なお少年は鏡に映る彼女の体を興味深げにしげしげと見つめているのだ。

「こらこらっ、言ってる尻からっ」

「きれいだな、やっぱり先生はスゴいや、裸になると別人……スーツ着てるとあんなにほっそりとして痩せて見えるのに、でも胸が大きいのは隠しきれてないみたいですけど……」

 股間のものがいきりたち、男の子の体の感動を臆面もなく伝えていた。怒ってでもいるように先端をぷうっ、と膨らませ、ピンとつっぱった粘膜が滾った獣欲の光沢をはなっている。細身で小柄な体には不釣り合いなほど長く美しいフォルムをした陽根。

 ただ、彼女はまだ一度もそれを自分の中に迎え入れたことはないのだった。

 教え子の黎太郎と特別な関係を持つようになってもうかれこれ一年近くにもなるが、相変わらず互いにヴァージニティを保ち続けているのだ。

 はじめは子供同士が戯れにするような他愛のないキスからはじまって、ゆっくりと足元を確かめながらの一歩一歩、自分が次第に恋の魔法にかかっていくのを操祈自身が驚きながら、気がついたときには自縄自縛の官能の淵へとのめりこんでいた。

 今ではとうていプラトニックとは呼べないような親密な男と女の関係になってしまっている。

 よもや女として愛されるとはどういうことかを年下の、それも教え子の男の子から教えられることになろうとは……。

 背中から抱きつかれ、細く締まった操折の胴回りにレイの腕がしっかりからみついてきた。少年の両手は肌触りを楽しむように彼女の脇腹から胸にかけて丹念に往復している。身をかたくして拗ねるようにしてされるままになっていた操祈だったが、腰にあるツボを器用な指先でおさえられると、とたんに体の奥に熱が生まれて密やかな器官が綻んでくるのがわかるのだった。

「聞き分けがない子、おねぇさんキライよ……」

 たしなめる声音にも官能の翳が兆してくる。

 無防備な背後を取られ、言葉とはうらはらに拒絶は既に頑ななものではなくなっていた。

「すぐ済むんだからあっちで待ってて……」

 二人だけでいられる時間は僅かしかないのだから、と操祈は整った眉宇をくもらせて諭した。正味のデートタイムは残すところ、もうほんの一時間あまり。

 午後の自由時間は、修学旅行期間中のぎっしり詰まったスケジュールにがんじがらめにされていた操祈にとって、ただひとつ心待ちにしていた拠り所だったのだ。今を逃してしまうと、もう学園都市に戻るまで互いに教師と生徒という関係をはなれて向き合うことはないかもしれない。

 愛をたしかめあうのはずっと先になってしまうに違いなかった。

 そんな操祈の心中を見透かしているように少年はゆとりのある顔つきをしている。

「大丈夫です、時間がなくてもちゃんと可愛がってあげますから」

「もう、子供がナマ言ってんじゃないわよ、ちょ、ちょっとなぁにっ?」

「ねぇ、隠さないで見せてください、先生のカラダ……」

 少年が腕を絡めてきて操祈の両腕を背中へと導いた。操祈は庇うこともできずに、また全身を姿見に映してしまうことになってしまうのだった。

 レイは鏡に映った操祈と、腕の中にある裸身と見くらべるようにしている。それはもしも大人の男からのそれであれば、女にとってさながら視線によるレイプのように感じられる類いの非礼きわまるもの。女の体の欠点を探り当てようとするような容赦のないものだった。

 子供だから赦されるギリギリのライン、そう思うことで操祈は踏み堪えている。

「じろじろ見ないのっ、失礼ね……」

「どうして? こんなにきれいで完璧なプロポーションをしているのに……セックスのまわりのヘアの生えっぷりだって、ふわふわですっごくやさしそうな感じになっていて……」

 大人しそうな顔であきれた物言いをぶつけてくるばかりか、いたずらな指先が、亜麻色のくさむらをサッとからかうようにくすぐって、操祈はおもわず小さな声を発して乱れてしまった。

「マトモな男の子っていうのは、そういうことは思っていてもけっして口にはしないものよっ、デリカシーのない男の子は嫌われちゃうんだゾ」

 教師として、長上者としてのお姉さんぶった言葉を使っても、もはや女のおもねりは隠しきれなくなっていた。たとえ操祈本人にはその意識がなかったとしても、頬を上気させて、瞳を大きくして、小さな恋人にすがるような眼差しを送ってしまっていては、相手から足許を見られてもいたしかたない。

「けっして口にしないものなのかな? でもボクは先生のならお口にするのが大好きだけどな」

「お口って……コラぁっ!」

 淫らなほのめかしに操祈の顔がたちまち耳まで真っ赤になっていった。

「だって今日はそのためにここに来てもらったんですから、らぶらぶクン――が備え付きの部屋をやっと見つけたので」

 少年は耳慣れない言葉を口にして、

「……らぶらぶ……クン……?」

 と、尋き返した操祈の胸がまた危険な気配を察してザワついてくる。

「ベッドの横にあったでしょ」

「――?!」

 確かにベッドの周辺には雑然といろいろなものが置かれていたが、特に気にも留めていなかった。

「来て、先生……」

 そう言うと少年は操祈の腕を引いて浴室の外へと連れ出そうとする。

「ちょ、ちょっと、まだあたしシャワーを浴びてないっ」

「そんなこと、ボク、ぜんぜん大丈夫ですから」

 

 

 

 

 

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