ボーイ8メンタルアウトアウト   作:真夜中のミネルヴァ

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恋人たちの椅子

 

 

 

          Ⅵ

 

 

「あそこにピンク色したローベンチみたいなのがあるでしょ、あれ、らぶらぶクン2号、っていう名前の特別な椅子で、実は二人用なんです。すぐ横にある肘掛け椅子みたいなパイプ椅子と繋がっていて、向き合うように組み合わせてペアで使うものなんですけど……ボク、随分探して、やっとここにあるのを見つけて……それでぜったいに操祈先生に歓んでもらおうと思ってこの部屋を予約することにしたんです」

「いったい……なにを……」

 少年は、フっ、とまた危ない笑みを向けると股間のものをニョッキリそそり立たせたまま、ちょっと歩きにくそうにしながら奇妙な椅子のある方へと行き、二つの椅子を動かして向き合うようにセットする。

 低座の床ベンチのように見えたものには中央に継ぎ目があって半分が背もたれに変形していた。すると、左右一対の椅子がほんの数十センチほどの間隔をおいて上下段違いになって対面するようになるのだった。上手側になる肘掛椅子の座面はU字型に大きくくりぬかれていて、下側ベンチの背もたれのあたりの高さに配置している。

 とたんにその邪な企みがわかって操祈の喉が、ゴクリ、となった。

 さいぜん肘掛のようにみえたものがそうした日常にあるような穏便なものなどではなく、実際は脚をのせるためのアームだったのだ。

 淫らな、とても淫らな目的のために誂えられた、特殊な椅子――。

「男女兼用らしいですけど、もちろん先生が座るのはこっち側です♥」

 少年の人差指が件の椅子のアームのあたりをトントンと叩いている。

「レイくん……」

 恐れのためなのか、間近にする現実を受け止めきれなくて操祈の体は小さく小刻みに慄えはじめた。まだまだ子供だと思っていた中坊の男の子が、こんなにもおぞましいことを自分に求めてくることがにわかには信じられずにいるのだった。

「……わたし……イヤよ……」

「どうしてですか? だってベッドでしていることを、もっとスムーズにやるだけのことですから。ボクも楽だし、そのぶん先生もずっとキモチよくなって楽しめるはずですよ」

 身もふたもないひどい言いようだったが、それにすら気がまわらなくなるほど操祈は追いつめられた気持ちだった。

 たしかにそういうことは、もう――自分たちは経験はしているのかもしれない。

 少年から初めてそれを求められた時には驚いて、ひどいショックだったが、それでも強い羞恥の先にあった歓びはとても尊いものだと思えるのだった。

 レイに愛情を感じて、親密さをいっそう強く抱くようになった、女にとっての特別な経験。

 けれどもそういうことは、ベッドで愛し合うときに、愛撫の流れの中で自然に行われることはあったとしても、それだけを目的にするのとは絶対に違うという思いが操祈にはある。

 理由は言葉にはできないし、もちろん女の口からは言えないこと、口にもしたくないこと。

 だが、感情は強く拒絶している。

「違う、違うのっ!……」

「ぜんぜん違わないと思いますよ」

“それならどうしてあなたは私をこの部屋に招くことに拘ったの――?”

 みんな計算づくだったのか……と、操祈は経緯を思い返して少年の狡知に気づき、恋人への愛情と不審感との間で心が揺れてくるのだった。

「あたし、レイくんにはそんなことして欲しくないの……こんなヘンなことは……」

 散り散りになりそうな思いを整理して、ようやくせつない気持ちを口から紡ぎ出す。

 だが、そんな気持ちを余所に、少年の言葉は更に素っ気なくなっていた。

「変かどうかは、試してからにしませんか? 先生がどうしてもイヤなことならすぐに止めますから、それならいいでしょ?」

「………」

「それに今夜、奈良の旅館でのお風呂の時、一緒に入ることになるかもしれない女子たちの前で、もしも先生の白い肌の上に真新しいキスマークが幾つもついてちゃ、かえってまずいじゃないですか? だからボク、今日はこうしたらいいなって思って計画してたのに……」

 誘惑ぶりは実に手馴れたものなのだ。操祈の心のガードの弱い部分を突いてくる。

「レイくん……」

「こっちに来て、先生……ボクたちはもう裸でいるんだし、裸になった恋人たちがすることをしましょう」

 俯いていた操祈が視線をあげると、少年が口を開いて長く舌を伸ばしているのが目に入った。艶かしく蠢かして操祈を誘っている。その妖しい動きを覚えている体の方が心よりも先に走り出そうとしていた。

「もしも先生がはじめてだったら、さすがにこの椅子を使うのは可哀想かなと思いますけど……でもボクたち、いろいろ経験済みだし……だからそんなに恥ずかしがること、ないと思うんですけど……」

「………」

 少年は屹立させたままの長い男根を片手で摩るようにして慰めながら情欲に潤んだ目で見つめ、操祈に決心を促しているようだった。

「ボク、先生が好きです……大好き……」

 気力も体力もありあまる思春期まっただ中の恋人の情熱。

 その一途な思いに対して、年上の女がいつまでも逃れつづけられるものではないのかもしれない……。

「先生のことが誰よりも大切で、誰よりも好きだから……だから他の誰にもしたいとは思わないことを操祈先生にだけはしたい……愛しているその証として……」

 少年はとどめのひと言をつけ加えて、操祈の心を蹂躙していった。

「……シャワーを、浴びるわ……」

 ついに操祈は少年のプロポーズに同意の言葉を返してしまっていた。

 ここへやってきたときから、自分の運命は定まっていたのだ、と気分は諦めに鈍く沈んでいる。

“あーあ……やっぱりまた言い負けちゃった……いつでも我を貫くのはあの子の方なのよね……子供のオイタを赦してお付き合いするのもオトナの責任、ということなのかしら……でも、くやしいな……”

 心を決めた操祈が再び浴室へと足を向けると、また呼び止められた。

「なあに……?」

「お風呂は後にしませんか? どうせ後でシャワーを浴びないといけないから、今は時間を大事にしましょう」

「冗談を言わないで……」

「ボクも汗かいてるし、お互いさまです、後で一緒に浴びましょう。その方が時間の節約になるでしょ?」

「……そんな……」

「心配しないで、先生……ボクは操祈先生のどんなにおいだって大好きだから……」

「いわないでっ!……レイくん……」

 

 

 

 

 





らぶらぶクン2号機改(アンティークタイプ)

 とっても親密な恋人たちが、さらに深くもっとじっくり愛をたしかめ合うための秘密の快楽椅子がまた再びっ! 多くのご愛好者の熱烈なご要望にお応えして、ここに満を持しての再登場! AUTOが主流の従来品とは違い、恋人たちの自主性に任せるために敢えて電源系を排除した設計が大受けした1号機でしたが、一昨年、大好評の中での終売となりました。その後、評判を聞きつけた多くのみなさまから再販しないのかとのお問い合わせが殺到し、今春、ついにめでたく再販の運びとなりました。ただし今回はただのリヴァイバルセールではありません。弊社が全力を傾け社運をかけて問う大幅改良版のご提案であります。1号機では見送られた油圧系ですが、この2号機では可動部全てに導入、体の動きにピタリと寄り添うスムーズな動きを実現しました。かくして体位のバリエーションは無限大、想像力の羽ばたくまま斬新なアイデアを思いつくままにチャレンジできるようになりました。さあ、みなさまこそが性の深淵を探求する冒険者、真の意味での性戯のフロントランナーです。この2号機では弊社独自のアンチ重力技術で、どんな体勢になってもリラックスしてプレイが続けられるように設計されています。らぶらぶクン2号ならではの浮遊感のある体験を是非お試しくださいっ! 思いがけない大胆な姿になった恋人を見て、新しい魅力を再発見すること請け合いですっ!

      希望小売価格398000円(税+送料+代引き手数料別)


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