『ライダー』と『セイバー』の戦いが終わった。
次に勃発した『アサシン』と『ギルガメッシュ』が戦いが終わった。
アサシンとギルガメッシュの戦いは『ランサー』が見ていた。
実はその戦いは手負いであったはずの『セイバー』も眺めていたのであった。
『ライダー』はマスターの少年の容態を心配して早々に帰還していたが、好戦的であった『セイバー』は、マスターの気苦労も知らずにその戦いを楽しそうに眺めていたようである。
だが、その二つの戦いが終わると、それらの鑑賞者たちも、それぞれの陣地へ戻っていたのであった。
しかしながらその場にはいなくても、自分の陣地から離れず、安全な位置からその二つの戦いを常に見ていた組も存在する。
その者達はある魔術師の工房にいた。
そう自分の陣地で戦いを眺めていたのはキャスター陣営であった。
拠点の中にある部屋には、マスターである青年である『神無木せつな』とそのサーヴァントである『キャスター』、そして工房の持ち主、『遠坂桜』がいた。
神無木せつなと遠坂桜はキャスターを囲み、その手に持っている不思議な鏡に視線を送っていた。
なんとその鏡には先ほど戦いがあった嵐山の風景が映されていたのだ。これはキャスターの能力の一つであるようだ。
「これが、サーヴァント。と、とんでもない化物がいるもんだな」
「だから言ったでしょ、神無木君。無知なままだと死しかのこらない。絶望しかないわ」
神無木せつなの顔からは冷や汗とめどなく流れていた。
「ある意味、ここでキャスターを召喚して正解だったかもね。高みの見物しながらためになる戦いの予習が出来たんだから」
「ああ、そうだな……」
「マスタ~~~~~、玉藻ちゃんを褒めるときはもふもふやるのが夫としての努め、もはやテンプレなのでございますよ。早急にもふもふを所望する」
「うるさい。お前の力には感謝するが、その欲望にまみれた顔を早急にやめろ」
相変わらず、キャスターのハイテンションに苦労しているようだ。隣にいる遠坂桜も苦笑いしかできていない。
「だがこの状況がありがたいとは言え、このままただ縮こまっているだけだと少々辛くもあるな。実践の感覚がつかめるわけじゃないからな」
「神無木君、聖杯戦争は殺し合いと言ったわよね。いわゆる生き残りの形式の戦いよ」
「そう言ったな」
「なら戦いを最小限に留めるのは定石よ。戦えば手の内がばれていく。当然、危険度や死亡率も戦えば戦うだけ上がる。ここもいずれはバレるでしょうから、その時間を存分に生かしなさい。あなたは記憶と共に魔術の知識まで失っている。だからここで魔術の勉強をしてあげてるんでしょ」
「あぁ……」
神無木せつは納得が出来ないようだが、遠坂桜の判断は正しい。言いくるめられる形になり、こみあげるプライドのためか、自然と視線も下がる。
しかし、神無木せつは遠坂桜のあまりのこの親切ぶりに思うことがあった。
「なぁ遠坂、さっき魔術師の傾向について語ってたが、あんたもその魔術師なら何事も『対価』を要求するはずだよな」
「まぁ。そうかもね」
「ならなぜ、利益もない俺なんかのためにここまでしてくれる? 俺を助けてくれたこともそうだが、魔術指導まで……」
「それは……」
「みこーん!!!!! な、何か何か何かいますよ~~~~!! ちょっとこいつはなんなんですか~~~!!」
彼女が答えようとした瞬間、それを思い切り遮るくそやかましい狐っ娘の声が部屋に響いた。
「だ~~、うるさいな。何なんだよ一体」
「はぁ、このサーヴァントはいろんな意味ですごいわね」
キャスターの一言により、重くなっていた二人の空気は一気にブレイクされた。いい意味でも悪い意味でも。
「そんなことはどうでもいいのですよ。今、鏡に凄まじい邪気を放ってたものが写りまして……」
「「はぁ?」」
キャスターが言ったことが分からなかった二人は、そのまま怪訝そうな顔を浮かべながら、キャスターの鏡をもう一度眺める。
「キャスター? 何もいないぞ……」
「確かにそれらしきものはいないけど……、いや待って中央に何か!!」
鏡を見てから数秒、先に遠坂桜が何かを発見した。そして続けて神無木せつも発見する。
「な、何だこりゃ? 黒い獣? いやいやそんなことよりもなんだあの持っている剣の大きさは……」
三人が驚愕する中、その鏡に写っていた何かは大樹の上で咆哮をあげていた。
ストーリーや世界観の評価
-
おもしろい
-
どちらかというとおもしろい
-
どちらともいえない
-
どちらかというとつまらない
-
つまらない