提督「艦娘が甘えてくるボタン?」 作:マロニー
提督「よおし、気をとり直して。次は誰かな」
明石『へ!?まだやるんですか!?』
提督「当たり前だろ?まだまだ俺は満足してないからな」
明石『いやでも…曙ちゃんが駆逐艦だったから今回ギリギリ致命傷で済んだ(?)ものを、戦艦や空母クラスにやられたら死ぬどころか爆散しますよ?』
提督「なあに、爆散くらい日本軍人としての誉れさ」
明石『そろそろあなたを軍人どころか人して認めたく無くなってきましたよ』
提督「ふぅーむ…に、しても。あれだな」
明石『?』
提督「腹が減ってきた」
明石『ああ、何かと思えば…まあでも、そう言えばさっきから何も食べてませんもんね』
提督「そうだな…いかん、自覚すると余計腹が減ってきた」
提督「でも、食堂には行けないな。鈴谷の言う通りなら、今の俺が食堂に行くのなんて蟻の巣に角砂糖を置くようなもんだ。途端にとんでも無いことになるだろう」
明石『じゃあ諦めて下さい』
提督「…いや、かくなる上は…」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
鳳翔「少しだけ待ってて下さいね。
軽く、おにぎりとか作りますので」
提督「いや本当、すみません。
鳳翔さんはただでさえ忙しいのにこんな事…」
鳳翔「いえ、私が好んでやってる事ですから、気にする事はありませんよ?」
提督「そう言って貰えると助かります」
明石(執務室から離れたせいで映像は見れないけど、きっとあの薄気味悪い爽やかな笑いを浮かべてるんだろうな…)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
明石『えっ?鳳翔さんの所にですか?』
提督『ああそうだ。昼時はそんなに人もいないだろうし、飯を食わせて貰おうと思ってな』
明石『めちゃくちゃ図々しいですね…』
提督『まあ流石に鳳翔が忙しそうだったら諦めるさ。
そんな事は無いだろうけど』
明石『はぁ…(どっからその確信は来てるのか)』
提督『そして、このボタンも持ってく』
明石『ああやっぱり。恩を仇で返すつもりですか』
提督『仇とは失敬な。俺はただ相手を素直にさせてやってるだけだよ。素直にな…』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
提督「御馳走様でした。
とても美味しかったです」
鳳翔「すいません、大した物も出せなくて…」
提督「いやいやとんでもない。お世辞でも何でもなく、本当に美味しかったですよ」
鳳翔「ふふ、ありがとうございます。そうだ、お茶にしましょうか」
提督「お願いします。…そういえば、鳳翔さんもボタンの事は知っているんですか?」
鳳翔「ええ、流石に。相当噂になっていますからね」
提督「…そんなにですか」
鳳翔「おや、提督はそれを知っていたから私の所に来たのでは無かったんですか?」
提督「いや、まあそうなんですが…予想よりもずっと凄い事になってそうなので驚いてしまって」
鳳翔「みんな、提督の事が好きですからね。
…最近駆逐艦の子達が構って貰えていないって愚痴をこぼしていましたよ?」
提督「う。それ、誰が言ってました?」
鳳翔「それは言えません。ただ、提督もお忙しい身である事は分かっていますけど、少しでも気が向いたら最近話していない子とも話してあげて下さいね?」
提督「耳が痛いです…できるだけ平等に扱ってるつもりではあるんですけどね」
鳳翔「提督が一生懸命に仕事を為さっている事は私達誰もが知っています。でも、『人』とは欲張りなもので。どれだけ満たされても、もっともっと…と求めてしまいますからね。」
提督「そうですね…それでも、彼女達には不満を作ってやりたくはないと思いますよ」
提督「にしても、最近あまり構っていない娘…
うーん、咄嗟には1人しか思い浮かばないですね」
鳳翔「あら、誰ですか?」
提督「今、俺の目の前にいる娘ですよ」
鳳翔「…ふふ、そうですね。
確かに、こんなに話せたのは久しぶりです。
互いにずっと忙しかったですものね」
提督「ええ。本当に、久しぶりだ」
提督「…ねえ、鳳翔さん。まだしばらくは誰も来ないし、忙しくならないよね?
で、俺も仕事がひと段落ついた。
少しだけ休憩を取ってもいい筈だ」
鳳翔「…?」
提督「…今、俺の手元にこんな物があるんだ」コトリ
鳳翔「!それは…」
提督「そこで、質問なんですが。…鳳翔さんは、このボタンを押して欲しいですか?」
鳳翔「……!」
提督「…どうでしょうか?」
鳳翔「…あの…そのボタンって、やっぱり…?」
提督「…そうかもしれないですね」
鳳翔「…う……」
鳳翔「……」
提督(黙りこくったか。まあ、思った通りだな。ボタンのくだりは他の子にやるとして、鳳翔はこれで終いに…)
鳳翔「…押して下さい」
提督「…え?」
鳳翔「…そのボタンを、押して貰いたい、です」
提督「…!」
提督(これは…ちょっと予想外だな。
…だが、ま、そんな大したことにはならんだろう)
提督「…ああ、わかった。じゃあ、押すよ」
ポチッ
提督「…気分はどうかな、鳳翔さん?」
鳳翔「…『鳳翔』」
提督「へ?」
鳳翔「鳳翔、と。そう呼んで下さい。
さん付けなんて、他人行儀過ぎます」
提督「!? あ、ああ…分かったよ、
ええと、鳳翔?」
鳳翔「はい。 …すみません、提督。その、そちらに座っても?」
提督「え?ああ、どうぞ?」
鳳翔「ふふっ、ありがとうございます」
【鳳翔、提督の隣に鎮座セリ】
提督「………!?」
提督(バカな、そちらっていったら普通はこのお座敷の向かい側だろう!まさかの横隣!
…というか近い!主に顔がすげぇ近い!)
鳳翔「…提督」ボソ
提督「!!な、何かな?鳳翔…さん?」
提督(咄嗟に『さん』をつけたのは…ここで呼び捨てにしたら、只でさえしなだれかかられているこんな状況が余計まずい事になる…そんな気がしたかr)
鳳翔「…提督はいけずですね。私の事を、親しく思ってはくれないのですか?」イジイジ
提督「い、いや。その…つい、癖が出てしまって」
鳳翔「…嘘つきな上に、意地悪なんですね。でも…」
鳳翔「…そんな意地悪な提督も大好きですよ?」
提督「」←耳へと口づけされる
提督(ど、どう足掻いてもまずかった!)
提督(まずいまずい!何で、何でこうなった!?
鳳翔さんの顔が紅くなってて、いつも見せないような表情もしてて、どこか艶めかしくて…)
提督(違う違う、そうじゃない!
ボタンには間違いなく効果が無い!なのに何故ここまでなるんだ!?)
提督(…まさか、五月雨の時のような『思い込み』でここまで?それだけでこんな、こんな…)
鳳翔「ふふ、提督。今ここで、口付けだけでは無く、その先もやってみませんか?」
提督(こんな…その、色っぽいというか…)
提督「あ、あの、鳳翔?ちょっと落ち着いて…」
鳳翔「あら、私とは嫌、ですか?」
提督「いやほら!誰かが来るかもしれないしさ!」
鳳翔「この時間帯は皆さん来ませんよ。
さっき、提督がそう言っていたじゃありませんか」
提督「そうだった!い、いや、一回落ち着こうって!」
鳳翔「……私の事が嫌いなら、そう言ってはっきりと拒絶して下さい」
提督「や!そう言う事では無くって…」
鳳翔「…では、愛していますか?」
提督「愛ッ…!?いや、あの…!」
ピーーーーーーーッ
提督「!!ほら鳳翔さんお湯が煮えたみたいですよ!やかんの火を止めにいかないと!」
鳳翔「!は、はい…」
提督「あ、こんな時間だ!すいません、やはりお茶はいいです!俺執務室に帰るんで!
また会いましょう!!」
鳳翔「あ、待っ…」
提督「それじゃ!」
【提督、遁走】
鳳翔「……」
鳳翔「…や、やりすぎちゃったかしら…?」///
鳳翔(ボタンが押されると、もっとこう勝手に身体が甘えちゃうとかになると思ってたけど…そうじゃ無かったのね)
鳳翔(あんな、だ、大胆な事…凄く恥ずかしかったけど…)
鳳翔(でも、ボタンのせいでもあるからしょうがない…わよね?)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
提督「…………」
明石『…いやはや、さっきの提督、ぜひとも映像付きで見たかったです』
提督「てめえ…」
明石『いやだって…どうしたんですか、あんなに狼狽えて。外道な提督らしくもない』
提督「…それ以上さっきの事に触れないでくれ」
明石『ひょっとして提督、典型的な攻められるとダメなタイプの人ですか?』
提督「触れるなと言ってるだろうが!…いや、まさか鳳翔がああなるなんて思わなくって…意表を突かれたっていうか…」
明石(ちょっと前までとは別人じゃないかってくらいのヘタレ具合だなぁ』
提督「声に出てんだよこん畜生が」
明石『そういえばあんなに急いで逃げてましたけど、偽ボタンも置いて来てしまいましたか?』
提督「いや、それは何とか回収してきた」
明石「ちゃっかりしてますねー…」