提督「艦娘が甘えてくるボタン?」   作:マロニー

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瑞鶴の場合、その2、MK2。

 

 

 

 

 

 

提督「…おや、もう夜か。

なんだかまたあっという間に過ぎたな」

 

提督(そうだな…今日は大人しく…)

 

 

瑞鶴「あれ、提督さん」

 

 

提督「ん、おお瑞鶴。どうした急に」

 

 

瑞鶴「別に何かって訳じゃないんだけど…なんか神妙な顔してたから、大丈夫かなって」

 

 

提督「あぁ、もしかして真面目な顔付きになってたか?随分珍しい物見たなぁ」

 

 

瑞鶴「ほんと。

…何か心配事って訳じゃない?」

 

 

提督「ん、マジで大した事じゃないよ。

…何か隠そうとしてる奴の言い分みたいだが、本当だぞー」

 

 

提督「…いや、そうだ。なあ瑞鶴」

 

 

瑞鶴「ん?」

 

 

提督「ちょっと付き合わないか?」

 

 

瑞鶴「!?

…いや、付き合うってそう言う事じゃないわよね」

 

 

提督「ハハハ、そりゃそんな大事な事なら流石にもっとかしこまるさ。今の意味は、ちょっと一緒に来ないかって事だ」

 

 

瑞鶴「うーん…何処に行くか、によるかな」

 

 

提督「飯さ。一緒に食いに行こうぜ」

 

 

瑞鶴「あっ。じゃあ、せっかくだし、奢ってもらっちゃおうかな?」

 

 

提督「…ヨシ、いいだろう。但し食い過ぎは厳禁だぞ」

 

 

瑞鶴「あはは、ケチっぽい」

 

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−-

 

 

 

 

 

 

 

 

提督「さて、どうだった?

…気に食わなかったか?」

 

 

瑞鶴「ん?いやいや、そんな事ないって。美味しかったし、満足満足!」

 

 

提督「そうか?なら…いや、まあいいか」

 

 

瑞鶴「…わっ。見てよ提督さん!凄い星!」

 

 

提督「ん…おおほんと。瞬いてんな!

長い事来てるが、知らなかったよ」

 

 

瑞鶴「へへ、お手柄かな?」

 

 

提督「応ともさ。

しっかし、綺麗だな。月も…」

 

 

瑞鶴「…」ピクッ

 

 

提督「……」

 

 

瑞鶴「…言わないの?」

 

 

提督「…いんや、それを言うんだったら、もっとちゃんとした言葉で伝えるさ。勿論、これがちゃんとしてないって訳じゃないが」

 

 

瑞鶴「そう?あぁ、良かった。

もし『月が綺麗ですね』なんて言われたら、私多分吹き出しちゃってたから!」

 

 

提督「おいおい、酷いな。夏目漱石もとばっちりじゃないか」

 

 

瑞鶴「いや、言葉が変なんじゃなくって、提督さんが言ったら笑っちゃうってだけ」

 

 

提督「尚、酷くねぇ!?」

 

 

瑞鶴「あはは!…よいしょっと」

 

 

 

提督(…っと、こんなとこにベンチもあったんだな。よっぽど俺が散漫なのか…)

 

 

提督「…冷えるぞ?」

 

 

瑞鶴「なら誰かが温めてくれればいいじゃない?」

 

 

提督「クク、中々強かだな。

確かにその通り。横、失礼するぞ」

 

 

瑞鶴「うん」

 

 

提督「よいしょっと…」

 

 

瑞鶴「あはは、おっさんくさい」

 

 

提督「しゃーねえだろ実際そうなんだから」

 

 

瑞鶴「ふふ」

 

 

提督「……」

 

 

 

【瑞鶴は提督の肩に頭を預けた】

 

 

 

瑞鶴「…重くない?」

 

 

提督「むしろ軽すぎる」

 

 

瑞鶴「ねぇ。

あのボタン、持ってたりしない?」

 

 

提督「…一応、持ち歩いてはいる。

悪用されても困るしな」

 

 

瑞鶴「…」

 

 

提督「だが、必要ないだろう」

 

 

瑞鶴「ううん。使って」

 

瑞鶴「弱い私の、言い訳にさせて」

 

 

提督「…お前は強い、とか。

そういう発言は求めてねぇよな」

 

 

瑞鶴「あはは。…うん」

 

 

提督「なら、やろう」

 

 

 

ボチッ

 

 

 

提督(…あ。そういや目盛りどうしてたっけな。やっべ、全然気にしてなかった)

 

 

瑞鶴「…だ…」

 

 

提督「だ?」

 

 

瑞鶴「ダメっ!やっぱり恥ずかしい!」グイーッ

 

 

提督「グワーッ!おま…さっきまで耐えてたのに!」

 

 

瑞鶴「ご、ごめん提督さん!でも、どうしてかな…急に恥ずかしくなっちゃって…」

 

 

提督(…!そうか。目盛りが最弱に近かったせいで、甘えていた瑞鶴の状態が逆に弱い感情に上書きされたのか…)

 

 

瑞鶴「ほんとになんでかな。

…折角、チャンスなのに」

 

瑞鶴「…」

 

 

提督「ああ、落ち込むな落ち込むな。

ほら、涙なんて似合わないぞ」

 

 

瑞鶴「泣いてないって!」

 

 

提督「あら元気」

 

提督「…まあ、なんだ。どうしても今日じゃなきゃいけないって、訳じゃあないだろ?明日になっても俺はお前らの前に居るぞ」

 

 

瑞鶴「そういう事じゃないって!…提督さんてば、肝心な所でデリカシーないよね」

 

 

提督「ぐえっ耳が痛い」

 

 

瑞鶴「……ごめんね、提督さんに当たっても意味ないのに。なんでだろう。やっぱり、どうしても勇気が出ないし、恥ずかしい」

 

 

提督(…)

 

 

 

ギュッ

 

 

瑞鶴「…精一杯がこれだって言ったら、笑われちゃうかな」

 

 

提督「笑うもんか」

 

 

 

【二人は静かに、手を握り合う】

 

 

 

提督「…そろそろ、戻るか。

いよいよ寒くなって来た」

 

 

瑞鶴「うん。

…帰るまでこのままでいいかな」

 

 

提督「ああ、好きにするといい」

 

 

 

【体温を、静かに確かめ合った…】

 

 

 

 

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