提督「艦娘が甘えてくるボタン?」 作:マロニー
【某日】
提督(ボタン騒動から数日たった。)
提督(ボタンについては今もかなり話題にはなっているらしい。だが、情報の流れとは激しいもので、今はこの話題で持ちきりとまではもういかないんだと)
提督(結果として多少は平穏な日常が戻ってきたという訳だ)
提督(…だがしかし。そうして少しでも周りが油断している時こそ、最も人を騙したり計ったりするのがやりやすい時期だ)
提督(だから俺は今日も今日とて仕事をしながら、誰かに向かってボタンを押す。ただ愉悦を得る為だけに)
提督「さて、今日も一日お仕事だ。
今日の秘書艦は不知火か。」
不知火「はい。どうぞ宜しくお願いします」
提督「はは、相変わらず堅いな。俺の前でくらいもう少し肩の力を抜いてもいいんだぞ?」
不知火「いえ、そういう訳にもいかないので」
提督「…ま、お前がそれを望んでるならいいさ」
提督(さて、今回も本物の方を使っていこう。
あと少しデータが欲しいとも言われたし、俺自身、こっちをやってみたかったからな)
提督(で、今回のターゲットは不知火か。
…無口で自他共に厳格な娘だが、はてさて。
一体どんな風に甘えてくるんだろうなぁ。)
提督(案外、ベタベタに甘えてきたりして?
全くイメージがつかないけど、前例的にそうならない可能性も無い訳じゃねえからなぁ)
提督(不知火の『甘える』の基準がどんななのかも少し気になるな。コイツの恋愛感というか、成熟具合というかも多少見てみたい…)
提督(……)
提督(…もしこれで、俺が偽の方のボタンを押すとどんな反応するだろうか…?)ウズリ
提督(顔を赤くして何かしてくるか?
はたまた、あくまで冷静なままで甘えてくる?)
提督(いや、それとも。これが偽物だと見破ったりして、たしなめてくるのか?)
提督(…うん、本物はまた別の娘でもいいな)
提督(という事で、明石すまん、データはとれない。不知火に対してはこっちを…ダミーの方を使おう。
もうそっちが気になってしょうがない。)
不知火「司令官?どうかしましたか?」
提督「ああいや、どうもしていないさ」
不知火「そうですか。どこか上の空だったように見えたので、声をかけたのですが…」
提督「何、大丈夫さ。
そんな事よりちゃっちゃと仕事をやっちまおう」
不知火「…解りました」
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提督「…良し、取り敢えずこんなもんかな」
不知火「ええ。お疲れ様でした、司令官」
提督「ああ、お前もな。」
提督「…そうだ。以前、美味そうな氷菓子を買ってきたんだ。それを出そう」
不知火「いえ、私は…」
提督「まあまあ、遠慮するな。秘書艦としての役得と思って貰っておくといい」
不知火「ではそうさせてもらいます」
提督(あと、これの謝罪って事でな)
ポチッ
提督(さあ、いざぁ)
不知火「…!」
不知火「…司令?如何なされましたか」
提督「…む」ポチッポチッ
不知火「どうしたのですか、そのような物を向けて。不知火に何か、落ち度でも?」
提督(…へえ?成る程ね)
提督「いやぁ、すまんな。どうしてもやってみたい事があってな。」
不知火「…そうですか」
提督「ああ。例えばこんな事とかな」
ポチッ
不知火「何を…… ッ!?」
提督「さあ、何だろうな?」
不知火「…あ、あの。司令、官?」モジモジ
提督「しぃーっ…言わなくていい。
言わずとも解るさ。今、猛烈に思ってるんだろう?『俺に甘えたい』ってな」
不知火「…っ!」///
提督(ひゅう、流石明石印の本物だな。
相変わらず効果はバツグンだ)
不知火「で、では…その…」
提督「駄目だ」
不知火「…え?」
提督「不知火。お前さっき、俺が偽物のボタンを押した時にまったく反応しなかったよな。何故だ?」
不知火「何故、とは…」
提督「俺の考えでは。お前はこの偽物の存在を、やられた誰かから、既に聞き出しておいたんだろう」
不知火「……!」
提督「全く、ずるい娘だよな?そんな娘には罰を与えない限り俺に甘えさせてやらない。」
不知火「…えっと、その、罰とは?」
提督「…俺が偽物を押した時、甘えなかった理由を言え。そして、その後に『甘えさせて下さい』ともな」
不知火「なっ…!」
提督(『本物』の効能。それは、相手はどうしようもなく俺に甘えたくなる、だ。)
提督(効能はただのそれだけ。それ以外は何も無い。解除した時記憶を消す事も無い)
提督(そう、羞恥を薄くしたり、無くしたりも無い。それでも甘えてくるのは、その欲が羞恥すら上回る為…)
提督(つまりはこういう事だ、俺がやりたいのは!ちと目論見とは違ったが、これはこれで良し!)
提督「さあ、言うのか?言わないのならば、俺は絶対に貴様を甘えさせたりはしない。
それも今だけではなく、二度とな」
不知火「…!」
不知火「……」
不知火「…し、不知火は。そのボタンについての真偽を知るべく情報を集めて、結果、その偽物の存在を知りました」
不知火「偽物とは言えボタンを押され、それでも甘えなかったのは… し、司令にはしたない娘だと思われたくは無かったからです」
不知火「…そのような小賢しい真似をしてしまい、申し訳ありません」
不知火「なので…その…」
不知火「…あ」
不知火「あ、甘え、させて下、さい…!」///
提督「……」
不知火「あ、あの…?」
提督(恥ずかしげに下を向きながら、顔を真っ赤にし、尚且つ俺の目を上目遣いで見ながらのこの懇願…
うーん、たまんないな)
提督「…良いだろう甘えさせてやる」
不知火「!!そ、それでは」
ポチッ
提督(但しこのボタンは解除するがな)
不知火「…し、司令官…」///
提督「どうした?来ないのか?」
不知火「……う」///
不知火「…うう…」プルプル
提督(愉しい)
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明石「で、その後はどうなったんです?」
提督「そこまで言ったらもう変わらないと思ったらしくてな。半分ヤケクソみたいな感じで甘えてきたよ。顔を赤墨みたいにしてな」
明石「そうですか…だからそんな、かつてない程に気味悪い顔をしているんですか」
提督「いやぁ楽しかった。ほんと楽しかった。
こういう事してるとなんか生きてるって感じがするよ。やっぱお前は天才だな」
明石「よ、よして下さいよ…正直、今そんな事言われても、ただ怖くて全然嬉しくないですって」
提督「はは。今度からはお前の発明品の実験にも幾つか付き合ってやろうかな」ニコニコ
明石「ハハ…ありがとうございます…」
明石(…今度からはできるだけ実験の事を提督に知らせないよう気をつけようかな)