傭兵たちの後日談(アフターストーリー)   作:踊り虫

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今年最初の更新ダヨ!(白目)

 よくよく考えると、『後日譚』なのに始まりの話が無いのおかしくね?となって構想を練って付け加えたお話。
 なので後付設定がわんさか盛りだくさんとなっております←

 というか、後から調べてみて「これってそうだったの!?」という発見がメチャクチャ多くて、そこからの設定の見直しとかつけたしとかが多いですね。
 こういう設定に関しては事前にきっちり纏めてる人と行き当たりばったりな人の二択なんでしょうが、私は完全な後者だなぁ……と苦笑するばかりです。


傭兵たちの前日譚

 ――魔王討伐戦。

 

 魔王討伐のための勇者ご一行を魔王の本拠へと送り出し、周辺の魔物を魔王との決着まで押し留める人類最後にして最大の大規模作戦。

 勇者が魔王を討伐する舞台を作るためだけに残された戦力を結集し、挑んだ戦い。

 

 ルミナス教総本山、ルミナス王国が擁する『ルミナス騎士団』および『ルミナス教団』の全戦力、二万。

 

 ルミナス王国の呼びかけに応じた各地の傭兵団および義勇兵、十万。

 

 そして、魔王討伐という大役を任された『勇者』とその仲間たち、『勇者ご一行』

 

 総勢十二万からなる連合軍が、魔族の故郷、魔郷国『イルスターニャ』に結集。首都イルスターニャを取り囲んだ。

 

 

 対するは世界を破滅に導く魔王の軍勢。

 魔王が呼び出した異界の怪物たち『魔物』の群れ。総数、不明。

 魔王に付き従う強大な四人の魔族『四天王』。

 そして、魔王。

 

 これと真っ向から戦っても人類に勝利は無い。そこで連合軍は人類最大戦力である勇者を魔王の元に送り込み、敵軍の総大将たる魔王を討たせることに相成ったのだ。

 

 

 勝利条件は勇者が魔王の討伐に成功すること。

 敗北条件は魔王の討伐失敗。

 

 連合軍の役目はその間に溢れ出でる魔物たちにその邪魔をさせないこと。つまり時間稼ぎでしかなかった。

 

 これが人類最後の反抗。失敗はそのまま人類の滅びを意味する。

 だが、たとえどれだけの犠牲が出ようとも、それが達成されれば勝利である。

 ルミナス王国女王、レイア・ルミナ・ルミナ・クレアニスまでもが戦陣に加わり、兵へと加護を施し、負傷兵の治療に当たったと聞けば、その覚悟の程も分かるだろう。

 

 

 ――それほどに魔王陣営は膨大であり、強大。全ては勇者に委ねられた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 戦場が、鮮血で染まる。

 どさり、と崩れ落ちる魔物から次の魔物へと剣を振るい、拳を振るい、蹴りを叩き込む。

 少しでも動きを止めればそのまま(たか)られ、殺される。

 斬る、蹴る、殴る、何でも良い。倒しても倒しても尽きぬ化け物の大群相手に手段は問わない。愚直に、ただ目の前の敵を排除していく。

 

 幸い、後方支援として魔法使いや神官たちが付与魔法による強化を施し、援護射撃として魔法を雨霰と降らせて、数で勝る魔物相手に連合軍は対抗する策を執っており、乱戦は師と同じく得意とするところ。

 

 その中を駆け、その上で一人でも多く生き残らせるために一体でも多くの怪物を屠らなければならない。

 

 騎士鎧に身を包む傭兵は戦場を駆けた。

 

 

「うわぁぁぁ!ヤメロ!ヤメ!――」

 

 鬼の傭兵が魔物の群れに押し倒され、岩巨人(ゴーレム)が押しつぶそうとして――

 

「どぉりゃぁぁぁぁッ!」

 

 魔法で強化された身体能力を駆使して岩巨人(ゴーレム)の体を駆け登り、大剣で頭を叩き割った。

 ――コイツとは腕相撲をした。酔っ払った勢いで本気になって五分の勝負をしたっけ。鬼としての力を過信しすぎて、単独行動が多いと思ってたらこの様だ。

 

「多勢に無勢だアホ!戦線はもっと後ろだ、下がれ!」

「ワ、悪ィ」

 

 互いに武器を振るいながら少しずつ後退し、合流。そのまま戦線の維持を任せて別の場所へと向かう。

 

 

「う、腕が……腕が――」

 

 只人(ヒューマン)の歳若い剣士がどこからともなく現れた人型大の黒い蟷螂、達人蟷螂(アデプティス)に片腕を切り落とされ呆然としていた

 ――コイツは酒場でチビチビと酒を呑みながら居心地悪そうにしていた。話を聞くとこういう場所は初めてだったらしい。

 

 達人蟷螂(アデプティス)が返す刃で首を刈り取ろうとして――

 

「オラァァァァァァッ!」

 

 ブン投げた大剣に押し倒された達人蟷螂(アデプティス)に飛び掛り、頭を踏み潰してから大剣を拾い上げる。

 

「ア、アンタ――わぁぁぁっ!?」

「とっとと本陣に戻るぞ!こんな場所で死にたきゃねぇだろ!」

 

 剣士を肩に抱え上げて魔物を追い払い、蹴散らしながら全力疾走。戦線後方の医療班に預けてまた戦線へと引き返す。

 

 

「助っ人登場だ!オラァッ!気張って行けよ!」

「すまん、助かった!」

 

 戻りがてら、複数の魔物相手に苦戦していたエルフの傭兵を助けつつ、騎士鎧の傭兵は駆ける。

 

 彼に与えられた役目は遊撃救援――もっとも危険な戦場の最前線で窮地に陥った者を救援し、継戦不可の人材は後方の医療班にまで護衛搬送するのが()()()()()()()()として『ヴォロンダ』に招集された彼に与えられた仕事だった。

 

 彼の師である名高き傭兵、『戦場の金獅子』は、彼の居る場所とは別の場所で愛する夫(ルミナス王国最強の騎士)と共に戦場を駆け回っていることだろう。

 そう、例えば、魔物がポンポン宙に放り投げられている(ちぎっては投げ、ちぎっては投げられている)のが遠くからでも見える北側――魔王との戦いに臨む勇者ご一行の許へと魔物を向かわせない分断役として。

 

(ま、殺しても死なないようなババァだし、おやっさんも一緒なら大丈夫だろ)

 

 北から突風と共に飛来した岩巨人(ゴーレム)の残骸を避けつつ――それが師匠からの贈り物じゃないと良いな……なんて顔を青くしながら――魔物を倒しつつ次の救護者を探して駆け出した。

 

 

 

 

 しかし、個人で全てを救うことなど不可能、青年もそれはよくわかっている。

 

「た、たす――」

 

 あと一歩あれば助けられた者。

 

「ごめん、なさ――」

 

 急いで運んでいる中で死んでしまった者。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 戦いの音の中、どこからか聞こえる断末魔。

 

 傭兵は笑う。虚勢であることなど百も承知。死んでたまるか、死なせてたまるか、と歯を剥き出しにして獰猛に笑う。

 笑えなくなったらそれこそお終いなのだと、青年は知っている。

 絶望するにはまだ早い。そもそも絶望している暇など無い。

 

 

――名も知らない異界の勇者。早くこの地獄を終わらせてくれ。

 

 

 そんな弱音を億尾にも出さず、傭兵は戦場を駆けた。

 

 

◇◇◇

 

 約百年に渡り続いた魔王戦争の最後の戦い、魔王討伐戦こと『イルスターニャの戦い』

 

 ルミナス騎士団、戦死者、一万五千八百四十名。

 傭兵団および義勇兵の戦死者、六万六千七百六十名。

 勇者ご一行、戦死者、一名。

 

 戦いは一昼夜を掛けて続き。多大なる犠牲の元、魔王の討伐は為された。

 その最後を彩ったのは、魔王の居城より立ち昇った暗き闇の柱と天を貫く白銀の輝きのぶつかり合いであった、とされている。

 

 

 『多大な犠牲を払いながらも、こうして魔王は討たれ、世界に平和が戻ったのでした。めでたしめでたし――』

 

 

 

 

 

 

 

 ――それで物語の幕は下りてくれない(そんなエンドロールは流れない)

 

 

 

◇◇◇

 

 ルミナス王国は双神(ルミナ、ミナスの姉妹神)の加護により魔物の被害が少なく、魔王戦役が始まって以来、亡国の王族や公爵家の亡命を受け入れており、戦後で唯一、国としての体裁を保ち続けることが出来た国であった。

 

 しかし、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()というだけであり、元の国領よりも支配領域は縮小、今は建て直しをしつつ、元々の領地がどのような状況にあるのかを調査、有力諸侯や大きな戦果を挙げた者たちに領主として『土地』を与えた。

 そもそもルミナス王国の周辺諸国は滅び、持ち主が居ない土地など有り余っている。先立つものをある程度提供したなら後は領主に統治を任せ、税を最低限に抑えて建て直しを行わせるのだ。

 

 人の営みが広がれば少しずつ人口も増えていく。人口が増えれば労働者が増える。労働者が増えれば彼らが働いた分だけ税収が増えて国も潤う。

 

 百年続いた戦争だ。その復興に百年を費やすのに否は無いだろう。

 

 ――そこで問題となったのが、土地を報酬として認めなかった傭兵たちへの報酬である。

 

 そもそも傭兵の多くは根無し草の荒くれ者たちであり、土地を貰って統治するという考えをそもそも持っていない。

 結局は報酬次第で働きはするが、その多くは自身の欲求に忠実な輩が大半なのである。

 

 そして、生き残った傭兵の半数がそうした者であり、同時に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

 しかし、報酬を渡す役目を受けた役人たちはそうした傭兵がいることはわかっていても「()()()()()()()」まではわからない。そして魔法や魔法薬による自白を促す行為は禁止されている上に、例外として行おうにも一人一人に施すのは割りに合わない。

 

 これからの国の建て直しのための財源を考えた現場の役人たちによって、報酬の額が減らされ、結果的に役人たちと傭兵たちの間で諍いが起きることとなった。中には暴れて兵に取り押さえられる者までも現れる始末。

 

 ついには女王からの「国としての信用に関わることであり、同時にあの戦場をどうあれ生き残ったことへの称賛でもある。出し惜しむことは許されない」という鶴の一声で、約束どおりに報酬は支払われることとなった。

 

 そのために傭兵達や兵士といった、先の戦いに関わった者たちからは女王は絶大な信頼を得ていくこととなる。

 

『そしてすばらしき為政者。麗しき女王陛下の治世は続いていくのだった』

 

 

 ――それで終われば、苦労はしない。

 

◇◇◇

 

 

 かつての魔王討伐戦の主戦場となった魔族の故郷イルスターニャでは魔王の座に就いた魔族の姫君にして勇者ご一行の一人、アイリス・カトル・エルケニスと彼女の婚約者となった『勇者』を指導者として、生き残った魔族たち約千人と共に国を立て直していく方針を固めた。

 

 ――本来魔王とは()()()()という意味で用いられる言葉であり、()()()()という意味でも使われたのは後にも先にも勇者に討伐された先代魔王だけである。

 

 閑話休題。

 

 そもそも、魔王討伐後に先代魔王の責任の所在を彼女たち魔族に追及する動きが、魔物により滅ぼされた国々の王家の末裔たちや豪商たちの間で広まっており、勇者やルミナス王国の有力諸侯がどうにか押さえ込んでいたのだが、一部の過激な思想を持った者たちの手によりアイリス姫の暗殺未遂事件が発生。

 これに怒り狂った勇者は下手人を返り討ちにすると共に、公式にアイリス姫との婚約を宣言。その上でルミナス王国からアイリス姫と生き残った千人の魔族を引き連れて出奔、一ヶ月後にはイルスターニャへの凱旋を果たした。

 

 この事件によりルミナス王国内ではアイリス姫を『勇者を誑かした売女』、レイア女王を『勇者を寝取られた女王』などと言う悪評が庶民の間に広がり、『魔族を滅ぼすべきだ』という訴えが各騎士団へと届けられ、酷い時には魔族に懸賞金を懸けて傭兵をイルスターニャに差し向ける者も居たというが、その全てを勇者は一人で蹴散らして見せたのだとか。

 

 またルミナス王国内では勇者ご一行に加えレイア女王を中心にルミナス王国騎士団および憲兵団が勇者の側に立つことを宣言。王国議会は荒れに荒れることとなった。

 

 しかし、その混乱に終止符を打ったのはルミナス教会からの発表であった。

 

 『俸神の聖女』より伝えられた神託である。

 

 その内容は『勇者とアイリス姫の婚姻を祝福する。また魔族も我らが隣人である』という物であり、それ以降、ルミナス教までもが魔族の後ろ盾となったことで少なくとも表面上は魔族を糾弾する動きは鎮静化することとなった。

 

 『そうして勇者と姫君は国を建て直すために奔走を始めました。心優しき魔族たちと共に素晴らしい国を作ることでしょう。愛し合う彼らの輝かしい物語はまだまだ続くのです』

 

 

 ――そんな都合よく行くほど現実は甘くない。

 

◇◇◇

 

 ウェルシュ傭兵団。

 

 元は今は亡き竜人の国『ブリタニア帝国』のウェルシュ王家の生き残りを中心に結成された傭兵団。彼らの悲願は帝国の領地奪還にあり、そのために魔王戦役において大きな戦果を挙げ続けてきた名実共に世界最強の傭兵団。

 また初代団長、アンドラダイト・ウェルシュ・ドラゴン老師は勇者ご一行の一人として魔王との対決に同行した猛者としても知られている。

 

 傭兵団は『イルスターニャの戦い』で犠牲者を出しながらも多大な戦果を挙げ、アンドラダイト老師は勇者を先に進ませるために魔王四天王が一人『音越えのクローザ』と一騎打ちに臨み、激闘の末にこれを打倒した。

 

 

 彼らは魔王討伐後は祖国の土地を魔物たちから取り戻すべくブリタニア地方へと帰還。魔物の残党や賊を相手に日々奮闘していた。

 今は亡き帝都に建てられた彼らの拠点には、今では数少なくなった行商人や、生き残った人々、そして傘下に入ることを望む傭兵団が訪れ、少しずつその規模を大きくし、活気を帯びていき、少しずつ国としての形を取り戻していく。

 

 

 『そして彼らは多大な努力と苦労の末に祖国を復興。千年帝国を築き上げる』

 

 

 ――そもそも、試練はまだ続いているのだ。

 

 

◇◇◇

 

 その異変の情報を齎したのは勇者だった。

 

 彼から送られてきた文には『こちらで魔物の巣穴がどこからとも無く出現した。そちらの国でもそうした現象が起きているか確認して欲しい』という簡単な物。しかし勇者の言葉ゆえに無視することは出来ず、各国でその事実確認のために各領主に調査を依頼した。

 

 するとあちこちで魔物の巣となっている洞が見つかったのである。

 

 このことを重く見たルミナス王国の声がけもあり、現時点で連絡を取り合えるブリタニア地方のウェルシュ傭兵団と情報の提供者たる勇者に召集を掛け、有力諸侯と共に情報の刷り合わせを行った。

 

 その時点でわかったことは以下の点だ。

 

 ・魔物の巣の発生する場所に共通点は無く、いつどこに発生するかわからない。

 ・魔物の巣の内部は洞窟や建造物の内部であったり、森や草原、果てには蒼穹に浮かぶ小島だったりと全くの別世界に繋がっている。

 ・魔物たちはこれまで戦ってきた種よりも凶暴で攻撃性が高くなっており、時間が経つと洞の中から出てくるようだ。

 ・また、巣の奥地にはその洞の主とも言える強い魔物が座している。勇者は容易く討伐してのけたが、ウェルシュ傭兵団とルミナス騎士団は不用意に踏み込んだ団員が数名犠牲になった他、苦戦を強いられた。

 ・これを討伐するといつのまにか()()()()洞の外に出ており、洞のあった場所に妙な宝箱が置かれていて、その中に金銀財宝や妙な道具が収められていた。

 ・この道具は直接の武器にはならないがそれぞれ不思議な力を発揮する道具であることが確認されており、これらは復興するに際して非常に有用であると考えられる。

 

 その後も話し合いは続き。勇者の提案でこの洞を『ダンジョン』。ダンジョンの主を『番人』。番人を倒した後に手に入る不思議な力を宿す道具を『宝具』と命名された。

 

 ルミナス王国は現在、勇者の離脱や急速な立て直しによる民衆の混乱が続いており、独力での対処は難しいとして、両者への協力を要請したが、共に断られてしまった。

 

 まずは自国の安定を目指すのが優先されるのは当然のこと。

 ウェルシュ傭兵団はすでにダンジョンの攻略に着手しており、ブリタニア地方を独力で解放していくことを宣言した。

 そもそもウェルシュ傭兵団との雇用契約も『魔王討伐まで』と定められており、そこから更に契約を結ぶのは財源的に難しい。

 

 また勇者は人手の少なさからルミナス王国を助けるだけの余裕は無いことを強調、以前の確執もあり、魔族、ひいてはイルスターニャの守護を優先すると宣言した。

 そもそもイルスターニャは魔王討伐後の火事場泥棒によって資材の大半が失われており、それをどうにか勇者の助力でやりくりしているのが現状である。

 

 ルミナス王国の貴族院や有力諸侯の一部から反感を買い騒ぎ立て、ルミナス王国騎士団、団長、シュトラール・フォン・ツヴェルフが一喝することで静まるという一幕こそありつつ、話し合いの末に勇者からは元四天王であり、現在は勇者の庇護下にあった魔族の少女、シャルウィがルミナス王国への派遣を自ら提案。元四天王という懸念材料もあり議会は紛糾したが、元は魔王の抱えていた特記戦力の一角。

 彼女を知るレイア女王や先の戦争の英雄に数えられる騎士の一人、オプティマス卿の説得もあり、王国議会はこれを承認した。

 

 ウェルシュ傭兵団からは現在隠居中の初代団長にして勇者と共に旅をしたアンドラダイト・ウェルシュ・ドラゴン老師が自らルミナス王国へ入り、ダンジョンの対処に協力することを約束した。

 

 しかしそれでも人材不足であることは変わらず、ツヴェルフ騎士団長は人材の育成に着手しつつ、王都周辺のダンジョンの攻略に着手することを提案したが、そこに王家の相談役として代々仕えてきたヴァンクリーフ一族当主、テオ・ヴァンクリーフ卿、そして勇者より提案が為された。

 

 ――陛下、ここは傭兵を上手く使えませぬか?

 ――ダンジョンの中は魔物の巣窟。それなら魔物の素材を手に入れるチャンス、じゃなかった、絶好の機会じゃないでしょうか?

 

 そもそもこの百年、魔物の毛皮や鉱物なんかの素材を用いることは珍しくなくなっており、ダンジョンの魔物の素材でやりくりするのは問題ない。

 前例として勇者達が旅の途中で寄ったという『グラガイアの街』なる鉱石を纏う巨大な竜種が横たわって眠る横に街を作り、その竜の鉱石を資源として発展した街の存在が報告されている。

 

 

 これに目を変えたのは領主の面々だ。魔王戦役後間もなく領主に任命された者も多く、財政難にある領主は非常に多い。

 そこに先ほどの提案だ。ダンジョンが金のなる木に見えたのだろう。有用そうな種の住まうダンジョンに限定しての保護を行うことや、ダンジョンを各領主の管轄とするなどの各種案を提出。

 

 レイア女王は難色こそ示したが、財政難にあるのは国も同じこと、渋々その案を承諾。

 

 これはもはやルミナス王国内の国政の話になってしまったので、ウェルシュ傭兵団および勇者は離席、別室で派遣することになるアンドラダイト氏とシャルウィに関する契約を結んで帰路に着く。

 

 王国議会はまだ終わらない。更に大々的にこの状況を発表した上で傭兵達を焚きつけ、同時に各種宝具をダンジョンを一つでも少なくしつつ、宝具と資源や報酬を引き換えにする形での依頼形式の運用を提案された他、ダンジョンにまつわる多くの法案が可決されていったのだった。

 

◇◇◇

 

 そしてルミナス王国ではルミナス騎士団の総力で王都近辺のダンジョン攻略が行われ、複数の宝具と当面の財を確保した後、女王レイアからダンジョンの存在やその危険性と有用性を説いた上でルミナス王国名義でダンジョン攻略を依頼。宝具と引き換えとして資源や財貨、国内での爵位や土地を与えるという発表が行われた。

 

 結果、様々な理由で新たな傭兵団が数多く発足し、ダンジョン攻略へと乗り出していく。

 

◇◇◇

 

 魔王討伐戦より3年後。ダンジョンと傭兵団の乱立による混乱の中。ルミナス王国の北東に連なる山脈の中にある山村から物語は始まる。




Tips:

・騎士の数
 当初は中世欧州圏での戦争の内容を参考にしつつ、魔物との戦いの中での疲弊具合を考えて最初はかなり少なめに設定していたのですが、それをそのまま参考にしたとして「あれ?この数で無尽蔵に湧く魔物の群れと戦って勝てるの?」と不安になり数を一気に増やしています。

 ……こういった面では非常に無知ゆえ、ご意見があれば感想か活動報告板にお願いします。


・王家の名前。
 こちらの世界におけるローマでの命名規則を使用。つまり個人名・氏族名・家名・通り名で表現される物。

 レイアは個人名。
 ルミナはルミナス教における主神たる双子の女神が片割れ、ルミナの系譜となる氏族。
 ルミナの家名はその氏族の直系であることを示す。

 クレアニス、は『勇者を呼びし者』の意。

 アイリス姫も同様。
 アイリスが個人名、カトルが氏族名、エルケニスが家名である。


・俸神の聖女
 ルミナ神とミナス神、それぞれに分かれてその生涯を神殿の奥にある『祈りの間』で神に祈りと感謝を捧げ、時に神託を受けとる役割を与えられた二人の巫女の名称。

・~地方
 魔王戦役の中で滅んでしまった国があった場所は今では国名+地方という形で呼称されるようになっている。


余談:

・ルミナス王国の貴族の名前。

 実はある投稿キャラに関して名前を勘違いしていました。

 それは以下の二人となります。

『ツヴェルフ・フォン・ドラッヘンバールト』※投稿キャラ。
『ツヴェルフ・フォン・シュトラール』※ルミナス王国騎士団、騎士団長

 ここでお分かりになった人はすごい。

 実はこれ、名前の順番が『家名・von・個人名』というこれまでのキャラとは変則的な形になっていたんです。
 (ちなみにツヴェルフと共通で付いてることに気付いたのはこの話を書いている途中。いやもっと早く気づけと)

 つまり設定をキッチリ見直すまで『ドラッヘンバールト』ちゃんではなく『ツヴェルフ』ちゃんと勘違いしていたのです。ルトちゃん、そして投稿者様、気付いてなくて本当にごめんなさい。

 なので本作ではそこを

『ドラッヘンバールト・フォン・ツヴェルフ』
『シュトラール・フォン・ツヴェルフ』

に修正(奥方もそれに合わせます)。

 なおvon姓は色々と厄介な物なので今回は流します。
 この騎士団長様、当初の設定では魔王討伐後は騎士団長をやめて、一族というか部族?の土地に家族共々帰ってるんです。von姓はそれゆえの『元貴族』という意味合いだったんだろうなぁ。

 あと、ドイツの領主って納めていた土地の名称を苗字のように使っていたらしいのですが、おそらくここに投稿してきた皆様は家名として送って下さっている物と思っています。

 なのでルミナス王国の各領主の命名規則を
「個人名・家名(家名が無い場合はvon姓で代用)・地名」に変えようかな?なんて案を持ってますが、どうですかね?(震え声)

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