ガルパン?ああ、最高だよ。俺が実際生きて言うことだ。間違いない。 作:燐光
いやホントにホントに申し訳なかったです。こんなに投稿を遅らせて。
リアルで忙しかったのと一時期ネットを断っていたのが原因ですね。
いったい何人のうぷ主が犠牲になったか…
これからもゆっくり投稿になりそうですがどうか楽しんでいってください。
みほside
今日は高校生最初の戦車道全国大会の決勝の日です。少し緊張しているけど中学のときから私を支えてくれているエリカさんとユキさんがいるから勝ちに行ける気がします。やっぱりあの二人は頼もしいです。
…でもなんか今日のユキちゃんはいつもと違う気がする。去年の大会だって冗談なんかを言ってチームの雰囲気を上げてたのに、今日は緊張しているというか思い詰めてるような顔しちゃてる。どうかしたのかな…
「ユキちゃん?」
「ひゃん!?…ああ、みほか。驚かせないでよー」プクー
か、可愛いすぎるよ。
「いやユキちゃんの様子がいつもと違うかなって…」
「え?い、いいや。そんなことはないよ?あ~あの、えっと、まほ先輩と大会出るのが久しぶりだからね。なんか緊張しちゃって。」アハハ
「…?大丈夫ならいいけど…」
「ぜっんぜん大丈夫だから!!早くエリカのとこ行こう!」
「うん分かった!」
「ふぅ、良かった。ばれてない。」
「ん?ユキちゃんなにか言った?」
「うぇ!?なんにも言ってないよ!行こう!!」
「ちょっと待ってよー」
やっぱり今日のユキちゃん変だ。何もないといいんだけど…
???side
「車長!!小梅さんの戦車が!!」
それは当然の出来事で、その日の暴風雨のように黒森峰に理不尽に襲い掛かった。それまで有利に戦いを進めていた黒森峰だったが、川の近くを戦車の列が走っているとそのうちの一両、小梅が乗っている戦車。戦車がいきなりの土砂崩れに巻き込まれて川に転落してしまった。
誰のせいでもない、本当に不運な事故。そうとしか言えない災禍。
その光景を目の前で見ていたみほはとてつもない動揺に襲われた。しかしみほは心がやさしい。すぐに助けに行かなきゃと決意した。
「た、大変!すぐに助けに行かなきゃ!!」
そう言うとみほは戦車のハッチを開こうとした。
「え!?副隊長どこにいくんですか!?」
「小梅さん達を助けに行かなきゃ!あのままだと危ないよ!?」
「それはそうですが行かないでください!今あなたはフラッグ車の車長なんですよ!?」
みほはその言葉に言葉を詰まらせた。そうなのだ。みほはまほ隊長からフラッグ車を任されているのだ。それは姉からの信頼の証だろう。
しかし今のみほにとっては自分の行動を縛り付ける重しでしかなかった。そんなことよりも今困っている小梅さん達を助けたいのだ。
「そ、それでも私は…?!」
「みーほ。ちょっとストップ。」
そう言ってみほを止めたのはみほが一番信頼している友人。神原ユキであった。
「…なんでユキちゃん止めるの?助けに行かなきゃ小梅さん達が…」
「そうだけどみほは副隊長で今はフラッグ車の車長でしょ?その責任がみほにはわかるはずだ。」
みほはその言葉でやはり言葉を詰まらせた。しかしユキの顔を見てびっくりした。
「それでも小梅達を助けたい?」
そう聞くユキの顔は真剣で、今まで見たことのない顔だった。だからみほは少し考えてからユキに自分の思いを伝えた。
「うん。私は助けたい。それで勝っても私は!!」
ユキはそれを聞いて吹っ切れたような顔をした。
「そうだよね。みほは本当にどうようしようもなんだから。」
と苦笑まじりの顔で返すと、ユキは通信手の先輩の方へ顔を向け
「先輩。少しの間だけ砲手頼めますか?」
「!?」
「なんで!?ユキちゃんが行くの?」
その言葉をユキは笑顔で返した。今までで一番きれいな顔だった。しかしすぐに真顔になると先輩達にもう一度頼み込んだ。
「先輩。お願いします。」
「…分かった。早く行け。」
「ありがとうございます。みほ、すぐに帰ってくるからそれまで頑張ってよ?じゃあ行ってくるよ!!」
「え?待ってユキちゃん!?」
そうみほが叫ぶときにはもうユキは大雨の中を走り始め、すぐに濁流の中に呑まれていった。
追いかけないと!!みほは戦車から身を乗り出し呼び止めようとした。だがそれを通信手の先輩が腰にしがみつき止めていた。
「ユキちゃんが!!離してください!!このままだとユキちゃんが!!」
「ユキは私達に副隊長を託したんですよ!!離しません!」
そう言われみほの心は風に切り付けられたような痛みを覚えた。
「ユキが抜けて戦車の攻撃力が下がりますが、逃げることはできる!けど副隊長が抜けると私達だけではなくて黒森峰全体の指揮系統が麻痺してしまう!!」
「…」
「ユキの覚悟を無駄にしないでください。副隊長。」
みほは体の力が抜けていくのが分かった。ハッチの縁を掴んで立つのがやっとだった。そうしてユキが揉まれ呑まれているだろう濁流の川を呆然と眺めていた。
「ユキちゃん…」
そしてみほは自分の頬を二回パンパンと叩いた。そしてみほは指揮を執り始めた。ユキの託したモノを守るために。
しかし現実というのは往々にしてまるで無差別爆撃のように残酷に襲い掛かってくるときがある。このときがまさにそうであった。
みほは頑張った。ユキというメイン火力がいない中なるべく敵と交戦しないように努めた。またユキからの無茶ぶりに答えた先輩の通信手も奮闘し何両かは撃破した。しかしユキが抜けた穴は大きかった。本人が思っている以上に。
ユキは何故か自分のことを一般人だと思い込んでいるが(ああなんという愚かさ!!)、その砲手の腕前は高く評価されていた。プラウダのノンナ・サンダースのナオミ・黒森峰のユキと並べられるほどには。その黒森峰の大きな火力を担うはずだったユキがいなくて、プラウダにはノンナがいるわけだ。それでも大接戦に持っていく黒森峰の底力は見せた。だが負けた。不幸な事故のせいで。
黒森峰は十連覇を逃した。前人未踏の栄光を。そして黒森峰は敗北しなさ過ぎた。こんな言葉を知っているだろうか?
『成功というものは、厄介な教師だ。賢い人を惑わし、負けるわけがないと思わせてしまう。』
ビルゲイツの言葉で、意味はそのままだ。黒森峰はまさにこの状況に陥っていたのだ。
「まさか我々が負けることはないだろう」
そんなことはない。世の中はいつも漂い流されていくもの。永遠というものはない。
しかし黒森峰はそうは考えなかった。我々が負けたのは戦犯。裏切者がいるからだと。そう妄信するしか自分たちのなけなしのちっぽけなプライドを守る方法はなかった。
その標的になったのは誰か?
ユキだ。
ユキは小梅を助けたときに風邪をひいてしまい、四日間風邪をひいていた。その間に部屋に来たのは、みほ&エリカコンビ・まほ隊長・一緒にフラッグ車に乗っていた先輩達。
逆に言えばそれだけだった。しかもみほエリ以外の人たちは初日以外には来なかった。…いや、来れなかったといった方がいいかもしれない。
黒森峰上層部はユキの処罰を決めた。当分の間戦車道禁止、しかしそれは実質無期限に等しい処分であった。黒森峰はOGの力が激しく、今回の大会十連覇を逃しとても怒っていたのだ。そしてそれを解消するための生け贄を欲していた。
高慢なプライドを守るのは簡単だ。戦犯を一人決めればいい。その一人に失敗を抱え込ませれば、自分たちは悪くなくなり、さらにストレス解消のための合法サンドバッグまで手に入る。いやいや、良く作られている。
このOG会の圧力にはさすがのまほも耐えられなかった。
ユキは黒森峰で居場所をなくしてしまったのだ。
みほとエリカを除いて。
すいません。長くなりそうだったので前編後編に分けました。
後編のなるはやで出すよう頑張るので、気楽に待っていてください