青年の異世界珍道中〜僕のヒーローアカデミア〜   作:クロイツヴァルト

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第二話

 

 

 「さてさてあの二人がどうなるか…まぁ、十中八九オールマイトにも厳しい現実を突き付けられるわけだが」

 

 緑谷とオールマイトを残して戒翔は商店街に足を向けていた。

 

 「ま、半端な覚悟で俺の地獄の修行メニューを熟せる訳ないんだからアイツの熱意とトップヒーローの言葉で自信がつけば儲け物って所かな」

 

 そして商店街で買物をしようと通りに差し掛かるのと同時に悲鳴と爆発が起きる。

 

 「今度はなんだ?」

 

 そう胡乱げに呟きながら爆心地に向かい現場を見た戒翔は怪訝な表情になる

 

 「何で、あの泥ヴィランが暴れてる訳?確かオールマイトが捕獲していた筈だが」

 

 そう考察している所、戒翔の耳に聞き慣れた声が聞こえた。

 

 「こんのぉぉぉぉ‼︎‼︎こんなドブ男に俺が、呑まれるかァァァァァ‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

 泥のヴィランに取り込まれた爆豪が抵抗し、彼を助けようとするヒーロー達だが

 

 「なんだコイツは、掴めねぇ⁉︎ぐぁッ!」

 

 「俺に触れるなぁ!」

 

 「デステゴロ!」

 

 泥ヴィランのなぎ払いにデステゴロと呼ばれたヒーローはシャッターの近くに叩きつけられる。他のヒーロー達も各々現場の救助活動をし、暴れるヴィランに対して有効な手立てが立たずにいた。

 

 「まったく、あの爆発頭は世話が焼けるな」

 

 そう言って戒翔が動こうとした時、戒翔の横を横切る影を見つける。

 

 「出久…ちぃ!あんの痴れ者が!」

 

 「おい!止まれ!止まれぇ!」

 

 駆け出していたのは戒翔と爆豪の幼馴染である緑谷出久である。

 

 「ったく、援護くらいしてやるか!」

 

 そう言って戒翔もまた出久の後を追う様に駆け出す。勿論前方のヒーロー達に邪魔されない様に個性を使って頭上を飛び越える。

 

 「んなぁ⁉︎まだ飛び出す馬鹿がいやがった!止まるんだ!」

 

 「っは!そんなことで止まるものか!出久、この俺が隙を作ってやるんだ…きっちり助けろよ!」

 

 「戒翔くん…!分かった!」

 

 出久が頷くと同時に戒翔は両手に小麦粉をどこからとも無く出すとそのまま泥ヴィランに投げつけ、さらに個性を使って小麦粉をヴィランに浴びせる。

 

 「な、なんだ!?」

 

 「いくら流動体といえども粉物被ってはどうなるかな?」

 

 「しまった!」

 

 「出久、ぶちかませ!」

 

 「うん!偽・射殺す百頭!」

 

 戒翔の言葉に出久はヴィランの懐に潜り、戒翔の放った小麦粉で凝固したヴィランの体をその鍛えた肉体で瞬時に無数の拳を打ち放つ。

 

 「がぁッ⁉︎」

 

 その衝撃にたまらずヴィランは爆豪の拘束が緩み

 

 「隙ありってなぁ!」

 

 緑谷の後ろを走っていた戒翔により爆豪はすぐさま奪還されたヴィランは激昂する。

 

 「クソ餓鬼共が!舐めてんじゃねぇぞ‼︎‼︎」

 

 「あ…」

 

 「馬鹿者が!早く下がらんか!」

 

 そして今まさにヴィランの手が緑谷に振り下ろされる瞬間、風が吹く

 

 「ようやくか、ヒーローは遅れて登場か?」

 

 戒翔が爆豪を抱えながら呟く先には泥ヴィランの攻撃を片腕で止めるNo. 1ヒーロー〝オールマイト〟が緑谷を庇っていた。

 

 「君を諭しておいて己が実践せずに何がヒーローだ!」

 

 「オールマイトォォォォッ‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

 「プロはいつだって命懸けぇ‼︎‼︎」

 

 緑谷を見つめ、そしてヴィランを見ながら告げる言葉にヴィランは怨敵とばかりに叫びながら攻撃を仕掛けるが

 

 「デトロイト……スマーーッシュ‼︎‼︎」

 

 振り抜いた拳がヴィランの流動体を飛散させその威力のあまりに尋常じゃ無い風圧がうまれる

 

 「っは、ただの一振りがこの威力か。天候をも変えるとは流石はトップヒーローって訳か。」

 

 そう言って戒翔は上空に出来上がる積乱雲を見る。

 

 「スゲー!これが……オールマイトォォォォ‼︎‼︎」

 

 そしてその後、飛散した泥ヴィランは集まったヒーロー達により回収され警察に引き渡され戒翔達は叱責と称賛の両方をされるのであった。

 

 「戒翔くん巻き込んでゴメンね。」

 

 「まったく、出久。貴様が飛び出さなければ俺も動くことはなかったが……よくやったと言えよう。」

 

 事件現場からの帰り道、戒翔と出久は二人で話しながら帰っていた。

 

 「デク!戒翔!」

 

 「かっちゃん」

 

 「なんで俺を助けやがった!俺は一人でもやれる!やれたんだよ!クソが!」

 

 「そういうのならもっと力を付けるべきだな。ヴィランに捕まって人質になる様な現状では一人で出来るとは到底思えんな。」

 

 「んだと!このクソが!俺はもう誰の助けも必要ねぇくれぇに強くなる!無個性のお前にもだ!」

 

 爆豪はそう言うだけ言って直ぐに踵を返して去って行く。

 

 「まったく、あの聞かん坊が反骨心があるのは良いが限度を覚えねば自身の首絞めてしまうと分からんのかね」

 

 「戒翔くん、多分かっちゃんは分かって言ってるんだよ。暴言で勘違いされがちだけど自分を追い込まないと目の前の壁である戒翔くんに追い付けないと思ってるんだよ。」

 

 「ククっ。俺が壁ね…ま、勝手に壁にするのは良いが俺は簡単に超えられるほど低い壁では無いがな」

 

 出久の言葉に苦笑しつつも不敵な笑みで去って行った爆豪の方を見る戒翔。そこへ

 

 「私が来た!」

 

 「オールマイト!?」

 

 「取材陣を撒いて来たのか?」

 

 「そんな事訳ないさ!何故なら私はオールマイトだからさ!」

 

 「そして、少年よ。礼と訂正を、そして提案があるが」

 

 「あぁ、分かった。内密の話があるんだろ?俺は先に帰るよ。あぁ、そうだ。出久、チャンスやきっかけってのは突然訪れる物だ。それを活かすも殺すもその者の選択次第だ。それを無駄にしない事だ」

 

 緑谷とオールマイトの話を聞いていた戒翔はオールマイトの言葉を察して出久に助言をしてその場を後にする。

 

 「アンタの後継者に出久を選んでくれて感謝するよ」

 

 「ッ!?」

 

 オールマイトの横を通り過ぎる時戒翔は彼にギリギリ聞こえる声音で呟きオールマイトは驚いて背を向けて去って行く戒翔を見つめる

 

 「彼はいったい何者だ?」

 

 「どうしたんですかオールマイト?」

 

 「いや、何でもないよ。」

 

 不思議そうな表情をする緑谷の言葉にオールマイトは先程の戒翔の言葉を隅に追いやり緑谷の方を向く

 

 「少年、君には私の力を受け継ぐに値すると私は判断した。」

 

 オールマイトの言葉……それが今後の緑谷の人生を左右する事は確実なのである。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 それから十ヶ月後

 

 「さて…あっという間に試験の当日な訳だが、出久準備は大丈夫なのか?」

 

 「う、うん。」

 

 「俺の特訓メニューを見直しつつあのオールマイトの特訓を受けたんだ。そう簡単には試験に落ちる事は無いだろうさ」

 

 戒翔達の目の前にそびえ立つ雄英高校の校門の前で戒翔と出久は会話をしていた。

 

 「さて、コレからが俺達のヒーローへの第一歩だ。気張れよ出久」

 

 「うん、頑張る」

 

 歩きながら出久は見事に足を引っ掛けて顔面ダイブをしてしまう。

 

 「危ない!」

 

 事は無く近くにいた女の子の個性で宙に浮く事により難を逃れる事になった。

 

 「大丈夫だった?試験の前に転ぶとか縁起悪いからね!お互い頑張ろうね!」

 

 一方的に話すだけ話してその女の子は講堂の方へと先に歩いていく。

 

 「ど、どうしよう女の子と喋っちゃった⁉︎」

 

 「いや、お前会話成り立ってないからな?彼女が一人で喋ってただけだからな?」

 

 焦る出久に対しそんな出久を呆れる戒翔であった。

 

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