青年の異世界珍道中〜僕のヒーローアカデミア〜 作:クロイツヴァルト
試験から数日後
「さて、こうして雄英から手紙が来たわけだが」
戒翔は自室のテーブルに雄英から届いた手紙とその中に入っていた小型の投影装置が置かれていた。
「マスターならば合格は当然です。」
戒翔の斜め後ろに立つ銀の長髪を後ろに流す美女がそう告げる。
「アインス、それは確かにそうだがこういうのはいつになってもワクワクする物なのだからそう水を差さないでくれ」
戒翔はそう言って苦笑する。
「申し訳ありません。」
「さてさて、結果はどうだろうかな?」
そして戒翔は目の前の投影装置を起動する。
「私が……投影されたぁ‼︎‼︎」
ホログラムには画面いっぱいにオールマイトの顔が映し出される。
「最初から暑苦しいなぁ」
「私がこの姿で写っている事にさぞ驚いた事だろう。」
「私は今年からこの雄英高校で教師を勤める為にこの街に来たのさ。」
「さて、早速だが試験の結果だが筆記は満点!凄いね!実技の方も敵ポイントだけで80ポイント…これも素晴らしい!」
「ただの案山子の様なものだろうに大袈裟な」
オールマイトの言葉に戒翔はそう呟く。
「そして、敵ポイントの他にも見ていたポイントがある!それは」
「レスキューポイント‼︎‼︎」
「しかも審査制だ!我々雄英が見ていたもう一つの能力!」
「へぇ」
「御坂戒翔80P!合計で160Pダントツの一位だ、おめでとう!」
「合格だよ、御坂少年!」
「おめでとうございますマスター!」
「ま、当然だな。ありがとう、アインス」
オールマイトの言葉にアインスが喜びの声を出し、戒翔もまた笑顔で答える。
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「ここが1ーAか。」
春、戒翔は雄英高校に入学し自身の入る教室の前に来ていた。
「しかし、この大きな引き戸は異形型も考慮した作りのバリアフリーって事か。流石は最高峰ってところか」
そう言って戒翔は教室の引き戸を引く
「あ、あの時の!」
「やっぱ合格してたか、いや心配はしてなかったけどさ」
「けろ、耳郎ちゃんは自分たちの所為で合格しないんじゃないかって心配してたのよ」
「ちょ、梅雨ちゃん!それは内緒だって」
「はは、心配してくれてありがとな。俺は御坂戒翔ってんだよろしくな。」
「あ、あたしは葉隠透!」
「私は耳郎響香。」
「蛙吹梅雨よ。梅雨ちゃんと呼んで」
教室に入ってすぐに声をかけて来たのは試験会場で一緒になった女子三人で戒翔と自己紹介と他愛の無い会話を交わす。
「アンタもA組だったんだな!俺は切島鋭児郎!」
「お前はあの時のガチガチの…俺は御坂戒翔だ。お互い無事に合格した様で何よりだ」
大型敵の時に一緒になった少年、切島と戒翔は自己紹介をする。そして
「爆豪も当然合格してるわな」
「っけ!」
机の上に足を投げ出しているライオンヘアの少年、爆豪は戒翔の言葉に明後日の方を向く
「ついでに緑谷も合格してると思うぞ。」
「あぁ?あのクソデクがか」
続いての言葉にその鋭く悪人の様な眼付きを更に鋭くして戒翔を睨みつける。
「俺が基礎を鍛え上げているし何よりアイツは多分だが以前とは違う気がする。無論これは俺の勘に過ぎないがな」
そう言って戒翔は今し方入ってきた2組の男女を振り返りながら見る。
「あ、戒翔くんにかっちゃんも!良かった〜、一緒のクラスだね!」
「勿論だ。まぁ、これからも修行は見てやるからな。ヒーローになるなら現状に満足してたらあっという間に他の連中に置いて行かれるからな?」
「あ、うん!これからも宜しくね!」
そう言って出久は笑う。
「友達ごっこがしたいなら他に行け」
出久のすぐ後ろで寝袋に包まれた不審者がそう告げる。
(((なんかいた‼︎‼︎)))
「ここは……ヒーロー科だぞ」
そしてゼリー飲料を取り出し、瞬時に飲みながら続けて告げる。そしてクラスの戒翔を除いた面々は驚きの声を心の中で叫ぶ
「はい、君達が静かになるまでに8秒かかりました。時間は有限…君達は合理性に欠くね。」
寝袋を脱ぎながらそう言う不審人物にクラスの面々は不思議そうな表情をする。
「私は担任の相澤消太です」
((担任⁉︎))
無精髭に薄汚れた布を首に巻いた人物の自己紹介にクラスは驚愕する。
「早速だが体操服に着替えてグラウンドに集合しろ」
担任の相澤の有無を言わさぬ言動にクラスの面々は各自、着替えて外の運動場に出る。
「「個性把握テスト⁉︎」」
グラウンドに集まったクラスに対して相澤が告げた言葉に驚く一同
「あ、あの入学式やガイダンスは」
「ヒーローになるならそんな悠長な行事に出てる暇は無いよ。」
一人の女生徒の質問に対してもバッサリと切る。
「雄英は自由な校風が売り文句……ならそれは教師側もまた然り」
「「???」」
相澤の言葉にイマイチ理解出来ていない生徒達
「中学の頃にやっただろ…個性禁止の体力テスト」
そう言われて数名の生徒達は理解する。今からやるのは個性を使った体力テストだと
「御坂、中学の時のソフトボール投げは何メートルだった?」
「えー、確か85か6メートルだったかな?」
「ほぅ、普通なら全国レベルの記録だな。」
「アレでも結構抑えてたんだけどね。あまり力入れると個性使ったんじゃ無いかと疑われるのがクソめんどくさいんで」
「へぇ、なら練習がてら一投だけ全力の個性無しで投げて見ろ」
そう言って相澤は戒翔に計測用のボールを投げ渡す。
「んー、これ壊れたりしないよな?」
「それは個性を使って投げる事を想定して作られたボールだから心配するな」
「それじゃ」
そう言って戒翔は丹田を中心に氣を巡らしていく。
「さてさてさ〜て、いきますか!」
そう告げて戒翔は一般的な投球フォームで構えて片足を前にし踏みしめボールを投げた。
「個性無しの記録は855メートル……お前人間か?」
「「はぁァァァァァッ⁉︎」」
「御坂、お前マジで今の個性使って無いんだよな?」
「そうですよ?まぁ個性と言うよりも技能に近い物は使いましたがね。それの説明はまた今度でお願いしますよ。時間は有限…ですからね。」
「む…まぁ良い。じゃ、次は個性を使って投げて見ろ。」
「了解です。」
「……
相澤の言葉に戒翔は再び渡されたボールを手にして試験会場でも使った電撃使いを使う為に一度頭上にボールを投げて身体中に紫電を纏わせ、拳にそれを一点に集中させ、落ちてくるボールに合わせて振り抜く。
「まぁ、先ほどのは無しにしても先ずは自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を作る合理的手段」
そう言って手に持った計測機を生徒達に見せる
「「2500メートル⁉︎」」
「マジか!すげー面白そう!」
「個性使えんのか!スゲーなヒーロー科!」
ざわめく生徒達を見て心底冷めた表情で見る相澤
「………面白そうか」
「ヒーローになる為の三年間をそんな腹積りで過ごす気でいるのかい?」
「よし、総合成績最下位の者は見込み無しとして除籍処分としよう」
「「はァァァァァッ⁉︎」」
「生徒の如何は俺達の自由……ようこそ!これが……雄英高校ヒーロー科だ!」
そう不遜な言葉で生徒達を挑発するかのような言動で担任の相澤は告げるのであった。