「ワンピース」の世界に来たと思ったら『最悪の世代』にされたんですけど(半ギレ)   作:闇野サバス

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9話 ゴミクズ

黒い、海賊・・・?

それって完全に『黒ひげ海賊団』のことじゃないか!

何でこの島に来てるんだよ!

 

「は・・・はやく、にげろ・・・」

 

「おい、もう喋るな!傷が深まるぞ!」

 

「わた、し、は・・・」

 

何か言い終わる前に倒れた。

 

目の焦点は合ってないし、脈も無い。

 

 

 

死んだ。

 

 

 

嘘だろ?殺されたのか?

何もしてないコイツが?

あの海賊達に?

 

ちくしょお!

何でこんな事になってんだよぉ!

 

クソ。クソ。クソ。

こんな事していてもダメだ。

早く皆を助けないと!

 

急いで街の中に入る。

 

そこには地獄が広がっていた。

 

「うわああああああああああああああああ!!!」

 

「助けてえええええええええええええええ!!!」

 

絶叫して逃げまどう街の市民たち。

焼け落ちて崩れる家屋。

道に飛び散る血液。

そして。

 

「げはははは!もっと逃げろぉ!」

 

「金や食い物を掻っ払ったら火を付けろぉ!」

 

「はははっ!ここの家はよく燃えるなあ!」

 

俺たちの日常(幸せ)をぶっ壊しやがった黒ひげの仲間達(ゴミクズ野郎供)!!!!!!!!

 

「やめろォォォォォォォォォォぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

俺は叫びながら突っ込んでいく。

 

先ずは群がっている奴らからだ。

本気の『嵐脚』でまとめて消し飛ばす。

 

ズギャアアアアアア!!!

 

「「「うわああああああ!!!」」」

 

「うおお、何だコイツ!」

 

「この野郎!やるぞ!」

 

他の奴らも突っ込んでくる。

邪魔だ。消えろ!

 

「『紅茸』!!」

 

広範囲に胞子をばら撒き、雑魚たちの身体に血吸いキノコを生やす。

 

胞子を浴びた連中が干からびた所で次の相手に『指銃』を突き刺す。

 

ドスゥ

 

「グワアッ!!!」

 

次だ。

 

確実に倒すために足に刺す。

あるいは肩に。

あるいは腹に。

あるいは背中に。

 

ドシュウっ!

刺す!

ブスっ!

刺す!

ザシュッ!

刺す!!!

 

「お前ら、コイツだあ!先にこいつをやれぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

ダメだ!まだまだ数が多すぎる!

 

もっと手数を!

 

「うおおおおおお!!!」

 

『嵐脚』でなぎ払い、『猪断茸』を発射し切り裂いていく。

『指銃』で突き刺し、『紅茸』で血を搾り取る。

 

「うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

とにかく敵を倒し続けた。

 

数が多いけど1人1人は弱い。

本当に『黒ひげ』の仲間なのかと思うくらいだ。

何はともあれ俺にとっては好機だ。

倒し続ればいつか片付く。

 

「ぎゃああああああああああ!!!」

 

「何なんだよこいつはぁ!?」

 

「こんなの話に聞いてないぞ!?」

 

ごちゃごちゃうるせえ!

 

「吹っ飛べ!『嵐脚』!」

 

ズドォォォォォォォ!!!

 

急げ!

手遅れになる前に!倒さないと!

倒して!倒して!倒して!

もっと速く!!

 

「くらええええええ!!!」

 

とどめに『大砲雷茸』を打ち込んだ。

大爆発を起こして、船員達が吹き飛んで行った。

 

ドガァァァァァァァァァ!!!

 

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」

 

やった。やったぞ。

何とかコイツらを倒した。

こんなに短時間でこれほどの数と戦うのは初めてだ。

 

「待っててくれ、皆・・・はあ、すぐに、助ける・・・」

 

まだ逃げ遅れた人もいる。

火の手が回り切る前に助けなきゃな。

もう大丈夫だ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおいどうしたぁ?もうコイツらくたばってるじゃねえか!ウィッハハハハハァ!!!」

 

ぞ・・・?

 

「所詮は勝手に付いてきただけ(・・・・・・・・・・)の格下ですからね。期待する方がバカというものですよ」

 

「ゴフ・・・少しは使えると思っていたが・・・これも運命か・・・・・・ああ・・・」

 

マスクを被った大柄の男。

 

シルクハットにステッキのいかにも狡猾そうな男。

 

病弱な馬に跨がった同じく病弱な男。

 

名前はよく知らない。けど見たことある奴が何人かいる。

多分コイツらは『黒ひげ海賊団』の船員だ。

 

そして今聞いた話が本当なら今のコイツらは船員じゃない。

ただの使い捨てだ(・・・・・・・・)

 

「ん?何だアイツ?もしかしてお前がやったのか?」

 

マスク男がこっちを見てくる。

 

「ほお。中々強そうじゃねえか。ちょうど良い!建物ぶっ壊すのも飽きてきた所だ!俺と少し遊べよォ!」

 

そう言ってこっちに向かって突っ込んできた!

くっ!絶対強いぞコイツ!

とにかくやるしかねえ!相手が誰であろうが絶対に勝つ!!

 

「来るなら来やがれぇ!」

 

その時だった。

 

 

 

ドスッ

 

 

 

「がはっ・・・」

 

え?

 

何これ?

 

何で肩に穴が・・・

 

「波動ぉ!エルボー!!!」

 

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

「ぐああああああああああああああああ!」

 

俺は何も出来ないまま吹き飛ばされた。

 

ガラガラ・・・

 

「あっああああああああっ・・・」

 

痛い。

今までにないぐらい痛すぎる。

 

「ぐふっ・・・がっ・・・」

 

しかも身体に力が入らない。

 

どうなってるんだ。

 

「何だ何だ?もうお終いかよ。つまんねえな」

 

マスク男が呆れたように言う。

 

「おやおや。今の弾はオーガーのものですか。さすが、仕事の早い人です」

 

「どうやら・・・海楼石の弾のようだ・・・貴重な拾い物だったのだが・・・グフッ」

 

か・・・海楼石?

そうか・・・だから身体が・・・

 

「てことはコイツ能力者か!厄介な事されなくて良かったぜ!」

 

すると納得がいったように肯いた。

 

「この状態では・・・ロクに動けないだろう・・・我々は、先を急ごう・・・」

 

「ふむ。では行きましょうか」

 

3人が離れていく。

ダメだ。先に行かせてたまるか。

 

「がっ、あぐ・・・何で、動けないんだぁ・・・!」

 

だけど指1本動かせない。

今までならこの程度何とも無かったのに。

崖から落ちても大丈夫なのに。

 

何て情けないんだ、俺は。

 

「くそぉ・・・!動けぇぇ・・・!」

 

「・・・」

 

すると何を思ったのか病弱な男が戻ってくる。

何をする気なんだ。

 

「お前は・・・どっちだ・・・?」

 

そいつは銃を取り出し、袋から無造作に取り出した弾を込めて俺に向けてきた。

 

「や、やめろ・・・!」

 

このまま撃ち殺す気か!ちくしょお!

 

「・・・」

 

カチャ

 

動け・・・!早く動け・・・!

 

 

 

カチンッ

 

 

 

「え・・・?」

 

不発弾か(・・・・)・・・・・・はあ・・・」

 

男はそのまま銃をしまう。

 

「運が良いな・・・」

 

そう言ってそいつは、他の2人と行ってしまった。

 

 


 

 

あれからどれくらい経ったか。

 

俺は未だ動けずにいた。

 

「うう・・・」

 

皆を、助けるなんて言っておいて。

1人も助けられていない。

 

何がこれならいける、だ。

何にも行けてないじゃないか。

 

俺はクズだ。

自分の力を過信して、油断だらけで・・・

 

これじゃあじいちゃんやミリー姉さんにも会わせる顔が無い。

 

 

 

「じいちゃん・・・?ミリー・・・?」

 

 

 

そうだ!

2人はまだ、大丈夫なのか!?

 

アッシュは、どこに行ったんだ!?

 

まだダメだ!

諦めるには早い!

 

「うおお!!」

 

グチュウッ

 

「うぎぃ!?」

 

肩に喰い込んだ海楼石の弾を指で掴んで無理矢理引き摺り出す。

 

ズル・・・ブチ・・・

 

「ぐうううううううっ!!」

 

身体に力が入らないからすごくやり辛い。

 

ジクジク・・・

 

「いたいぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

 

子供のような情けない悲鳴をあげる。

 

グチ・・グチ・・・

 

「うああああああああああああああ!」

 

ズリュウッ!

 

「ハア・・・ハア・・・」

 

涙を浮かべながらようやく取り出した。

 

よし・・・!動ける・・・!

 

「待っててくれ・・・!皆・・・!」

 

俺は走り出した。

 

 

 

街はもうほとんどが火の海だった。

 

道には人々の死体が倒れている。

 

まだ倒せていない三下海賊もいるようだった。

 

「ハアッ!ハアッ!」

 

俺は止まる事なく走り続ける。

 

あの酒場は。

 

ミリー姉さんは。

 

じいちゃんは。

 

アッシュは。

 

皆、大丈夫なのか。

 

「もうすぐ、あそこだ・・・!」

 

曲がり角を曲がって、あの酒場へ辿り着いた。

 

 

 

 

 

俺が、見たのは。

 

 

 

 

 

 

燃えながら崩れ落ちた『酔いどれ天使(ドラックエンジェル)』の店。

 

その下敷きになっている、女の人の腕(・・・・・)

 

そしてバラバラになったじいちゃんが(・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

 

「ああ・・・ああああ・・・」

 

 

 

「うそだ・・・じいちゃん・・・ミリー・・・」 

 

 

 

いやだ。

 

いやだ。

 

みんな、おれのたいせつなひとなんだ。

 

だからやめてよ。つれていかないでよ。

 

みんなを、うばわないでよ。

 

 

 

「いやだ・・・いやだ・・・」

 

 

 

かみさま。おねがいします。

 

もうやめてください。

 

こんなひどいこと、しないでください。

 

おねがいします。

 

もうわるいことしません。

 

おさけもにどとのみません。

 

だから、かえしてください。

 

 

 

 

「やだ・・・」

 

 

 

ちがう。

 

かみさまのせいじゃない。

 

だから、きっとかえしてくれない。

 

だって、うばったのは。

 

もえたのは。

 

ころされたのは。

 

ぜんぶ。

 

 

 

「やだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」

 

 

 

おれ(・・)のせいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・あはっ

 

 

 

おれのなにかが、こわれた。


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