「ワンピース」の世界に来たと思ったら『最悪の世代』にされたんですけど(半ギレ)   作:闇野サバス

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1話 携帯無くしたしタマも無くした

おはよう。今日もいい朝だわ。酒飲めなくなったおかげで頭もスッキリしてるし。

 

でもやっぱり酒は飲みたいわ。味はともかくあのタガが緩んでいく感覚は何にも変えられないものだし。スーパーで買ったサラミやらチーズやらと一緒に食べるとまた最高なんだわ。そしてそのまま泥のように沈んでいくのもまた一興。

 

いやそうじゃない。前置きが長いわ。

 

あの後眠ったわけだけど、やっぱり何も変わらなかった。コレが現実なんだって受け入れるしかなかった。

 

何というかやっぱりキツいよ。いきなり赤ちゃんにされて。山奥にポイされて。耐えられるかよ。

 

 

 

それで、その、泣いた。

 

 

 

身体がこうなってるせいか一旦泣き出すともう止まらなかった。情けなくギャンギャン大泣きして、恥かいた。

 

しばらくして泣き止んでスッとしてたらヒゲ生やしたおっさんが来た。気付いたら小屋みたいなところにいるし、ああこの人が拾ってくれたのかって気付いた。

 

ミルクでも飲ませてくれるんかなー酒の方が良いけどなーとか思ってたら何かするわけでもなくじっと覗いてきた。アレは正直キモかった。

 

それで俺のことを自分と同じ独りだなんだとやたら言い聞かせてきた。いやアンタの事情とか知らんし。ずっと独身のままその歳まで行って寂しいんだか知らんけど、こっちの境遇の方がずっとずっと悲惨だわ。

 

まあ今の何も出来ない俺を育ててくれるってなったときは安心したけど。辛さが消えたわけじゃないけど少なくとも生きていく事が出来る。

 

 


 

 

おっさんの育児方針はヘタクソだった。まだ歯も生えていない俺におかゆ食わせようとしてきたり、小便漏らしたことに気付かずに何時間も放置されたりした。

 

親切に声と言う名の泣き声で伝えようとしたのに「腹が減ったか」とかいってアツアツのミルク作って飲ませてきやがったし。

哺乳瓶?ねえよそんなもん。

 

毎日朝に狩りに出かけて夕方くらいに戻り、俺の世話して寝るのがおっさんの生活サイクル。

 

つまり帰ってくるまでずっと1人にして放置。

 

アンタね。中身が俺だから良かったものの、コレ普通だったらアウトだからな。どんな社会生活送ってきたのよマジで。

 

あと名前も決められた。その名もケイト。

 

まあ俺には新木健斗っていう立派な名前があるが。でも案外悪くない名前だと思ったよ。

 

 

 

それでコレが一番の問題だ。

おっさんがお漏らしに気付いてやっとオムツ取り替えてくれた時にソレ(・・)は発覚した。

 

 

 

 

 

俺のムスコが、サヨナラバイバイしていた。

 

 

 

 

 

アレはショッキングだった。どうりで何かずーっと違和感あったなって思ってたらそういうことかよ!まだ小さすぎるだけかと思ってたわ!

 

つまり今の俺は、女として生まれ変わったという事になる。

 

コレじゃあ今までみたいにお世話になる事も出来ないし、生理とかにも対処しなきゃいけない。色んな意味でお先真っ暗になった。

 

さらば俺のムスコ・・・

 

さらば俺の童貞卒業・・・

 

 

 

 

 

それから2年くらい経った。

 

歩き方も安定し始めて、声もある程度は出せるようになった俺に、おっさんは教育を始めた。

 

俺には実際意味のないことだったが、黙って受けることにした。おっさんは俺の事情しらないし、何より少なからずの恩も感じてるしな。

 

あっ。ちなみにおっさんの名前はジョンね。

 

それでおっさん改めジョンに色々教えてもらってる中で一つ気づいた。

 

 

 

俺、ワンピースの世界にいるわ。

 

 

 

何言ってるか分かんないかも知れないけど俺も何言ってるか分かんない。

 

新聞届けてくるのが帽子被ったカモメだったり、その新聞に『サマケ海賊団、海軍との衝突により壊滅!』みたいな記事が書いてあったりした時点でだいぶ「ううん!?」てなったけど湖の近くで野生の電伝虫見かけたところでトドメ刺された。

 

マジかよ。俺この世界生きていける気がしないんだけど。

 

俺はワンピースの事はあまりよく知らないけどロクでもない世界だって事は知っている。気軽に島の1つや2つ簡単に滅ぼせる奴らがウロウロしてるとかやってらんねー過ぎる。

 

それにジョウが強いヤツとは限らない。ジジイとメスガキが2人とか山賊に襲われたら蹂躙され放題だぞ。

 

まあ必ずしもそうなるとは限らない。一応狩りやら何やらで自給自足してる訳だし。

 

何事もなく過ぎる事を祈ろう。

 

 


 

 

「突然だが、今日からお前を鍛える事にした」

 

「は?」

 

五歳になった俺に突然そんな事をぬかしてきた。

 

「いやいや修行て。そんなせんにんみたいなことジョウじいちゃんできるわけないじゃん」

 

「冗談ではない。これから先、お前が生き残っていく為に必要な事だ」

 

どうやら本気みたいだ。

 

こんなまだ舌足らずの歳した女の子に何事教える気なんだ。

 

あ!そうか分かったぞ!

 

狩りのやり方だな!

 

まあそうだよなー。拾われてからずっと山ん中だし街にも行ったことない。というかなぜか行かせて貰えない。

 

これはきっと俺に自分と同じように自給自足できるように、って事なんだ。そうだそうだ多分そうだ。

 

「・・・わかったよ。いま本よんでたからちょっとまってて」

 

「なら、先に外に行っている。なるべく早く来るんだぞ」

 

「はーい」

 

という訳で本にしおり挟んでから外に出た。

 

どうせ動物狩るならボウガンとか使いたいな。あと罠仕掛けたりとか。

 

外にはひらけた場所にじいちゃんが立っていた。まず何を教えてくれるんだろうか。

 

 

 

・・・ん?

 

 

 

じいちゃん何も持ってなくね?まさか素手で狩ったりするの?

 

「口であれこれ言うより見たほうが早いじゃろう。目を閉じるなよ」

 

そう言うとじいちゃんは、何やら足に力を込め始めた。

 

そして、

 

 

 

「嵐脚」

 

 

 

足からデカい衝撃波みたいなものをぶっ放し、

 

 

 

近くの木々を、根こそぎ切り飛ばした。(・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

 

ガラガラ・・・

 

「今のは、"六式"と呼ばれるものの1つだ。これから先、お前にも同じ事が出来る様になってもらう」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

あの、すいません。

 

俺の第2の人生、そこそこで良かったんですけど・・・




今の所上手く違和感なくやれてるか分からない。

感想とかあったらドシドシ送ってください。

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