Justice Shield   作:田中おにぎり

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ある冬の日。この日はいつにも増して雪が降っていた。
ハインスラシア王国のシュカ村に住んでいる村人達は、皆年を越すための準備をしていた。


Justice Shield 第一部
第0話 騎士に憧れた少年


「母さん、今日は寒いね。」

無邪気に少年が呟く。

「えぇ。外に行くなら気を付けるのよ!今日はご馳走にするんだから早く帰って来なさいね。」

少年は笑いながらうなずき、外に飛び出した。

 

いつも遊んでいた友達と集合し、近くの森に遊びに行った。

木々を抜けていつもの隠れ家へと足を運ぶと、とても大柄な男たちが3人、そこに座っていた。

少年たちはとっさに木の裏へ隠れ、会話を盗み聞きすることにした。

「全く、襲撃当日に待機場所を決めるなんて抜けてるよな、今の王様は。」

「でもよかったじゃないか、比較的バレにくい隠れ場所がこんな近くにあってよ。」

「あぁ…。」

少年たちは互いに目配せし、急いで村に戻る。

 

しかし事はそう上手く行かなかった。

逃げ遅れた一人がこけた時に大きな音が鳴った。

「誰だ!!!」

大柄な男につかまった少女は大きな声で

「逃げて!」

と叫んだ。

少年たちは走って村に逃げた。ただ一人を除いて。

ガクトという少年はただ一人だけその場に残り少女を守ろうと立ち向かう。

その抵抗はむなしく二人とも木に括られ、男たちは去っていった。

 

あれから何時間が経っただろうか。気が付くと眠っていた彼は目を覚ます。辺りはもう暗くなり、推測するに午後9時頃だろうと思っていた。

隣に括られていた少女は自分の縄を外し、彼の縄を外そうとしていた。

「大丈夫?私なんかを助けてくれてありがとう。」

声を震わせながら問いかける。

彼はただうなずいて、縄を外す。

10分ほどかけて縄を外し、急いで村の方へと走っていった。

 

そこで彼らは驚くべき光景を目の当たりにした。

 

目の前には真っ赤に燃え上がるシュカ村、彼らの故郷があった。

二人は何も言わずに自分の家の方へと走る。

家は燃え上がり、跡形も残っていない。もちろん母親の姿も。

ガクトは急いで少女のもとへ走る。

少女が泣きながら彼のところに向かう瞬間、鈍い音とともに、彼の目の前を鮮血が覆った。

目の前にいたのはルーヴェティア帝国の国王、ガルファだった。

まっすぐに伸びた剣は少女の体を串刺しにしており、鋭い目つきでこちらを睨む。

「まだ生きてるやつがいたか。」

ガルファはただ一言、そう言って少女から剣を抜き、血塗られた剣を振りかざす。

 

気が付くと目の前には王国の騎士団長、ルミナスが立っていた。

「遅れてしまって本当にすまない…。君だけでも、俺が助ける。」

そう言って国王と剣を交わし、戦いが始まった。

次第に戦いは進み、ルミナスの剣がガルファの体に刺さった。

「私が死んでも、必ず我が国が貴様らの国を滅ぼし我が物にする…。」

そう言い残しガルファは崩れ落ちる。

 

状況を理解し、故郷と親、友達のすべてを失ったガクトはただ、泣き叫んでいたのだった。




目を覚ますとそこは城下町の病院だった。
家族を失った彼の病室にただ一人座っていたのはルミナスだった。
「本当にすまない。俺は君のすべてを救えなかった…。」
そう言って彼に頭を下げる。
間を開けてガクトが呟いた。
「大丈夫だよ。今度は俺が守るから。」
ガクトがそう言うとルミナスは泣きながら彼を抱きしめる。
少年は心の中で村の人達へ向け
(さようなら、大好きなみんな。)
と、思いを伝えるのだった。
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