Justice Shield   作:田中おにぎり

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王国へと向かって走り始めたフェイカーとリコン。
その一方で、アジトへと帰った謎の二人は仲間たちと合流していた。


第14話 第三勢力

 

さぁ、ようやくこの世界を我々のために解き放つ時が来た。

そんな言葉が頭に響き続ける。

彼の言葉は不思議と心に届き、まるで心を操られたかのように従ってしまう。初めて会ったときは何をしていたか、自分がどこにいたか、それすら思い出せない。

今自分は何をしているんだろう…。

「おい、ロウフォン!目を覚ませ。」

奇抜な髪の男にそう言われ、はっと意識を戻した。

「我々は新世界を手に入れるんだ。そのために私たち以外の人間は必要ない。そう決めただろう、今は休んでなどいられないんだ。」

そう、彼らは自らの意思ですべてを統治する“新世界”を築こうとしていた。

とある村にある彼らのアジトには7人のメンバーがいる。

「リーダー。帝国には最後の一人、いたのでしょうか。」

くノ一のような姿をした女は、奇抜な髪の男に顔色一つ変えずに質問した。

奇抜な髪の男は俯きながら首を振った。するとすぐに、人と化け物のキメラのような少女が元気そうに声をかける。

「じゃあじゃあ!王国の第一候補って人できまりなの!?」

そう答えると、奇抜な髪の男はその少女へ向けて紫色に輝くクリスタルを見せながら、

「私の目で確認したわけじゃないため、少し不安だが、まぁあいつの言うことなら間違いはないだろう。」

そう言った。

こうして作戦会議が始まった。

彼らが立てた作戦は、まず帝国を崩壊させ、その後王国を制圧すること、それ以外の土地はすべて後回しでいいと言い切り、目に見える脅威を全滅させることに決めた。

「あそこの国王、ヴォイスとか言ったかぁ?あいつは本当は臆病者だ…!すぐにでも帝国を潰しに行こうぜぇ…僕もう我慢できないよ…ヒヒヒヒ。」

ロウフォンは興奮気味に殺意衝動で溢れたようにリーダーと呼ばれる奇抜な髪の男に向かって走りながら言った。

「いいだろう。では明日の昼、帝国へと向かうことにしよう。出遅れるなよ、ロウフォン。」

するとくノ一のような女はすぐに口を挟む。

「しかしリーダー、殺すのならあと何人か連れて行ってはどうでしょう。我々もしばらく待機では腕がなまります。」

奇抜な髪の男はしばらく悩んだ末、その場にいた二人を指さし、

「ではカズマ、アイザ。お前たちを連れて行く。」

カズマと呼ばれた目を閉じた侍のように刀を持った男はただ、

「御意。」

といい、アイザと呼ばれた二丁拳銃を持った現代風の服を着た女は、

「わかったわ。」

と二人ともすんなりと襲撃を受け入れた。

 

そして同時刻、帝国では。

 

帝国に残ったヴォイス、レギウスは王国へ向かった二人の帰りを待つが、再襲撃を予想し同じように作戦を立てていた。

「奴らはダストを一瞬で殺した。あの腕利きのダストを俺様達に気づかれずに殺したんだ。そうとう腕が立つぞ。」

ヴォイスは悩む、自分の力でこれ以上犠牲を出したくないが、まだまだ力が足りない。しかしヴォイスは過去にフェイカーに教えてもらった幻術の応用を思い出す。

「俺様の新しい力が完成すれば、少しは役に立てるかもしれない。」

レギウスはヴォイスへと目を向け、

「信じてるぜ、王様。」

と言い、夜通しで技の完成へ向け、訓練を始めた。


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