「同盟!?」
カルナとガクトは目を丸くして驚いた。
エイリーンはハインスラシア王国とルーヴェティア帝国で同盟を結びたいと言い出した。
確かにこの状況が本当なら協力せざるを得ない。しかし今まで敵として長年戦ってきた国と同盟を組むなんて決断がすぐにできるのは、さすが支持率の高い女王様と言えるだろう。
「申し訳ありません。あなた方の国民を救うことができなくて…。争いのない世界へと導くのが私の使命ですから、協力しましょう。フェイカーさん。リコンさん。」
帝国の二人は深く頭を下げお礼を言った。
すると、
「でも、そんな大事なこと、王様抜きで話していいのか?」
と、ガクトが聞く。
「えぇ、彼の総意ですから。むしろ一番こうしたかったのは彼だと思いますよ。ヴォイス様は元々戦いなど望んでおられませんから。」
リザは笑顔でガクトに微笑む。リザの推測通りだ。
襲撃の時、ガクトへヴォイスが向けた表情を見たリザは、彼の思いを感じていた。
「ガクト、お母様。今すぐここにヴォイス様を連れて来ないと…!」
そう言うとエイリーンとリザはすぐに転移魔法陣を準備し、詠唱を始める。
フェイカー、リコンを連れてガクトとカルナはその場を後にしたが、カルナがあることに気づいた。
「待てガクト、あいつはどこに行った?」
あいつと言われて思いつかなかったが、確かに話している途中からモアの姿がなかった。
フェイカーとリコンと協力し、二人はモアを探し始めた。
一方その頃、帝国では…
「グルルアアアアアアアアアアッ!!!」
まるで怪物のようになったロウフォンと応戦しているヴォイス。
「雷帝の槍じゃ大してダメージを与えられてないのか…!!クソ!こんなやつに負けてたまるかよ!!」
電気で出来た槍で体を刺すが全く効いている気配がない。なにより手数が圧倒的に足りず、相手の体に傷すらついていない。
「こうなったらヤケクソだ…。行くぞ!!雷帝の双刃!!」
電気を腕に纏い、それを二対の剣のような形に変えていく。
圧倒的な速度で体を切りつけるが全くと言っていいほど効いている気配はない。
「タス…ケテクレ…」
ヴォイスに向けて語り掛けてくる声が聞こえる、その声の主はロウフォンだった。
仲間を奪われた苦しみはあるが、救いを求める声を見過ごしたくはない、そう思ったヴォイスは体中のエネルギーをすべて電気に変える。
「悔しいけど助けてやる…死んでも知らねぇぞ…。」
ロウフォンは雄叫びを上げるがその場から動こうとはしない。
「受け入れるってことだな…!行くぞ!!雷神の覇気!!」
体中に纏っていた電気を全力で放出する。辺りのエネルギーをも吸収し、ロウフォンの体は黒焦げになった、同時にヴォイスは反動で地面に崩れ落ちる。
「はぁ…はぁ…やったか…?」
ロウフォンは死にかけながら口を開きこう伝える。
「僕たちは…間違っているんだ…新世界なんて…いらない…あいつを止めてくれないか…?王国には…裏切り者がいる…そして…紫のキューブには気を付けるんだ…。」
そう言うと、彼は静かに息を引き取った。
「どういうことだよ…お前たちはなんなんだよ…!どうしてこんなに人が死ななきゃいけないんだよ!!!」
ヴォイスは雨のなか叫び、ロウフォンの亡骸を地面に埋め、近くに生えていた花を添え、その場を後にした。
ヴォイスが王国へ歩いていると突然転移魔法で王国の王室へ転移した。
「ヴォイス様。ようこそハインスラシア王国へ。共に戦いましょう。第三勢力と。」
エイリーンの瞳を見たヴォイスは涙を流し頭を下げて、
「よろしくお願いします!」
と言ったのだった。