「これも俺達が国を取り戻すためだ…。悪く思わないでくれ。」
ガクトが呟くとリザが手を握る。
「大丈夫。きっとうまくいくよ。」
「おいお前ら!行くぞ!」
前を行くゼオンについて行くと、すぐに軍隊がやって来る。
軍隊の全員はゼオンに目を向け睨む。
「裏切り者だ!始末しろ!」
大量に迫ってくる軍隊を次々と背中合わせにした五人は捌いていく。
次々とやって来る兵士達を倒していると奥から三人の男が歩いてくる。
「よぉ!久しぶりだなウルフ!」
「元気そうで何よりだ。」
「んじゃ、殺してもいいよな!」
無造作な金髪の男、フードを被った目に傷のある男、大柄で鎧を身に纏う角のある男。
「フォックス、オウル、ライノ…。やっぱり来ると思ったぜ。」
ゼオンは深呼吸をし鉤爪を構える。
「いくぞ!!」
目にもとまらぬ速さで三人と戦う彼を横目に、ガクト達は次々に来る軍隊と戦っていた。
するとフォックスが巨大な大砲を取り出す。
「これでも食らっときな!!」
大きなミサイルがガクト達の元へと飛ぶ。
「危ない!!」
リザは咄嗟に魔導障壁を作り攻撃を防ぐ。
すぐにヴォイスとルリナも魔力で自分の体を守る。
それを見たフォックスはにやりと笑った。
「どこを見ている!!」
ゼオンは爪をフォックスの装甲に刺す。
溢れる血と共に後ろに下がるフォックスと交代するようにライノが突進をしてくる。
勢いよく避けてゼオンはバイザーをおろし、ライノの行動予測をする。
しかし背後から弾丸が直撃した。
索敵担当のオウルの狙撃により、背中の装甲を破壊された。
大きなうめき声を上げるゼオンの元に咄嗟に走ってガクトが拳銃でカバーする。
ライノのアーマーを弾き飛ばし、ライノがよろめく。
「大丈夫か!ゼオン!」
「あぁ…助かったぜ、俺はすぐに修復できるから大丈夫だ。」
よろめいたライノにヴォイスが雷帝の槍を刺すとライノは気絶する。
「チームプレイだろ、ガクト!ゼオン!」
すると狙撃銃を構えるオウルの元をゼオンが指差し、リザはそこに拘束魔術を展開する。ルリナは武器を構え、狙撃銃を切り落とし、手刀でオウルを気絶させた。
フォックスは血を流しながら呟く。
「殺さないんだな…お前らは。行け…この先に総帥がいる…。総帥の計画を止めてくれ…。」
フォックスは倒れた。このままでは失血死してしまうだろう。するとその場にリザが座り込み、手をかざす。
「私が治癒します!だからみんなは先に言ってください!」
ガクトは目を合わして頷き、ゼオンの肩を担いで基地の奥へと進む。
四人が奥まで進むと、そこには総帥が一人で立っていた。
「お前はどこまで馬鹿なのだ…。もう一度戻って来るなら見逃してやろう。」
ゼオンは怒りの限界を迎え戦闘態勢に入る。
「ふざけるなぁああ!!!!!!」
総帥は目も向けず、高笑いする。
「では真実を教えてやろう。お前の妻と子供を殺したのはお前自身なのだよ!!貴様が暴走して彼女を殺害したのだ!」
すると巨大なスクリーンが現れ、そこには目が赤く光り、自分の手で妻を殺すゼオンの姿があった。
「これは私が搭載した暴走モード。お前は目が覚めた直後に暴走してくれた。そこでその力を試すためにお前の帰りを待っていた妻を目の前においてやったのだ、この私が!!」
ゼオンはその場に倒れこむ。
「そんな…。俺が…俺が殺したのか…。」
意気消沈したゼオンの元に走ってくる四人の影があった。
「お前が悪いんじゃない!お前の女は最後までお前を信じてたんだ!元に戻って!って言ってたんだ!!」
リザに治療されたフォックスが叫ぶ。後ろからリザとオウルとライノもついてくる。
「本当か…?あいつは最後まで俺のことを…。」
ゼオンの右目が赤く光る。それを見たギアは後ろに下がり腕を銃に変形させる。
「死ね!!失敗作が!!」
ギアの腕から大量の弾丸が射出される。するとゼオンは目にもとまらぬ速さで攻撃を避ける。鉤爪でギアの背中を引き裂く。そのままギアを蹴り飛ばし、ゼオンは声を上げる。
「今だ!!こいつの眉間を撃ち抜け!」
するとガクトは拳銃を構え吹き飛んでいるギアの眉間を撃ち抜いた。
そのまま壁にぶつかったギアは倒れる。
少しの時間が経つと、ギアが立ち上がる。
「私は…元に戻ったのか…?」
理解が追い付かないガクトはゼオンに説明を求める。
「こいつは明らかにここ数年でおかしくなった。わざと内部で反乱を起こさせたり武力で統治したりな、俺は復讐するつもりだったがさっき戦ったときにスキャンして気が付いたんだ。こいつの眉間に見たことがない結晶が埋め込まれていることに。」
全員がギアの元に目をやるとギアの足元に紫色の結晶が散らばっていた。
ガクト達はこの結晶を見たことがあった。ガクトを庇ったカルナが浴びたあの結晶だ。
「グラムの手は…周辺の島にも渡っていたのか…!急がないとまずい!」
ガクト達が焦っている横でギアはゼオンに深く頭を下げる。
「すまない…。私はこの国の民だけでなく大切な部下の家族まで…。」
ゼオンにはわかった。ギアの本心はずっと嫌だと感じていたんだなと。だからと言って許せるわけではない。でも少しホッとしている気持ちだった。
「過ぎたことはいい。それよりこいつらに協力してやってほしいんだ。こいつらはお前のように操られた人や国を取り戻すために戦ってる。この国の軍を貸してやってほしい。」
ギアはさっきの戦いで軍隊の大半をボロボロにしてしまったため、すぐには用意できないが必ず約束すると誓った。
そして翌日、ガクト達は出発のために船に乗る。ギアやフォックスたちが見送りにくると、奥からゼオンが歩いてくる。
「んじゃ、俺も同行するか。お前らの旅に。この国の軍隊はすぐに貸せないけど俺がついてってやる。」
「それは頼もしいな!よろしくな、ゼオン!」
「俺様達の足引っ張んじゃねぇぞ?」
「こらヴォイス、仲間にそんなことを言うな!」
仲良く話す五人の船は、次の島へと向かった。