ハイ島を出て約1日、ガクト達は船旅を続けていた。
ゼオンのスキャンにより近くにある島を簡単に見つけることができるようになったので、目的地を見つけ、辿り着くのはそう難しくはなかった。
「島が見えたぞ。どうやらあそこは侍の国、キリサメ島のようだな。」
ゼオンの言うことが本当なら、そこには騎士団に匹敵すると言われる戦いの職人、侍がいることになる。侍を仲間に出来たらきっとかなりの戦力になってくれると確信し、上陸した。
すると、船着場には多くの人間が待ち伏せしていたのだった。
ヴォイスは焦りながら口を開く。
「おい、これってやべぇんじゃねぇか!?俺様たち多分囲まれてんぞ!」
しかし、船着場にいる侍達からは敵意を感じない。それどころか笑顔でじっとガクトやリザを見ている。
リザにはなんとなく敵対しようとしているわけではないことを察し、一行に安全を伝えてから、船を降りた。
「ようこそおいでくださいました。その冠は紛れもない、ハインスラシア王国の王女様ですな!」
鍛え上げられた体に渋い声、ざっと見て50代は超えているであろう侍に声をかけられた。その後彼がした自己紹介によると、彼の名はケンゴク。侍の里の長であり、ハインスラシア王国の親衛隊をしていたという男だった。
ハインスラシア王国はその昔周辺の島々とも連絡を取り合っていた頃、絶大な人気のために親衛隊として傘下に下っていた国があった。それがこのキリサメ島、もとい侍の里であった。
「王になるための生活で、お母様から聞いたことがあります。私たちの国を手助けしてくださる国が昔はあった。しかししばらく連絡を取らなくなって、疎遠になってしまった、申し訳ないことをしたわ。と。」
リザの言葉と申し訳なさそうな顔を見てケンゴクは優しく謙虚に頭を下げた。そのまま里の里長の家に案内された。
お互いの国の絆も確かめ合えたガクト達は、今世界で起こっている惨状について彼らに話した。ケンゴクは力強い声で、怒りを露わにした。
「なんと罪深い人だ!私共でよろしければお力になりましょう。」
彼がそう言った途端、家の周りに全身を黒い布で覆った忍が現れ、家全体を取り囲む。
ガクト達は慌てて戦闘態勢を取ろうとしたが、一切動こうとしないケンゴクを見て落ち着く。
彼は慌てるどころか目を閉じて微動だにしていない。すると家のはずれに座っていた一人の侍と人間の子供くらいのサイズはある小さなドラゴンが囲っている忍を押しのけ、家の入口に背を向けて刀を構えた。
「奇襲とはなかなか汚い手を使うんじゃのぉ!この国の裏切り者が!」
一人の男は刀を抜くと周りにいた忍を一掃した。ドラゴンも口に刀を咥え、飛び回りながら一掃する。
阿吽の呼吸ですべてを片付けた彼らはケンゴクの元へとやってくる。
ケンゴクはガクト達に紹介するべく、彼を家に招き入れた。