「あと少しで私が指導を受けていた国、フィルゲイラ島だ。」
ルリナは魔法を会得するためこの島に来ていた。魔法の国と呼ばれるだけあり、大規模な魔法学校が島の中心にある。いくつも有名な魔導士の家系があり、その力はハインスラシア王国やルーヴェティア帝国の王に匹敵するほどだと言われているらしい。しかし本土には外部の島の話は届かないため、その実力を知っているのはフィルゲイラ島の人間のみだ。
「着いたぞ、船を停めよう。」
ゼオンが船を停め、島に上陸した直後、すごい勢いで1人の男が走ってきた。
「うおおおおーーー!!やはり!この香りは!!ルリナではないか!ようやく我が恋しくて帰ってきたのか!!」
緑色の派手なスーツを着たその男はルリナに駆け寄る。しかし彼女は呆れた顔でため息をつきながら返事をする。
「はぁ…。クラウン、久しぶりだな。まだ勝手な事を言っていたのかお前は。」
彼女の反応を見て一行は全てを察し、苦笑する。
クラウンに案内され、彼の屋敷へと足を運ぶ。大きな扉を開け、中に入るとそこには数十名の執事やメイドがおり、出迎える。
「我が屋敷へようこそ!で、皆のものは何をしにここへ?」
ガクトは事情を説明し、助けがいることを話した。
すると彼は大きな声で笑い飛ばす。
「残念ながらそれは無理だな!この国には強い魔術師など我以外にもう残っていない!有名な貴族魔導士は皆全滅したよ、ただ1人を除いて。」
ルリナの顔が険しくなる。彼女は間髪入れずにテーブルを叩き声を荒げる。
「それは…本当か!!オッソリア家は…ディアは無事なのか!!」
「そう言うと思ったよ!安心しな、生き残った1人はディアさ。まぁ彼女の家族は皆死んだけどね。」
沈黙の後、全員の顔が曇る。ルリナは現実を確かめるため話を聞く。
彼の話によると数ヶ月前、この島にはグラムから魔物の軍団が遅いかかり、名家は殆どがその処理に追われ、自爆の被害に合い死んだと言う。
ガクト達はその話を聞きすぐに怪しいと感じた。グラムが自分の領土を広げるならわざわざ自爆などさせる必要がないからだ。
「ゼオン、スキャンできるか。」
「ガクト、ちょうど俺もしようと考えてたところだ。」
ゼオンがバイザーを下ろし、クラウンの体をスキャンすると、心臓の部分に紫の結晶が埋まっているのが見えた。
「コイツは厄介だ、心臓に埋まってやがる。取り出すなら殺すしかないな。」
思惑通り彼は結晶により人格が凶暴になっていた。きっと他の家を潰すためにした自作自演だろう。一行は彼の家を出て、ルリナの修行の師匠の家系であるオッソリア家へと向かった。